配車アプリー今年を総括するー総合生活移動サービスの将来
配車アプリが登場した当初はネット社会では大歓迎で、Uber等の企業評価額も天井知らずでした。欧州でタクシードライバーによる反対デモが始まりましたが、その時点ではネット社会では味方もいました。風向きが変わってきたのはインドでのUberが配車した車の運転手によるレイプ事件あたりからです。配車アプリ会社幹部の個人情報の不正使用事件や自家用車による白タク行為も批判を浴びるようになりました。今度は弱り目に祟り目で、ネット社会では配車アプリの問題点を指摘する声が大きくなっていますから、企業評価額にも影響を及ぼすでしょう。
結論から述べますと、私は車の有効活用の観点から自家用車も含めてアプリによる配車には賛成ですが、配車アプリが配車アプリ段階でとどまっている限りは、無線タクシーと本質は変わらないと思っています。東京のように「流し営業」で十分にサービスが供給されている地域では、ベテランドライバーの暗黙知を上回るアプリの登場はあまり期待できないでしょう。
しかし、タクシー利用者の動きをビックデータとして人流の観点から活用する視点でとらまえてみると、見え方が大きく変わります。ドライバーの頭の中に人流データがある限りビックデータにはなり得ません。利用者の属性等を基に地域における人流データが分析できるようになれば、呼ばれる前に「お迎えにゆく」どころか、コンサートのチケットの手配からレストランの予約までそれこそ総合生活移動サービスが提供できるようになります。さしあたり月極め定額乗り放題制度を提唱していますが、更に移動料金は無料にして、車内空間におけるコマーシャル提供、買物先からの紹介料で原価が償えるビジネスモデルも構築できるかもしれません。
GoogleがUberに出資したねらいもそこにあると思っています。ある都市の住民の人流情報を把握できれば、ビジネスとして次の一手が打てます。自家用車やタクシ車両の有効活用による利益確保程度で、Googleが乗り出してくるとは思えないからです。2007年にGoogleはGoogle Ride Finderを立ち上げています。このころから人流情報に着目していたと思います。
JTBをはじめ日本の旅行業者は収益率の低い旅行商品の販売に苦労していますが、その原因を私は「原価が見える」からだと思っています。一回一回の旅行ではなく、生活全体の人流の手配を引き受け、単位移動だけではなく全体の中で利益を確保するビジネスモデルが考えられないかと思っています。ウェアラブルコンピュータ、人工知能と言ったツールを使いこなし、一方では、物理的な車や部屋を抑え、しかも車も部屋もきちんと商売になるように管理できるビジネスです。これを総合生活移動産業だと言っているのです。
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