*

運送機能の分化に対応した旅行商品の創成

レンタカー会社から高級車を借り上げ、多国語を操るカリスマ運転手を派遣してもらい、その他のサービスを組み合わせて、企画旅行商品として組成できないか考えてみた。
道路運送法違反の疑いがあるのは承知しているが、企画旅行商品であれば、B2Bの関係にもなり、鉄道事業法や道路運送法の適用がないことが行政慣行になっている。このことは何度もブログに書いている。要は国鉄運賃法時代に、パック商品が可能であったのは、国鉄運賃法の適用がないと言わざるを得なかったからであり、国鉄バスを含め、陸上はすべて国鉄に右ヘならえであったからである。
旅行業法の条文からは、運送機関、宿泊施設の字句は登場し、自家用施設のコンドミニアムや貸別荘も該当すると思っている。ドイツの判例にもあったような記憶がある。旅館業法の適用を受けない個人の高級別荘を商品に組み込んで企画旅行商品にできるというか、規制を受けることになるのである。では、運送機関とは、タクシーや鉄道だけなのであろうか。自家用車も有償運送は含まれるのであろう。ドライバー派遣とレンタカーの組み合わせは運送機関に該当しないのであろうか。企画商品に組み込めれば、道路運送法の規制は受けないことになるから、新商品が作れることになる。レンタカーを借りることはタクシー会社がカーリースを利用するのと法的には変わりはない。派遣はタクシー会社でもあり得る。従って、両者を活用したものを運送機関として認識してかまわないように思う。〇〇事業法に規定する〇〇事業とは規定していないのは、幅広く考えているからであると思えばいいのである。こんなことを言うと、「非一体」を考えた者には想像もできないであろうが、道路運送法だけが法律ではなく、道路運送法の機能を排除するものとして旅行業法があると思えばいいのである。現に企画旅行商品は排除されている(約款で排除されているのは形式的に議論はあるが)。
従って、私は、全くダメとは思っていないが、規制逃れの企画商品でも仕方がない。やはり、高級車とカリスマ運転手との組み合わせでないと理解されない。現実の旅行会社は、軽井沢での事故に見られるように、安上がりの企画商品を作ってしまったから失敗したのである。道路運送法の運賃規制逃れに利用されただけであった。従って、ましてや、それをばらして、レンタカーと派遣運転手などというと、また事故が発生するのではないかと大反対されてしまうであろうし、それで仕方がないとも思う。工夫をして成功事例を作ってもらいたいものである。

関連記事

no image

『地方創生のための構造改革』第3章観光政策 論点2「日本における民泊規制緩和に向けた議論」(富川久美子)の記述の抱える問題点

博士論文審査でお世話になった溝尾立教大学観光学部名誉教授から標記の著作物を送付いただいた。NIRAか

記事を読む

no image

旅館業法論議 無宿人保護(旅館業法)と店子保護(不動産賃貸)の歴史 

◎東洋経済の記事 https://toyokeizai.net/a

記事を読む

 ホテルと旅館『西洋靴事始め』稲川實 現代書館

観光学でホテルと旅館の違いを説明するときに、私は芦原義信氏が西洋建築と日本家屋の違いを述べられた

記事を読む

no image

民泊仲介業標準約款への疑問

民泊と旅館の制度矛盾が感じられます。 旅館業法の唯一の法律事項は宿泊引受義務です。しかし、旅行業法

記事を読む

no image

靴を脱ぐということ

『教科書には載っていない戦前の日本』P.173にでていた。 松坂屋は関東大震災の復興を機に、

記事を読む

Google戦略から見るこれからの人流・観光(東京交通新聞2014年6月23日)

『モバイル交通革命』の出版から11年がたちます。スマホに代表されるように『位置情報研究会』での論議以

記事を読む

no image

2016年3月1日朝日新聞8面民泊関連記事でのコメント

 東京都大田区が、国の特区制度を活用して自宅の空き部屋などを旅行者に有料で貸し出す「民泊」を解禁

記事を読む

no image

旅行業法の不思議② 宿泊引受義務と民泊(Airbnb)論議

Airbnbは、同社にとって最も成長率の高い市場である日本において、登録物件の近隣に住む住民が苦情を

記事を読む

no image

『ビルマ商人の日本訪問記』1936年ウ・ラフ著土橋康子訳 大阪は「東洋のベニス」

1936年の日本を見たビルマ人の記述である 1936年当時の大阪市は人口三百万、町全体に大小

記事を読む

no image

撤退太郎と立上花子

スイッチエンターテイメント(本社・東京都新宿区/代表取締役・川田雄大)は、同社が運営する民泊物件向け

記事を読む

PAGE TOP ↑