ホテルと旅館『西洋靴事始め』稲川實 現代書館
公開日:
:
最終更新日:2023/05/29
旅館、ホテル、宿泊、民泊、不動産賃貸、ルームシェア、引受義務
観光学でホテルと旅館の違いを説明するときに、私は芦原義信氏が西洋建築と日本家屋の違いを述べられたときに、靴を脱ぐか脱がないかの違いだということをどこかで記述されていたことを思い出し、いつも靴を脱ぐか脱がないかの違いだと説明してきた。
確かにカーボーイ映画などを見ていると、ベッドカバーやまくらカバーというのは、靴を履いたまま、枕の上に足をのせらるように作ったものだということがはっきり認識できる。
しかし、ではいつから靴を履くようになったのかと、疑問を持ったのである。人類は生まれた時は裸足である。
いつもその問題意識はあったので、麻布図書館で「西洋靴事始め」を書棚に見つけた時は、すかさず手に取ったものである。
著者の稲川實氏は西洋靴の権威であることを知った。本書は東京都立皮革技術センター台東支所機関誌に100回にわたって寄稿されたものを編集されたものである。
あとがきに、日本人と靴の出会いを語るには、1861年までさかのぼらないといけないとある。だんだん観光とtouristの関係に似てくるのである。西洋人のはく靴は写実的に書かれていたが、日本人は幕府の禁止で筒袖(洋服の事、日本語が漢語で一つの言葉に収れんしてゆくにはそれなりの時間がかかったのであろう)や皮履(靴の事)の使用は、外国製品に紛らわしいものであってはならないとお触書を出したのである。だから、靴が靴らしく自由に書けるようになったのは1877年ころだとある。
結局150年を経て、日本家屋は西洋式になり、日常生活では靴を履くのであるが、靴を履きっぱなしにはならなかったということなのであり、そのはきっぱなしにならなかったことをもって、旅館があるというのもおかしなことである。従って、2018年にホテルと旅館の法的区分が旅館業法上はなくなったのである。言葉はあるものだから、ホテル・旅館営業といっている。
Quoraに見る観光資源 靴を脱ぐ 日本の一般的な家には絶対あるが、アメリカにはないものは何ですか?
関連記事
-
-
Oneida Community Mansion House
https://www.bbc.com/reel/playlist/hidden-historie
-
-
旅館業法の「宿泊拒否」箇所を削除、衆院委で改正案を可決 2023年5月27日読売新聞記事
「衆議院厚生労働委員会は26日、感染症流行時の宿泊施設の対応を定める旅館業法などの改正案について、自
-
-
運送機能の分化に対応した旅行商品の創成
レンタカー会社から高級車を借り上げ、多国語を操るカリスマ運転手を派遣してもらい、その他のサービスを組
-
-
世界人流観光施策風土記 ネットで見つけたチベット論議
立場によってチベットの評価が大きく違うのは仕方がないので、いろいろ読み漁ってみた。 〇 200
-
-
「正座」の始まりは百年前 千利休は、あぐらをかいて茶を点てていたのである
ホテルと旅館を法律上区分する日本の宿泊法制度は珍しい。 その違いを考えると、和式と洋式の違いは「靴
-
-
newspicks のコメント紹介 米国の場合は、住居を宿泊施設として紹介することは法的にできない
NAKAJIMA NAOTO( 30年間米国LAに暮らし、LAをベースに米国内、欧州、アフリカなど
-
-
2016年3月1日朝日新聞8面民泊関連記事でのコメント
東京都大田区が、国の特区制度を活用して自宅の空き部屋などを旅行者に有料で貸し出す「民泊」を解禁
-
-
Google戦略から見るこれからの人流・観光(東京交通新聞2014年6月23日)
『モバイル交通革命』の出版から11年がたちます。スマホに代表されるように『位置情報研究会』での論議以
-
-
観光とタクシー論議 (執筆時 高崎経済大学地域政策学部教授)
最も濃密なCRM(Customer Relationship Management)が可能なはずのタ