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一見さんお断りの超一流旅館のコンプライアンス

インバウンドブームがまだ本格的に始まる前、大連にある大学の観光学の教授から、中国の富裕層を数人日本に連れてゆくので案内してほしいといわれたことがあった。その時はあまり事情を知らなかったが、やはりとんでもないお金持ち達で、料亭に行ってみたいとたのまれた。その時はお会いした当日のことであり、無理だとお断りした。おかげで、その後、麤皮のステーキをごちそうになる機会には恵まれた。今では中国人富裕層はこぞって一流料亭に出かけているのであろう。その矢先、空予約問題がテレビをにぎわしたので、再びおもいだすこととなった。

ご紹介がないと予約ができないということが、京都のお茶屋さんのビジネスモデルあることは知られている。席貸業に引受義務がないからである。料亭も同じである。霞が関時代、赤坂の料亭もバブル期ご相伴に預かったことが幾度となくあった。赤坂に事務所を構えていた今は亡きK氏には、当時’K’龍によく連れて行ってもらった。赤坂の一流料亭は席貸業である。料理はその近くにある仕出し屋さんからきていた。仕出し屋もカウンター中心の和食店をやっており、直接そこに行くこともあった。今では両店ともなくなっているが。

料亭と異なり、旅館は引受義務がある。京都の’H’家は紹介がないと宿泊できないという話があり、日本観光協会勤務時代に京都の観光協会に出かける用事があり、せっかくだからと、つてを頼んで紹介してもらったことがあるが、考えてみれば、旅館業法で引受義務があるから、仮に電話で予約を入れて部屋があるのに断ったりしたら、営業停止処分を受けることになりかねないので、一流旅館がおかせるものではないはずであった。

現に今ネットでサイトを見ると、二食付きでで一人6万円で二人からと出ている。二人からというのが引受義務とどう関係するのか、素泊まりの申し込みでも拒否できないのか、疑問があるが、料金に規制はないから、一人で食事なしでお泊りでも12万円頂きますと表示しておけば、コンプライアンス上は問題はないことになる。

この一流旅館の予約を、中国のサイトが中国人相手に中国語で引き受けているとしたら、中国の旅行業法の問題となる。引受方が、日本でいう企画旅行商品なのか、手配なのかで考え方は異なってくる。手配であれば、中国人富裕層と旅館が直接契約をすることになるから、契約は成立しない状態では、利用者もそのことを認識できるはずである。この手配を直接おこなわずに、下請けを使用することは禁止されているものではないだろうから、合法である。日本でも、旅行会社の代理を行う旅行業代理店業が存在する。中国法でも規定があるだろう。

次に仮に、契約が成立したと利用者に思わせることを行ったとすると、手配ではありえないから、宿泊を引き受けたと解釈することになる。日本の旅行業法風に言えば、利用宿泊契約が成立したということになる。中国では、請負責任を負わない代わりに旅程保証責任を伴う日本特有の企画旅行契約になっているのか、現在の私には知識がないが、仮に企画旅行を利用する形態を想定しても、問題は似たようなものであろう。

この場合は、旅行会社は全力で当該一流旅館の部屋を確保しなければならない。仮に確保できなければ、先に受け取っていた場合には料金を返還しなければならない。日本の旅行業法では、試験問題に出るようなケースである。

いずれにしろ、中国法の世界での解釈であるから、今の私にはわからないが、日本では、利用宿泊契約は、旅行業法では想定しているのも関わらず、標準約款等が存在しないので、事実上ビジネスが存在しないのである。

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