「尾原和啓氏(ITジャーナリスト)×松尾豊氏(東京大学大学院准教授)「日本がAIで勝負すべき、AIプラットフォームビジネスの次の次」」の重要点抜き書き
公開日:
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最終更新日:2023/05/29
観光情報 コミュニケーション
下記サイトに記事が出ている
http://ascii.jp/elem/000/001/783/1783434/
ディープラーニングによる画像認識はかなり進み、アプリケーションが多数出てきています。次の段階としては機械・ロボット系への応用となりますが、なかなか実用に結びつきにくい状況が続いていました。しかし、この半年~1年くらいで「World Models」(世界モデル)を構築する研究が出てきています。」
世界モデルについて簡単に説明すると、これはAIのエージェントが部屋の周りを回ると、机の形や誰がどんな配置で座っているかなど、構造や状況の空間認識ができるものです。人間にとって、視覚情報は単なる映像です。また、人間は筋肉への時系列の信号で身体を動かしています。基本的にこの2つの情報しかないのに、人間はこの世界が三次元であることがわかっています。つまり、この2つの情報の時系列から潜在的な構造を見つけ出しているのです。従来のSLAM技術などでは、世界の構造が三次元であると最初に仮定し、タスクをナビゲーションに絞る必要がありました。
例えば、ものをつかむ、投げる、たたく、ちぎる、打つ、それぞれに異なる潜在構造があります。それが仮定なしに学習できる世界モデルができてきて、AIで機械・ロボット系をうまく動かせる状況が整いつつあります。
機械・ロボット系でのAIによるモデル化が進んだ先の段階では、「言葉」や「意識」の解明も進んでいくはずです。
動物としての知能に関して言うと、実は犬も猫も世界モデルを持っています。人間はその上に言語という機能を載せていて、言語の一番の特性は、任意の瞬間に情景を思い浮かべられる、すなわちイマジネーションがあることなんです
人間がなぜ言語を持っているのか、それが数理的にどういう意味を持つかについては、もしかするとこの2 ~ 3年のうちに解明されるかもしれません。そうなると、言葉の意味・理解を伴うような自然言語処理ができるようになります。これは人類史上にとって巨大なインパクトになります。GoogleやFacebookがやりそうですね。
AIの世界において、次に何が起こるか、ですね。これまではインターネットの中の、閉じた空間でのビジネスの覇権争いが起きていました。インターネットの進展により、デジタルがすべてをオーバーラップするようになり、どんな情報がネットのどこにあるかを探すことに価値が生まれて、Googleの価値は高くなりました。人間関係もネット上でつながった方が効率が良いということで、人間関係を凝縮したFacebookの価値が高くなりました。今度は「AIによってリアル社会の何を再構造化できると一番価値が高くなるか?」という戦いが始まろうとしているのです。
一番わかりやすいのが「信用」情報ですよね。中国では「アリペイ」(支付宝)、「WeChatペイ」など、いろいろな企業が決済システムの市場を取りにいっています。一見するとみんな決済を取りにいっているように見えるのですが、実はそうではないんです。人間の信用を可視化することが、おそらく次のGoogleなので、信用を取りにいっているのです。
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