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泊食分離のコンプライアンス 違法旅館・泊食抱合販売

Facebookの書き込みを見ていると、泊食分離論議が出ている。驚いたことに食事つきでなければ宿泊を断ればいいという暴論が出ていた。

旅館経営者はプロであり、違法民泊云々といっている者が多いので、当然順法精神があると思っていた。しかし、旅館業法を理解していないで営業していることに驚いた。これでは違法民泊と言って騒いでいる人達のコンプライアンス精神が疑われるのである。

戦後24年に旅館業法が制定されたのは、最終列車で終着駅等に到着しても宿泊することろがないと治安が悪くなるという、当時の発想から、旅館に宿泊引き受け義務を課すことにした。当然権利義務にかかわることなので法律が必要であったから、内務省の系統の厚生省の所管法令として、旅館業法が制定された。運輸省(観光庁)ではないことに注意しないといけない。

旅館の定義として、国会(参議院)で修正があり、「寝具を用いて有償で宿泊させる」と規定がなされた。下宿や簡易宿所も含まれる。無償は当然除外される。親せきや友人の家に宿泊することまで規制する必要はないからである。ここで重要なのは食事のことは法律では触れていないことである。食事は旅館業法の対象外で、あまたある食堂と同じ規制の下にあるということである。保健所の許可を受ければいいのである。カレー屋のカレーも旅館の食事も行政法規の適用は同じである。

食堂には、引受義務はない。いやな客なら断ればいいのである。食堂ではないが、公衆浴場で外国人お断りという張り紙をして、名誉棄損で訴訟になり、慰謝料を払わされた事例がある。しかし、営業停止にはならない。法律違反ではないからである。

旅館は引受義務があるから、正当な理由がないのに宿泊を拒否すると、営業停止になる。黒川温泉でハンセン氏病が治癒した人たちの宿泊を拒否し、営業停止になった例がある。

食事と宿泊を抱合せで販売し、素泊まりだけなら宿泊を拒否すると、旅館業法では、部屋があるにもかかわらず契約を拒否したことになる。食事の抱き合わせ販売になる。宝石を買わないと宿泊を引き受けないということと同じである。

宿泊料の設定において、食事は無料にしておいて食べても食べなくても、料金が同じであれば、違反にはならない。ビジネスホテルの朝食無料がその例である。逆に、朝食代を分離して販売するケースもある。しかし、抱き合わせ販売は違法である。

旅行業法では、旅行契約引受義務がない。試験問題にも出される設問である。従って、パック旅行では食事つきが存在する。

なお、旅館業法の特別法として、外国人誘致を目的にした国際観光ホテル整備法がある。戦後の外貨獲得のための法律であり、進駐軍にホテルを接収されていたことから、ホテルを整備するために制定された。外国人のために、朝食が提供できることを前提としている。宿泊費と食事代を別に表示しなければならないこととなっている。当時はアメリカ人ご婦人のため、野蛮な混浴は回避できますよという意味で、近年まで各部屋にバス設備の設置が義務付けられていた。いまでは、この国際観光ホテル整備法は、固定資産税の減免のための法律になっており、時代遅れのものとなっている。フランスでは、五つ星ホテルの税金の方が高いものだから、あえて四つ星にしているホテルがあるくらいである。

 

 

 

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