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WEDGE2016年3月23日 中国民泊の記事を読んで 

日本市場に吹き荒れる「中国民泊」旋風 http://wedge.ismedia.jp/articles/-/6403

Wedge編集部は日本で事業展開する中国系民泊仲介サイトの最大手「自在客」の運営企業の取材記事を掲載している。以下要約すると「日本、中国、台湾、香港、韓国、米国の計6地域で事業展開。世界全体では、約1万人のホストがいて、約5万室を提供している。約4000人のホストをもち、約4万2000室を提供している台湾では、Airbnbを上回る最大手。日本では14年12月にサービスを開始。現在、約2000人のホストがいて、約1万2000室を提供しているが、日々増加しており、1年後にはまったく違った数字になっているはず。中国系民泊事業者のなかで比較すると、自在客が日本でのシェアがもっとも高い。途家は中国国内での民泊に強く、住百家は富裕層に強いという特徴をもっている。自在客はFIT(Free Individual Travel、個人手配の自由旅行)に強い。Airbnbは都市部の物件が多く、その地の生活を味わうというよりは「ただ泊まるだけ」というイメージ。Airbnbは英語でのやり取りがメインとなるので、中国人にとってはハードルが高い。自在客は主に中国語でやり取りをするので、中国人にとって利用しやすい」「現行の日本の法律では、特区等を除いて民泊は禁止されている点は認識している。だが、中国では既に政府が民泊を許可しているなど、世界各国では合法化の流れがある。それに比べると、日本はやや法整備が遅れている印象をもっている。」となっている。

民泊の合法性であるが、旅館業法の適用も属地主義であろう。日本の海外旅行パックは、日本の旅行会社が日本で日本人に商品を販売すれば、日本の旅行業法が適用になる。中国の旅行会社が中国人に日本旅行を販売する場合は、中国法の適用があり、中国法が民泊を合法化していれば日本向け旅行の販売は違法ではないということになる。その一方、日本の民泊施設保有者は日本の旅館業法の適用を受けることとなる。ここにギャップが出てくるが、合理的でない規制は、国際紛争のもととなる。ましてや経済規制においてはである。圧倒的に施設が不足する現状では、日本での中国民泊の普及は進んでゆくであろう。普及が進展した段階では、民泊に限定されない旅行商品の販売を行うに違いない。その時日本の旅行会社は、中国人どころか日本人の市場を失いかねないのである。このことは、宿泊施設に限らず、交通サービスにおいても想定される。地理不案内な乗客にも事前に料金が明示され、その代金は事前決済され現金の受け渡しや両替の煩雑さから解放されたタクシー等の移動サービスは利用者の支持を受ける。中国人は中国でインストールされたアプリを使用するはずであるから、そのアプリで日本のタクシー等の移動サービスを利用するに違いないのである。

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