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『ベルツの日記』

ベルツが来日早々に経験した江戸の華、火事に関する記事。シュリューマンと同じ目である。ホテルと旅館の違いや正座の原点はここにあるのだが、今は失われている。

明治九年11月30日、12月1日東京

比較的冷静なのに驚いた。

日本人とは驚嘆すべき国民である。火災があってから36時間たつかたたぬかに、もはや現場では、千個以上の家屋が立ち並んでいる。

火事の前には、わずかの畳と衣服以外に多くの所持品があったわけでもないから、失ったものも少なく、あれこれと惜しむこともないのである。

彼らの顔には悲しみの跡形もない。まるで何事もなかったかのように、冗談を言ったり笑ったりしている幾多の人々を見た。

火事場そのものもまた、ヨーロッパの場合のような惨状を呈していない。

何もないのだ。それは」、日本の家屋が堅牢なものからはできていないからであり、またその中には堅牢なものは何もおさまっていないからである。

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