民泊仲介業標準約款への疑問
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最終更新日:2023/05/27
旅館、ホテル、宿泊、民泊、不動産賃貸、ルームシェア、引受義務, 民泊問題
民泊と旅館の制度矛盾が感じられます。
旅館業法の唯一の法律事項は宿泊引受義務です。しかし、旅行業法に基づく標準約款では、旅行業者は業務の都合があるときは、契約を拒否できます。
直接旅館に宿泊の申し込みを行うときは、部屋が空いていれば宿泊できるのですが、旅行会社を通すときは、旅行会社の判断で断られることがあるということです。
旅行業務管理者試験にも出題される問題ですから有名なはずです。
逆に民泊法では、民泊業者は旅館と異なり、宿泊引受義務はありません。
それなのに、民泊仲介業者は、この標準約款案の解釈によれば、引受義務が前提となっているように思えます。
旅行業の標準約款と同じく、「(契約締結の拒否) 第七条 当社は、次に掲げる場合において、募集型企画旅行契約の締結に応じないことがあります。八 その他当社の業務上の都合があるとき。」という条項を入れておけばいいと思いますが、どうも逆の方向で検討しているようです。
ちなみに宅地建物取引業法でも契約引受義務はありません。自分の不動産を人に貸すのは自由ですし、その仲介を行う場合も誰と契約するかは自由であるのは当然です。
近隣住民とのトラブル回避問題は、都市計画のレベルの問題であり、財産権との調整都の問題ですから、もっと本質的な議論を行うべきで、標準約款などという、役所の便宜で処理すべきではないでしょう。標準約款以外の約款が認められないわけでもなく、観光振興からはビジネスの創意工夫等個性をつぶす標準約款はむしろ弊害もあるのです。
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