*

民泊仲介業標準約款への疑問

民泊と旅館の制度矛盾が感じられます。
旅館業法の唯一の法律事項は宿泊引受義務です。しかし、旅行業法に基づく標準約款では、旅行業者は業務の都合があるときは、契約を拒否できます。
直接旅館に宿泊の申し込みを行うときは、部屋が空いていれば宿泊できるのですが、旅行会社を通すときは、旅行会社の判断で断られることがあるということです。
旅行業務管理者試験にも出題される問題ですから有名なはずです。

逆に民泊法では、民泊業者は旅館と異なり、宿泊引受義務はありません。
それなのに、民泊仲介業者は、この標準約款案の解釈によれば、引受義務が前提となっているように思えます。
旅行業の標準約款と同じく、「(契約締結の拒否) 第七条 当社は、次に掲げる場合において、募集型企画旅行契約の締結に応じないことがあります。八 その他当社の業務上の都合があるとき。」という条項を入れておけばいいと思いますが、どうも逆の方向で検討しているようです。
ちなみに宅地建物取引業法でも契約引受義務はありません。自分の不動産を人に貸すのは自由ですし、その仲介を行う場合も誰と契約するかは自由であるのは当然です。

近隣住民とのトラブル回避問題は、都市計画のレベルの問題であり、財産権との調整都の問題ですから、もっと本質的な議論を行うべきで、標準約款などという、役所の便宜で処理すべきではないでしょう。標準約款以外の約款が認められないわけでもなく、観光振興からはビジネスの創意工夫等個性をつぶす標準約款はむしろ弊害もあるのです。

関連記事

no image

旅館業法の「宿泊拒否」箇所を削除、衆院委で改正案を可決 2023年5月27日読売新聞記事

「衆議院厚生労働委員会は26日、感染症流行時の宿泊施設の対応を定める旅館業法などの改正案について、自

記事を読む

no image

東京オリンピック・パラリンピック時代の医療観光(日本医療・病院管理学会講演要旨)

都市の魅力を訪問客数で競う時代になっている。ロンドン市長が世界一宣言を行ったところ、パリが早速反駁し

記事を読む

no image

「正座」の始まりは百年前 千利休は、あぐらをかいて茶を点てていたのである

ホテルと旅館を法律上区分する日本の宿泊法制度は珍しい。 その違いを考えると、和式と洋式の違いは「靴

記事を読む

no image

書評『ベルツの日記』

ベルツが来日早々に経験した江戸の華、火事に関する記事。シュリューマンと同じ目であ

記事を読む

世界人流観光施策風土記 ネットで見つけたチベット論議

立場によってチベットの評価が大きく違うのは仕方がないので、いろいろ読み漁ってみた。 〇 200

記事を読む

no image

newspicks のコメント紹介 米国の場合は、住居を宿泊施設として紹介することは法的にできない

NAKAJIMA NAOTO( 30年間米国LAに暮らし、LAをベースに米国内、欧州、アフリカなど

記事を読む

no image

旅館業法論議 無宿人保護(旅館業法)と店子保護(不動産賃貸)の歴史 

◎東洋経済の記事 https://toyokeizai.net/a

記事を読む

no image

井伏鱒二著『駅前旅館』

新潮文庫の『駅前旅館』を読み、映画をDVDで見た。世相はDVDの方がわかりやすいが、字句「観光」は

記事を読む

運送機能の分化に対応した旅行商品の創成

レンタカー会社から高級車を借り上げ、多国語を操るカリスマ運転手を派遣してもらい、その他のサービスを組

記事を読む

no image

旅行業法の不思議② 宿泊引受義務と民泊(Airbnb)論議

Airbnbは、同社にとって最も成長率の高い市場である日本において、登録物件の近隣に住む住民が苦情を

記事を読む

no image
2025.11月24日 地球落穂ひろいの旅 南極旅行の基地・ウシュアイア ヴィーグル水道

アルゼンチンは、2014年1月に国連加盟国58番目の国としてブエノスア

no image
2025年11月23日 地球落穂ひろいの旅 マゼラン海峡

プンタアレナスからウシュアイアまでBIZBUSで移動。8時にPUQを出

2025年11月22日地球落穂ひろいの旅 プンタアレナス

旅程作成で、ウシュアイアとプンタアレナスの順序を考えた結果、パスクワか

2025年11月19日~21日 地球落穂ひろいの旅イースター島(ラパヌイ) 

チリへの訪問は2014年に国連加盟国 として訪問済み。イースタ

2025年11月17日 アメリカ合衆国(国連加盟国5か国目)ワシントン州(19番目の州) ポイントロバーツ

アメリカ合衆国は、アラスカ、ニューヨーク、(DC)、ヴァージニア、イリ

→もっと見る

PAGE TOP ↑