「衣食足りて礼節」をあらためて知る(2014年5月)
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最終更新日:2016/11/25
ジャパンナウ観光情報協会
クールJapan戦略のため日本社会のCOOLな部分が取り上げられる機会が多くなりました。中国製品との比較において、日本の製品は質が良く安全だと評価されますが、大正期は儲け重視で不正行為のオンパレード。特許権の侵害や商標盗用を繰り返し、粗製濫造を重ねていました。大豆への石の混入といった超ズサンな手口でした。 JIS規格は日本製品の悪評対策として戦前に実施されたのです。
日本人の交通機関でのマナーの良さも褒められますが、大正時代の光景は傍若無人の見本市でした。現在のようにお年寄りや病気の人に席を譲るという習慣はなく、先に座った者勝ちの状態だったようです。窓の外へ弁当箱やビール瓶などのゴミを投げ捨て、線路の保安員が重傷を負う事件もあったようです。政府主催の天皇誕生日パーティーでさえ、“身分の高い人たち”が食器等を持ちだすことがあったようです。
国鉄幹部の藤島茂氏の随筆を材料にした「トイレット部長」という映画があります。駅のトイレも決して今日のような評価を受けたものではなく、赤字時代はむしろ低い評価でした。民営化が決まってから、改革意識を高めるためでしょうか、国鉄幹部が掃除道具を持って都内駅トイレを掃除に回り始めたくらいです。
友達や同僚と道をふさいでの歩行や高齢者の自転車マナーは外国人には最悪とうつりますし、電車内で老人に席を譲らない若者を、儒教思想が強い中国人は不可解に思っています。中国のお年寄りは席を譲ってもらって当然と考えている人が多く、中国四川省では、優先席を譲ってもらえなかったお年寄りが、怒ってバスを止めるという事件も起きたそうです。「自閉症の子供がレストランに来たらどうするか」の動画サイト(*)を見ると、日本人文化よりもアメリカ人文化の方が進化しているような気もします。結局マナーについは文化でもありケースバイケースなのでしょう。観光研究者は丁寧に論評することが必要です。
*https://www.youtube.com/watch?v=qabSiRIf7TU&feature=player_embedded
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