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ジャパンナウ2019年9月号原稿「森光子記念館」

著名人の顕彰施設は著名である限りは存続する。問題は経年変化により著名人でなくなった場合である。文化的価値等があれば存続の可能性があり、運が良ければ大英博物館に引き取られることもある。世界を見渡せば、ビートルズが代表例である。リバプールではマジカルミステリーツアーという旅行商品が販売されている。ストロベリーフィールドやツアーでしか入れないポールやジョンの家に手軽に回れ、値段は3千円程度。つまり町ぐるみ顕彰するビジネスに成長している。実在しないものでも、ピーターラビットとコッツウォールズなどはその成功例である。日本でも寅次郎と柴又は現在は成功事例であるが、その後の継続の可能性は地元の力による。もう一つの成功事例は基金の設立であり、基金があれば永続性が確保できる。松井秀喜は大リーガーの盟友ジータの発想にならい、自ら基金設立「松井55ベースボールファウンデーション」を設置している。世間によくある〇〇御殿の大半は崩壊しており、明治の元勲の屋敷等が一部財団等で保存されているものがある程度である。地域とのつながりは、歴史と時間を必要とする。単に生まれたぐらいならどこにでもある。裕次郎と小樽も裕次郎の名前ビジネスであった。彼が小樽開拓者のリーダーだったならまた違った。

加賀山中温泉の森光子記念館は短命だった。市長時代に同温泉で創業八百年・よしのや家が倒産し湯快リゾートが引き取った。しかし、皇室ゆかりの別邸依緑苑は加賀市に引き取ってほしいといってきた。えてしてこの手の寄付は、市長の個人的趣味に左右されるという批判があるが、天皇陛下三代にわたりご宿泊されたという歴史は重要であり、寄付を受けた。この別邸の活用をめぐり、森光子記念館の要望が関係者から内々出された。文化勲章受章者であり加賀山中温泉菊の湯名誉館長であったから大儀はたつが、遺品管理は責任が伴う。市への寄贈という条件を出したが、遺品所属に関し関係者で話がつかなかったのであろう、依緑苑は使用せず個人的に記念館を運営するということに落ち着いた。開館当時は人気があり、ビジネスは成功したかにみえたが、森光子さんの名声でも新幹線金沢開業までもたなかった。

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