ジャパンナウ観光情報協会原稿 日本人が海外旅行をしない理由~ハワイと沖縄と韓国比較から見えるもの~
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最終更新日:2023/05/30
ジャパンナウ観光情報協会
ハワイも沖縄も島民人口は114万人であり、島外旅行客も約850万人とほぼ同数である。しかし、一人当たり住民所得はハワイ5万5千ドルに対して、沖縄210万円と半分以下なのである。この沖縄の所得は台湾や広州とほぼ同じでもある。日本の一人当たりの名目GDPは3万8千ドルだが、人口の多い東京は5万8千ドルだから、日本の地方はそれほど高くないのである。韓国は2万7千ドルだから、福岡以外の九州の地域を超えている。それにしても、韓国人の海外旅行率が38%であるのに対して、熊本は7%、鹿児島が4%と極めて低率である理由がわからず疑問を抱いていた。所得の差だけでは説明ができないからである。
冷泉彰彦氏の747回『from 911/USAレポート』を読み、この疑問が解けた。所得が伸びないうえに休息時間が少なくなったことを理解したからである。世銀データを基に「勤労者一人あたりのGDP」をみると、日本は7万3千ドルと、EUの平均値より悪く、ギリシャや韓国と同等である。これだけでもショッキングであるが、仮に「労働時間の一時間あたり」という統計が可能となり、時間内プラス時間外の労働時間に、有給消化率やバカンスを加味していくのであれば、恐らく日本の場合は、数字としては完全に途上国の水準になってしまうと冷泉氏は主張される。日本の「働き方」というのは完全に破綻レベルであり、国家は破綻していなくても、個々の職場における生産性というのは失敗レベルにあると厳しく評価される。
テンミリオン計画が達成されたころの日本は勢いもあった。その一方で、今日のような長時間労働問題もなかった。観光政策は国民を豊かにすることを目的にしているはずである。外客が増加して世界水準になっても、日本人は一向に豊かになったとは思われない。その原因の一端が日本人の働き方、その裏返しの休み方にあることに気が付かなければならない。
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