杉原幸吉先生の「錯覚観光」 ジャパンナウ観光情報協会セミナー
公開日:
:
最終更新日:2023/05/28
ジャパンナウ観光情報協会, 脳科学と観光
杉原幸吉先生の錯覚の研究についてはこれまでも紹介してきたので省略して、今回のセミナーで気付いたことをメモしておく。
人間の目は、外部の三次元世界を二次元世界に置き換えてみている。そして、また三次元世界に復元して理解しているが、復元の仕方は無限大にある。そのことは見えている図形をコンピュータで可能な立体図形を描かせれば無限にできることがわかるからだ。その中から人間は自分に都合のいい一つを選び出している。その結果錯覚が発生する。観察の結果人間は直角が好きということが経験的わかってきた。人間は五億年かけて両眼立体視を作り、直角が好きになったのだ。このことを研究しているのは、ゲシュタルト心理学者で、プレグナンツの法則等が提唱されている。
なお、直角の少ない文明との接触の少ない民族に錯覚が発生するか確認してみたいようだが、完全に接触していない民族が見つからない。
種明かしをした後、もとの平面図形を見て、違った立体図形が見える人もまれに存在する。その人は日常生活に支障がないのか興味がある。もし種明かし以前に違った立体図形が見えるとしたら、「直角が好きではない」ということになり、個性が大きく異なっていることになる。
今AIの研究が行われており、ロボット研究も進んでいる。ロボットをつくるとき、人間に近いものを作るとしたら、錯覚が起きるように作らないとならないであろうが、そもそもロボットを作る目的がなんであるかということになる。自動運転車は錯覚が起きないようにつくるのであろうから、両眼立体視だけではなく、複数の観測結果を反映するものになるのであろう。
最後に、錯覚を活用した資源に「エイムズの部屋」がある。Googleで動画検索をすればすぐに理解できる。
関連記事
-
-
動画で考える人流観光学 観光情報論 意識 受動意識仮説 知、情、意
意識は幻想か?―「私」の謎を解く受動意識仮説(⇔サーチライト仮説) 間延びしないように意識をずらす
-
-
動画で考える人流観光学 カンブリア爆発
https://youtu.be/dm276hMu6bU
-
-
ジャパンナウ2019年1月号原稿 ホーキング博士とローマ法王
人流・観光は意識に対する刺激により発生し、最も強いものが死に関するものであるから、戦跡や虐
-
-
書評 AIの進化が新たな局面を迎えた:GTP-3の衝撃
米国コロナ最前線と合衆国の本質(10)~AIの劇的な進展と政治利用の恐怖~ https://
-
-
『音楽好きな脳』レヴィティン 『変化の旋律』エリザベス・タターン
キューバをはじめ駆け足でカリブ海の一部を回ってきて、音楽と観光について改めて認識を深めることができた
-
-
2002年『言語の脳科学』酒井邦嘉著 東大教養学部の講義(認知脳科学概論)をもとにした本 生成文法( generative grammar)
メモ p.135「最近の言語学の入門書は、最後の一章に脳科学との関連性が解説されている」私の観光教
-
-
観光行動学に求められるもの 臭覚(匂い、臭い)についての理解
匂いについての下記解説を読んだ。臭覚により、人間は認知している面があるから、ロボットも認知できるた
-
-
ハーディ・ラマヌジャンのタクシー数
特殊な数学的能力を保有する者が存在する。サヴァンと呼ばれる人たちだが、どうしてそのような能力が備わ
-
-
2015年7月12日・日曜日の新聞(脳のこと)
当日は朝日にも読売にも脳に関する記事が掲載されていた。読売は『意識はいつ生まれるか』マルチェッロ・マ
-
-
非言語情報の「痛み」
言語を持たない赤ん坊でも痛みを感じ、母親はその訴えを聞き分けられる。Pain-o-Meter Sc
