欧米メディアの負の本質 ナイラ証言(Nayirah testimony)
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観光資源
ナイラ証言とは、「ナイラ」なる女性(当時15歳)が1990年10月10日に非政府組織トム・ラントス人権委員会にて行った証言。イラクによるクウェート侵攻後、「イラク軍兵士がクウェートの病院から保育器に入った新生児を取り出して放置し、死に至らしめた」、その経緯を涙ながらに語った事で知られる。国際的な反イラク感情とイラクへの批判が高まって、無関係に近かったアメリカを中心にイラクへの攻撃支持世論が喚起されることとなる。
「証言」は裏付けの取れたものと国際的に認識されていたが、クウェート解放以後マスコミが同国内に入り取材が許された結果、虚偽の「証言」であった事が発覚した。また、1992年に「ナイラ」なる女性は苗字がアッ=サバーハであり、当時クウェート駐米大使であったサウード・アン=ナーセル・アッ=サバーハの娘だった事実が明らかになった。その上、証言自体がイラクから攻撃を受けて劣勢だったクウェート政府の意を受けたヒル・アンド・ノウルトンによる自由クウェートのための市民運動の反イラク国際世論扇動のために行った広報キャンペーンの一環であったことが判明した。アメリカ合衆国大統領、上院議員や、各国のマスメディアも「証言」は幾度となく引用され、反イラク世論喚起どころか世論の高まりを受けたアメリカ参戦で敵対国イラク壊滅などクウェート政府によるプロパガンダとして大成功であった。この「証言」はクウェート政府が目的としていた湾岸戦争の火付け役となり、「女性や子供の証言」「現地で現場を見た被害者は嘘をつかない」との人々の根強い思い込みを背景に、弱者側が女性又は子供を利用したプロパガンダの例として引用される。
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