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QUORAにみる歴史認識 大坂なおみが二重国籍を認められたことで、日本は二重国籍を認めていることが表に出ましたが、これまで二重国籍はダメだと思いこまされてどちらかの国籍を諦めたり、秘密にしてきた人も多いのではないですか?

公開日: : 最終更新日:2020/12/01 歴史認識


大坂なおみが二重国籍を認められたことで、日本は二重国籍を認めていることが表に出ましたが、これまで二重国籍はダメだと思いこまされてどちらかの国籍を諦めたり、秘密にしてきた人も多いのではないですか?

多くの方たちが誤解しており、しかも自分に関係ない、当事者でもないのに、感情的になって「事実上」二重国籍者を犯罪者呼ばわりする人までいるこの件について頑張って整理してみたいとおもます。

先ず、日本の二重国籍を認めないという法律(国籍法だったかなんだったか)自体が、違憲という解釈ができるらしく、そもそも当局自体がこの法律をEnforceすることをやっていません。

それはともかく、この法律に杓子定規に則る場合、日本国籍を所有しかつ二重国籍を合法的に持てるのは、ある条件に当てはまる場合のみとなります。それは、産まれながらにして日本以外の国籍を所有している場合に限るということです。最も多いのが両親のどちらかが外国人という場合ですが、出生地主義のアメリカなどの場合は、両親がともに日本人であっても、たまたまアメリカ国土で産まれたら、その人はアメリカ国籍も所持することになります。そして、この条件に当てはまる人たちにも、時限があります。それは、21歳だか、22歳だったかまで。しかし、この法律は元々隙だらけで、本人が日本国籍を選択すると言っても、もう一方の国の国籍を離脱することが困難であったり、場合によっては不可能であったり(国籍の離脱を認めていない国があります)するので、本人の意思に反して他国籍の離脱ができないという状況が発生します。この場合日本がその相手国に行って、こいつの国籍離脱を認めろと強制することは勿論できません。そんなことしたら戦争になりますからね。従って、本人の真意に関わらず、「自分としては外国籍の離脱をしたいのだが、非常に困難、あるいは不可能なんだ」と言ってしまえば、二重国籍状態は完全に合法的に続きます。大阪なおみは産まれながらの二重国籍なので、日本政府が認めたもクソもありません。時限が来るまでは、大手を振って二重国籍で良いわけです。彼女がただの普通の人であった場合、時限を過ぎても日本国籍を選択したものの、他国籍の離脱がままなりませんと言えば、議論が終了します。ただ彼女の場合、日本のOlympics代表選手になるので、米国籍は離脱するはずだったかと思います。彼女だけ特別とかやったら、それこそ大変な騒ぎになりますから。例の過失致死犯の上級国民と同等の議論になるかと。

また、私はこの条件に当てはまる人物が、時限を過ぎてから自分の意思で米国籍選択する故の日本国籍離脱の手続を米国の日本領事館にしに行った場面に同席しています。このとき、担当の領事館員は「本当に離脱するんですか?離脱する必要なんて無く、二重国籍のままで良いんですよ」と言って意思の再確認、さらには慰留までしようとしました。この法律がいかに強制力や効力が無い法律であるかがわかると思います。

さて、秘密にしているどうのこうのは、「事実上」二重国籍保持者に当てはまる話かと思います。それは、もともと日本国籍しか所持していない者が、生後に自分の意思で他国に帰化し他国籍を得た場合です。この場合、例の法律に杓子定規に則れば、その人は一瞬たりとも正確な意味では二重国籍者ではないのです。なぜなら、その法律はそのような行動をとった場合、その者は日本国籍を自動に喪失するとあるからです。その場合は、その人の意思で日本国籍を放棄や離脱をするのではなく、剥奪されるということです。しかし、これは観念的な話であって現実的な話とはかけ離れています。何故なら、日本に国籍証明書なるものがあるわけではありません。日本の国籍を証明するものは事実上は戸籍です。アメリカにも国籍証明書なるものは存在せず、事実上それとなるものは、出生証明書または帰化証明書です(他の国のシステムは知りません)。では、産まれたときに日本国籍しか持っていない人が、他国の国籍を取得した場合に、その人の戸籍が自動的に抹消になるでしょうか?勿論なりません。世界各国の移民局のシステムが日本の戸籍システムと連携されていたり、日本にいちいち連絡をしてきてくれるわけではないのですから。世界各国の移民局が、日本の国籍法が「遵守」されるためにそんなことをしているほど暇ではありません。それでは、実際にどうやって日本国籍の喪失が正式化されるのかということ、これはその本人が戸籍を抹消する手続をしないといけないわけです。この矛盾がおわかりになりますか?自動的に喪失するはずが、実際には自動的に起こらない、本人が手続を開始しないといけないわけです。他国の帰化証明書を提出したりなんやらで、それなりに面倒くさい手続をです。しかし、もともと自分で自分の国籍が正式に抹消されるという多くの人が心理的抵抗を持つであろう手続きを、実際に法律の罰則が適用されることがない、政府も見て見ぬ振りをしているとわかっているのに、どれほど律儀に行うでしょうか?多くの人がしません。こうして、潜在数数十万人とも言われる「事実上」二重国籍者が生まれるるわけです。

そのような人たちが日本に入国する際に入国審査官にパスポートを取り上げられた、今は航空会社のシステムが入出国審査局とシステムと連携していて、出国手続の際に捕まったとか、まことしやかにネット上で言っている人たちを見かけますが、全くの大嘘だと断言できます。なんの問題もなく入出国できます。

ただし、こういった「事実上」二重国籍の人たちがその状態を維持していく上でネックとなるのが、パスポート更新です。外国の日本領事館で更新しようとすると、その国における外国人としての滞在資格(例えばアメリカのグリーンカードや、L1ビザなど)を提出しないといけないので、更新を拒否されます。だって、既にその国の国民なので、外国人としての滞在資格は喪失していますよね。日本に一時帰国して更新するという手もありますが、申請書類に「他国籍を所持していますか」と言う質問があるそうで、出生は日本で両親とも日本人であるのにこれに「はい」と答えると、申請を拒否されるそうです。ここで諦めるか、「うっかり」と「いいえ」と答えて日本パスポートを更新し続けるかは当人が選択することであり、他人がとやかく言うべき筋合いの話ではないと思います。

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