🌍🎒モンゴル観光調査の準備~社会主義が生み出した民族の英雄~
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最終更新日:2023/06/13
シニアバックパッカーの旅, 歴史認識
8月17日から2週間、地球環境基金の仕事でモンゴルの観光、環境調査に参加する。予備知識を得るため参考文献を読んでいるが、チンギス・ハーンは、社会主義以前の20世紀初頭には、モンゴルの庶民達の間では忘れ去られていた存在であったということを知り、驚いた。
ウランバートルの空港チンギスハーン空港は2006年改名されてできたものである。2013年には社会主義時代の建国の英雄の名を冠したスフバートル広場がチンギスハーン広場に改名された。
従来の研究ではモンゴルにおいてナショナリズムの資源としてチンギスが活用されるようになったのは社会主義の放棄と民主化が進む家庭で始まったと考えられていた。しかし、チンギス・ハーンの名前や知識が一般庶民に普及したのは社会主義の時代を通してのことであったということだ。
チンギス・ハーンの名前や血統は、かつて王侯貴族の権威正統化のための資源であった(チンギス統原理)。しかし、庶民の間では民族の英雄だという意識はなかった。七百年前のモンゴル語は現代モンゴル語とかなり異なっている。元朝秘史をモンゴル旧字で出版されても一般庶民は理解できない。
こうした近代化以前の民族意識の欠落はモンゴル特有のことではなく、印刷や出版技術の向上により民族が発生するという「印刷資本主義」(B・アンダーソン)の結果なのである。モンゴルでは近代化や印刷出版技術の普及が社会市議によってもたらされたのである。
1962年チンギス・ハーン生誕八百年祭が途中で中止を余儀なくされた。「チンギスは破壊的な軍事遠征を行った反面、チンギスはモンゴルに対して国家の統一や法律、文字の制定と言った肯定的な利益をもたらした」という歴史学者の主張が、民族主義的であるというソ連の警告を無視したとされたからである。
ソビエト共産党は、モンゴルの民族の英雄の名をかたることを許さなかった。その理由はチンギスが抑圧的な封建社会の立役者であるという社会主義イデオロギーよる批判というよりも、13世紀にロシアを蹂躙したことへの民族的怨恨による。
チンギス・ハーンについても観光資源は後から造られるという私の主張を裏付けられる例が発見され、わが意を得たりと思っている。ここで、日本でも歴史上神話上著名な人物がいつ頃から庶民に知られるようになったのか知りたいと思うようになった。聖徳太子、日本武尊、卑弥呼、坂本竜馬等である。専門家ではないので時間をかけて調べてみたいと思っている。
なお坂本竜馬については、ウィキペディアでは「坂本龍馬は維新後しばらくは注目されることのなかった存在だったが、1883年に高知の『土陽新聞』に坂崎紫瀾が書いた『汗血千里の駒』が掲載され、大評判となった事により一躍その名が知られるようになった」「次に龍馬ブームが起きるのは日露戦争時である。開戦直前の1901年2月6日、皇后・美子の夢枕に龍馬が立ち、「私が海軍軍人を守護いたします」と語り、皇后はこの人物を知らなかったが、宮内大臣田中光顕(土佐勤王党出身で陸援隊幹部だった)が、龍馬の写真を見せたところ、皇后は間違いなくこの人物だと語った。事の真偽のほどは定かではないが、この話が全国紙に掲載されたため、坂本龍馬の評判が全国に広まる事となった。 日本海海戦で大勝したことで、皇后の御意思により京都霊山護国神社に『贈正四位坂本龍馬君忠魂碑』が建立された」とある。
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