町田一平氏の私の論文に対する引用への、厳しい意見
公開日:
:
最終更新日:2023/05/21
観光学評論等
町田一平氏がシェリングエコノミーに関して論文を出している
https://m-repo.lib.meiji.ac.jp/dspace/bitstream/10291/19632/1/shogakuronso_100_2_49.pdf
その中で「交通分野全般におけるシェアリング・エコノミー活動の研究について,寺前(2016)は シェアリング・エコノミーの論議の方向性,複数の輸送モード及び関連施設の利用や複数の海外 事例,今後の方向性を検討した。しかし,交通分野におけるシェアリング・エコノミー活動の範 疇やその定義付けには触れていない。 」と記述しているが、肝心の内容について触れていないので、メールを出しておいた。同業者なので、遠慮なく書かせていただいた。以下紹介する。
町田一平殿 偶然インターネット検索で、貴殿が私の論文を引用していることを発見し、 その私の論文に関して言及されている点につき、議論が不足している点を指摘しておき ます。 「交通分野全般におけるシェアリング・エコノミー活動の研究について,寺前(2016) は シェアリング・エコノミーの論議の方向性,複数の輸送モード及び関連施設の利用や複 数の海外 事例,今後の方向性を検討した。しかし,交通分野におけるシェアリング・エコノミー 活動の範 疇やその定義付けには触れていない。」 とありますが、おかしな指摘です。 法的な概念については、あらゆる機会にこれまで触れていますが、 乗合と貸切しかありません。きわめて単純で議論以前です。 両者が相対化していることは2000年ころに出した「モバイル交通革命」でも触れていま すので、 お読みください。 物流に関して、貸切と混載について「経済構造改革と物流」でも触れています。 貴殿が在職した日通総研が出版していますよ。 次に、定義に関する話題が、交通でも、物流、観光でも出てきて、目あたらしさもあっ て横文字を使用することがあります。 物流などは、私が運輸省にいたころに、その言葉の使用をめぐって関係省庁間でも争い があったくらいです。 概念は、それを必要とする社会的背景があります。次にその概念を表す字句が生まれる のですが、 既存の字句が使用されることもあります。 概念「観光」と字句「観光」の遭遇という論文の発表していますから、参考にしてくだ さい。 シェアリングなどという生煮えの言葉は、概念自体まだそこまでいていないのですから 、 指摘されるような段階ではないでしょう。 私の論文を引用するなら、そこで記述した本質的なことを紹介しておいてください。 きちんと読んでいただいていないのではと思いたくなります。 宜しく願います。
関連記事
-
-
観光学が収斂してゆくと思われる脳科学の動向(メモ)
◎ 観光学が対象としなければならない「感情」、「意識」とは何か ①評価をする「意識」とは何か
-
-
『ダークツーリズム拡張』井出明著 備忘録
p.52 70年前の戦争を日本側に立って解釈してくれる存在は国際社会では驚くほど少ない・・・日本に
-
-
河口慧海著『チベット旅行記』の記述 「ダージリン賛美が紹介されている」
旅行先としてのチベットは、やはり学校で習った河口慧海の話が頭にあって行ってみたいとおもったのであるか
-
-
観光資源、観光行動の進化論
「クラシック音楽に隠された「進化の法則」、東大京大の研究者が発見」tいうひょだいの興味深い記事を発
-
-
「植民地朝鮮における朝鮮総督府の観光政策」李良姫(メモ)
植民地朝鮮における朝鮮総督府の観光政策 李 良 姫 『北東アジア研究』第13号(2007年3月
-
-
ジョン・アーリ『モビリィティーズ』吉原直樹・伊藤嘉高訳 作品社
コロナ禍で、自動車の負の側面をとらえ、会うことの重要性を唱えているが、いずれ改訂版を出さざるを得な
-
-
Ctripの空予約騒動について 大山鳴動に近い騒ぎ方への反省
「宿泊サイト、予約しない部屋を販売」といった表題でテレビが取り上げ、関係業界内ではやや炎上気味であ
-
-
『科学の罠』長谷川英祐著「分類の迷宮」という罠 を読んで
観光資源論というジャンルが観光学にはあるが、自然観光資源と文化観光資源に分類する手法に、私は異議を唱
-
-
人流抑制に関する経済学者と感染症学者の意見の一致「新型コロナ対策への経済学の貢献」大竹文雄 公研2021年8月号No.696を読んで
公研2021年8月号No.696にコロナ関連の有識者委員等である、行動経済学者大竹文雄氏の「新型コ
-
-
『眼の神殿 「美術」受容史ノート』北澤憲昭著 ブリュッケ2010年 読書メモ
標記図書の存在を知りさっそく図書館から借りてきて拾い読みした。 観光資源の文化資源、自然資源という