『仕事の中の曖昧な不安』玄田有史著 2001年発行
公開日:
:
観光学評論等
書評ではなく、経歴に関心がいってしまった。学習院大学教授から東京大学社研准教授に就任とあることに目が行った。とある大学設立準備事務を手伝っており、既存大学の教師をリクルートするにあたって、この職位(教授等)が問題になるからである。文科省には職位に関する内規が存在するが、既存大学の職位は教授会で決定するから、当然ずれが発生する。しかし考えてみれば、会社の社長から別の会社の部長になることはいくらでもあるだろう。大学も学校教育法上の取り合扱いは同じであるが、その社会的評価には差が出てくるから、職位にもずれが出るのである。なお、玄田氏の評価はWikiを読むと面白い。
アマゾン書評
2002年 現代の経済学は、社会学的視点を抜きには語り得ない、ということがよく分かった。にしても、素晴らしい論文だと思う。
「高齢化社会、若年労働力の減少に危機感」などという記事を目にする割に、若年労働市場って明るさがない。何なんだ、これは!そんな苛立ちを解放してくれる。
今、団塊世代が定年を迎えつつある。この大量の高給取り達が、グループ終身雇用(出向、転籍を含めた大きな意味での終身雇用)の囲われた会社から出ていく今後(本書によると2010年あたり)、現在のような閉塞感に覆われた状況は変化するのだろう。
1990年代以降に辛酸をなめた世代は、どうなるのだろうか。「俺達のころは、おまえらみたいにおいそれと大企業に入れなかったんだ」などと言う世代になっていくのだろうか。それも経済学者の一部が言うように大企業が衰退してそんな時代はこないのだろうか。今後についても、いろいろと思索させてくれる材料を提供してくれる。
2002年 中高年の既得権益に関する本書の内容は、間違いなく若年層には圧倒的な支持を得るだろう。 記載されている内容はデータの裏づけがあり確度も高いと思う。
中高年層が権益を掌握する社会では、本書或いは本書と同等の趣旨が 例えば著名経済誌等で明らかにされることがありえないのは当然か。
世界的に進行する少子高齢化とともに社会構造的問題の本質はひょっとするとここにあるかもしれない。
中高年層が本書を読んだ感想はいったいどうなるのだろうか。 開き直るか、逆ギレするか、なにせデータによる合理的な説明が本書にはある。
いずれにせよ若年層であれば、大いに共感し勇気付けられることは間違いない。
私も中高年層の影響を最小化するためのスキームを早く考えねば...。
関連記事
-
-
国立国会図書館国土交通課福山潤三著「観光立国実現への取り組み ―観光基本法の改正と政策動向を中心に―」調査と情報554号 2006.11.30.
加太氏の著作を読むついでに、観光立国基本法の制定経緯についての国会の資料を久しぶりに読んだ。 そこ
-
-
字句「美術」「芸術」「日本画」の誕生 観光資源の同じく新しい概念である。
日本語の「美術」は「芸術即ち、『後漢書』5巻孝安帝紀の永初4年(110年)2月の五経博士の劉珍及によ
-
-
『ダークツーリズム拡張』井出明著 備忘録
p.52 70年前の戦争を日本側に立って解釈してくれる存在は国際社会では驚くほど少ない・・・日本に
-
-
辛坊正記氏の日本の中小企業政策へのコメント
下請け泣かせにメス、政府が価格交渉消極企業を指導-150社採点 Bloomberg 2023/02
-
-
河口慧海著『チベット旅行記』の記述 「ダージリン賛美が紹介されている」
旅行先としてのチベットは、やはり学校で習った河口慧海の話が頭にあって行ってみたいとおもったのであるか
-
-
「若者の海外旅行離れ」という 業界人、研究者の思い込み
『「若者の海外旅行離れ」を読み解く:観光行動論からのアプローチ』という法律文化社から出版された書
-
-
Deep learning とサバン(思い付き)
「 スタンフォード大学の研究チームが、深層学習を用いて衛星画像からソーラーパネルを探し出すディープ
-
-
加太宏邦の「観光概念の再構成」法政大学 法政志林54巻4号2008年3月 を読んで
加太宏邦の「観光概念の再構成」法政大学 法政志林54巻4号2008年3月の存在をうかつにも最近まで知
-
-
新語Skiplagging 「24時間ルール」と「運送と独占の法理」
BBCの新しい言葉skiplagging
- PREV
- ◎『バブル』永野健二著
- NEXT
- 『カシュガール』滞在記 マカートニ夫人著 金子民雄訳
