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辛坊正記氏の日本の中小企業政策へのコメント 

公開日: : 最終更新日:2023/05/09 観光学評論等

下請け泣かせにメス、政府が価格交渉消極企業を指導-150社採点 Bloomberg 2023/02/07へのnewspicsコメント

「発注側企業の約150社について価格交渉や転嫁の状況の取り組みについて採点」、「価格転嫁の取り組みを支援することで中小企業が賃上げを行えるよう後押し」、「大企業では賃上げに向けて前向きな取り組みが広がりつつあるが、雇用の約7割を占める中小企業が鍵」 (@@。
大企業が本当に必要とし、そこしか生めないモノやサービスを提供する中小企業なら、自ずと価格転嫁が進むはず。購買力が弱く価格転嫁も出来ない企業は合従連衡やM&Aを通じて競争力を高め大型化するのが筋なのに、雇用規制と雇用調整助成金、さらに様々な補助金に恵まれて我が国では中小企業の新陳代謝が進みません。そして後継者も無いまま消えてゆく。事業変革と新陳代謝が進まないという点では大企業もまた然り。
こうした状況下で非効率な中小企業の価格転嫁を政府が強制的に進めたら、大企業の側が国際競争力と賃上げ余力を失って、日本に根を張る企業群が中長期的に弱くなってて行くだけじゃないのかな・・・
強い大企業を虐めて弱い中小企業を守る施策は国民の正義感をくすぐって歓心を買いますが、日本を中長期的に豊かにすることにはなりません。我が国は恒常的な人手不足状態にあるのです。中小企業庁が目指すべきは公正な市場で企業が切磋琢磨して効率性を上げる仕組みを整え、他省庁と連携して非効率な企業を離れた従業員が賃金の高い企業に安心して移れる体制を整えることにあるように感じます。
こうした介入は刹那的に中小企業を守る役には立ちますが、国内に根を張る大小企業群の国際競争力を全体的に低下させ、我が国を結局は貧しくしてしまうんじゃないのかな (・・?  社会主義国じゃあるまいし、政府がこうした形で民間企業の経営に踏み込むのは如何なものかと思います。 ( 一一)

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