*

『細菌戦部隊と自決した二人の医学者』常石敬一、浅野富三

公開日: : 最終更新日:2019/07/02 戦跡観光

p.97に「厚生省の設置」の記述があるが、著者は「厚生」の語源には興味なく触れていない。観光研究者には字句「厚生』の採用に興味がある。陸軍省医務局、内務省衛生局 「衛生省設置の急務について」 1937年7月9日「社会保険省(仮称)設置要綱」12月29日官制「厚生省」

p.189 米軍は、戦犯免責をエサに日本軍の細菌戦のノウハウを独り占めしたが、その矢先に、事情を知らないサットン検事が「敵、多摩部隊は・・・」とやり始めたのである。アメリカは慌てた。この後は言う必要はあるまい

また、井出明『ダークツーリズム拡張』p.177では「終戦間際には、関係者とかぞくは居留民に先駆け、施設内部まで引き込んであったこの鉄道を使ってプサンまで一気に脱出し日本に帰国している」「日本の右派は731部隊が関係する展示に関し非常に懐疑的であるが、・・・731部隊の主要メンバーが軍人であったにもかかわらず、一般の日本人をかえりみることなくいち早く脱出したことについては、もう少し意識しておいてもよい」「批判に耐えられるよう、外国の資料を含めた証拠で固め・・・世界遺産登録を意識している」と記述している。

書評は、 https://blog.goo.ne.jp/ryuzou42/e/df59284c96140779b8d4a8869965e662

唯一の加害国だった日本! 下「」引用。
「唯一、原爆の洗礼を受けた国ではあるが、細菌兵器に関しては、第二次世界大戦中、唯一、実戦に使った加害国だったからである。」

2人の学者……。下「」引用。
「さて、敗戦直後の昭和二十年九月、二人の医学者が自殺した。一人は厚生省生みの親と言われ、自らも大臣をつとめた小泉親彦元陸軍軍医総監・軍医中将。もう一人は東京帝国大学伝染病研究所(現在の東大医科学研究所)の助教授である。」

後者は人体実験をしたから自殺したという。
その人体実験をした助教授の名は仮名だという。下「」引用。
「助教授とその家族、及び義兄の軍医大佐の家族のね名前についてはご遺族からの強い要望もあり仮名にした。しかし、経歴、証言をはじめその内容は全て事実通りである。」

「徴兵拒否」自殺した人もいるという……。下「」引用。
「ピクリン酸中毒になると赤血球が破壊され、神経中枢が侵されると発作を起こし、また臓器に壊死を来すこともあるという。このため「徴兵忌避又は自殺を目的にピクリン酸を摂取する人」もいたと、小泉は述べている。」

飯島(仮名)の自殺……。下「」引用。
「野田さんの話では、死体を見つけたのは昭和二十年九月三日午前八時三十分ごろだった。場所は東京帝国大学付置伝染病研究所本館二階、飯島の研究室、この朝は台風14号が台湾近くの海上を北進中で、東京地方は厚い雲におおわれていた。」

多摩部隊(一六四四部隊)についても書かれてあった……。下「」引用。
「このウェッブ裁判長の発言でもわかるように、裁判所側は、「一六四四部隊」(多摩部隊)の存在はむろん、どんな性格の部隊だったのかも全く知らなかった。弁護士出身で、オーストラリアの検事総長、最高裁判判事を長くつとめたこの法律学者は、細菌戦部隊というものを理解できず、単なる医学的な試験所と考えたようである。このため裁判長は、この当時、審理を進めていた日本軍の南京における残虐行為を立証するという本筋からにははずれる発言を考えたようで
「その件を残したらどうですか」
 と勧める。これに対しサットン検事の方もどういうわけか、
「それを残します」
 と、あっさり同意。次の事件の陳述に移っていく。
 ところが、「一六四四部隊」に触れた発言はこれが全てである。「残します」という言葉にもかかわらず、その後、この法廷で、再び取り上げられた形跡はない。」

関連記事

no image

『連合軍の専用列車の時代』河原匡喜著 

松本清張、連合軍専用列車が下山総裁の他殺死体を運んで投げ捨てたという疑惑を推理「下山国鉄総裁忙殺論

記事を読む

no image

福間良明著『「戦跡」の戦後史』岩波現代全書2015年を読んで

観光資源論をまとめるにあたって、改めて戦跡観光を考えていたが、偶然麻布図書館で福間良明氏の『戦跡の戦

記事を読む

no image

中国の環境問題、日米中問題(公研2015年7月号)と沖縄・朝鮮

雑誌『公研』に「爆食」中国と世界の食料問題と題する、村田興文氏と柯隆氏による対話記事が掲載されていた

記事を読む

no image

東アジア人流観光論の骨格(人口と人流)

○東アジアの人流を考える場合に、まずその地域の定住人口の推移を把握しておく必要がある。私は定住人口の

記事を読む

no image

蓮池透・太田昌国『拉致対論』めも

p.53 太田 拉致被害者家族会  まれにみる国民的基盤を持った圧力団体 政府、自民党、官僚、メディ

記事を読む

no image

◎◎4 人流・観光資源としての歴史認識

 モンゴル観光の最大記憶資源であるチンギスハーンは現在世界史の上においてもっとも有名な人物の一人でも

記事を読む

no image

動画で考える人流観光学 資料 インパール

https://www.nhk.or.jp/archives/shogenarc

記事を読む

no image

保護中: ○日米関係史「開戦に至る10年」2陸海軍と経済官僚(メモ) 

明治憲法(67条)は、予算は行政機関に対する天皇の訓令という考え方であり、統治者自身は予算に拘束され

記事を読む

no image

QUORAにみる観光資源 フランスには第一次世界大戦がきっかけで未だに住むことのできない地域があるって本当ですか

この回答は次の質問に対するQuora英語版でのRichard Sampleさんの回答です (ご本人

記事を読む

no image

保阪正康氏の講演録と西浦進氏の著作物等を読んで

日中韓の観光政策研究を進める上で、現在問題になっている「歴史認識」問題を調べざるを得ない。従って、戦

記事を読む

PAGE TOP ↑