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住民所得が沖縄を超える済州島が抱える観光課題 ~プレスツアーへの参加~

公開日: : 海外旅行感想, 海外観光

11月2日から4日までの短時間であるが、済州島のプレスツアーに参加した。記事を書くということだけが条件である。観光宣伝記事は立場上首長時代に書いたことはあるがそれ以外はないから不安であった。これまでフェイスブック等に旅日記がやたらと多かったのは、プレスツアーに参加したプロのライターのスポンサー筋に対する債務履行も多かったからかと思ってしまう。

済州島は、歴史的にも政治的にも沖縄と比較されるが、今回は観光だけに絞って考えてみた。人口は沖縄140万人に対して60万、島外旅行者数860万人に対して1300万人と観光の経済に占める割合も効果も沖縄をはるかにしのいでいる。一人当たりGDPも沖縄が280万円に対して31000ドルであるから、済州島の人のほうが豊かである。沖縄に限らず九州全般を上回っている。その認識が日本人には不足しているように思われる。

その済州島が、中国政府の米国・韓国防衛政策に対する反発からくる、旅行会社手配による訪韓旅行客の抑制方針により、大きな影響を受けている。中国人旅行者のウェイトが高かった分影響が大きいからである。2016年、韓国全体で中国本土客の割合が45%を上回っていたから、済州島も国内観光客の比率があるとはいえ、大きな影響を受けたのである。そのおかげで、プレスツアーが催行され、私も恩恵に浴したのであるからおかしなものである。ソウル、マレーシア、シンガポールからの参加者は前日に到着したようであるが、私は1日に予定があり、2日からの途中参加になった。マレーシアの女性の祖先は海南島だといっていたから、いずれにしろ巨大な中国の影響下に、日本も韓国もアセアン諸国もすべてあるのであり、カリブ海がアメリカの裏庭であるといわれるような状況が、早晩、極東・南シナ海にも発生するであろうことは間違がない。

今、日本の観光地が外国人が増加したとお国自慢に花を咲かせているが、数字を冷静に見ていないのか、見ようとしないのか、ほとんどが中国人、韓国人なのである。従って、ワンウェイではなく、相互交流が重要であり、日本人も出かけてゆかなければいけないのであるが、その認識が不足している。政治情勢が悪くなると、急変するという意識も足りないから、相互理解の意識も薄い。従って観光にも影響が出てくる危険性を内在させているのである。

日本から済州島へのいきかたはいろいろあるが、成田・チェジュ間は料金も国内航空運賃より安いくらいで、時間も2時間と、九州と同じである。パスポートさえあればビザも不要であり、クレジットカードを使用すれば両替も不要である。WIFIも使用できるところが多く、主要な観光施設では日本語を話す人がいる。タクシーも日本語を話す運転手がいて、料金も安い。ソウルではなくなってしまったと聞いた相乗りタクシーはさすがに少なくなったようであるが、まだ少しあるという。日本人には利用するのは無理であるが。ネットに出ていた運転手付きレンタカーよりタクシーの方が安いということでもあった。従って、海外旅行として考えるより、国内旅行の延長として考えればいい。東京がもう少し済州島に近ければ日本の国内観光地が影響を受けていたであろう。

ツアー概要はとり急いで、FACEBOOKにアップしておいた。順に、ソンサンイルジルボン(城山日出峰)、ハルラサン、Hidden Cliff Hotel、ナンプンパプサン(JEJU料理レストラン)、オルレ市場である。GOOGLE PHOTO を活用して作成した。

11月2日午後、世界遺産・城山日出峰
https://www.facebook.com/shuichi.teramae/posts/704816663048764


既述のとおり遅れて参加した。皆にはスシという名前だと自己紹介。シュウイチでは発音が難しく覚えてもらえないからだが、シンガポールからの参加者は自分は刺身だといっていた。ソンサンイルジルボンは180メータと高くはないのだが、誰も登らず、結局私一人が登頂。カメラマンの女性が追いかけてきた。
火口は草が生えており、上から見ると美しい。赤いウルルは横の姿しか報道されないが、こちらはむしろ上からの緑色の姿が多く報道されている。私は幸運にも飛行機から眺めることができた。右側の座席に座れば可能性が高い。観光客は朝日ののぼる瞬間を目当てに来るようである。日の出の時刻がしっかりと刻まれていた。台湾の阿里山や富士山のご来迎と同じ感動があるのであろう。世界中ご来迎の感動はあるであろうから、存外日常化しているのである。

11月3日 終日 世界遺産・ハルラサン
https://www.facebook.com/shuichi.teramae/posts/704820056381758



 
 2000メータ弱の韓国一高い山である。韓国人は登山が好きであるが、意外と高山が少なく、この済州島の登山を楽しみにしているようである。今回は山頂まではゆかず、1500メータ地点まで物資運搬用のモノレールで運んでもらう。世界遺産管理事務局金局長の特別の計らいだそうで、同行のスタッフもみな初めてだと喜んでいた。富山にある国交省の砂防事務所が、400回を超えるスイッチバックのトロッコを庄川沿いに敷設しており、乗せてもらったことがあるが、その場合は一般登山者と顔を合わせることはなかったが、今回は登山道と同じコースであり、登山者に驚かれてしまった。彼らは軟弱な人が乗っていると思っただろう。

 昔は馬を放牧していたので、笹が繁茂しなかったようだが、今では馬が少なくなって笹だらけである。そこで笹を原料にしたお茶を開発しているとか。鹿も繁殖している。生態系の保存はどこでも難しいのである。
 
 従って、自分の足で歩いたのは下山だけである。そういえば富士山も下山だけであった。気象庁勤務時代に山頂へのブルトーザーに乗せてもらったことがあり、下山だけ自分の足で行ったからである。途中で片足のない松葉づえの女性とすれ違った。下山だけの自分が少し恥ずかしかった。カラスが多いのであるが、断崖に隼らしきものを見かけた。獲物を食いちぎっていた。峰の姿から五百人将軍と名付けられた稜線を左手に見ながら下山する。シドニーのスリーシスターズを思い出し、皆同じ発想をするものだと感心した。その昔、政治犯の流人を毒殺するために使われたという、赤い実の植物を教えてもらった。舌がしびれてくるのだそうだ。いろいろ効果を試したそうだから残酷なものである。今回は下山だけなので一万歩には届かなかったがほぼ目標達成である。

宿泊 ヒドン・クリフ・ホテル
https://www.facebook.com/shuichi.teramae/posts/705148569682240

 2日の夜、宿泊先のホテルで歓迎会。キム局長さんといろいろ話ができた。沖縄には古い施設が再現されて存在するが、済州島は記録が残っておらず残念だという。私は、伝統はいつでも後から作れると申し上げ、観光資源としては、ほんのちょっと関係があればそれで構わないのだと申し上げた。金沢の武家屋敷など全部明治の初めにサムライが畑にしたので残っていなかったが、後で加賀市の橋立から、豪商の屋敷を半分きりとって移築したのである。文化財ならともかく観光資源であるから、今から耽羅の諸建築物を想像で再現すればいいのである。日本のお神輿は電線のおかげで普及したのであり、それまでは山車であった。桜だって明治以降である。

 世界遺産の話になり、入域料を取りたいような話をされた。私はガラパゴスでも1万円の入域料を取っていると申し上げておいた。むしろ世界遺産条約の趣旨にかなうのである。また、豪州のウルルは赤い岩山だが、ソンサンイルジルボンは黒山だから、赤と黒で対比させて世界に売り込んではと申し上げた。姉妹岩石山である。今のところ西洋に弱いのは、日本も韓国も同じであり、豪州と組むのはイメージアップにつながるのである。
レセプションの郷土芸能の披露で、琴に似た楽器演奏があった。アリランとムーンリバーを奏でる。誰にでもわかる曲を弾くものだそうだ。お琴はかやのきでできているとか。かやのきは貴重品で今では伐採しないようである。囲碁もネットになってきたからかやのきの保存には役に立つ。

11月3日夕食 ナンプンパプサン
https://www.facebook.com/shuichi.teramae/posts/705578736305890

スローフードの古式郷土料理の店に連れて行ってもらった。アワビ、サバ等の海の幸と、茗荷、胡麻等の山の幸を活用している。青唐辛子は少しかじってみたが、やはり辛いけれど、ピリッとしておいしく感じる。日本だと手巻きスシになるが、こちらでは野菜の上に具をのせて食べる。中華料理でいえばレタス包みである。穀類にお米もあるが、水田がなく、陸稲が貴重品であるようだ。ワサビは取れないとか。

お酒は、お猪口に五種類出された。五加皮、百年草のお酒に、蜜柑ワイン、蜜柑マッコリ等、しかしシンガポールの女性を除きあまり飲まない。私は他人の分も引き受けて、すっかり出来上がってしまった。

11月4日午後 オルレ市場
https://www.facebook.com/shuichi.teramae/posts/705529746310789

午後から、ソギィポ市のオルレ市場を見学に出かけた。見学の前に昼食。庶民的な食事を教えてもらった。ここでも、野菜に具をのせて、唐辛子ベースの味噌で味付けして食べる。ご飯は刻みのりを混ぜて食べるのであるが、私は手巻き寿司風にして食べた。スープも味噌仕立てで味が出ている。
食事後マーケットへ。蜜柑の産地だけあって、蜜柑が多い。女性には顔パックの化粧品が人気があるようで、同行の人たちは買い求めていた。おしゃれな人が多いのか、アーティストたちの蚤の市みたいな露店マーケットが坂道沿いに並んでいた。

済州島は若い人にはリゾートとして楽しめるかもしれないが、緯度が高く沖縄と同じで、外国人には季節に制限があり、その対策が必要である。韓国も日本も安定経済期であるから、乗馬や射撃にゴルフといいたイメージでの観光地ではなく、中高年齢者には、トレッキングや歴史探索等が旅の楽しみになるであろう。司馬遼太郎氏の耽羅の国のイメージを活用するといいのであろう。私は4・3事件も人流資源だと思っている。人が興味をもって訪問してくるからである。南北融和が成し遂げられないと新たな歴史認識は生まれないであろうが、いずれは可能であろうから、大きな資産を抱えているのである。世界遺産が複合遺産になる日もそう遠くないことを祈るばかりである。

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