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済州島へのプレスツアー参加(承前 済州島の観光状況)

公開日: : 最終更新日:2020/03/21 国際観光論

~沖縄より近い済州島~

11月2日から4日の済州島プレスツアー参加に備えて予備知識を得た。その行程は成田からTWAY242便11:50発、cheju14:00着である。時差はなく2時間であるから、沖縄より近い。
TWAYはLCCということもあるが、ほとんどが日本の領空を飛行するので、免税品販売はない。勿論食事も出ないが、安くて便利である。

済州島の国際観光状況が激変している。今年に入り外国人観光客が大きく減少しており、済州島観光当局も危機感を抱いている。その原因は中国人団体観光客の減少にあり、いずれ日本のこととなるかもしれない。これまでが順調すぎて、観光ビジネス関係者もわが世の春を謳歌してきたのであろうが、その反動で危機感もつよくなったのであろう。メディアは読者の興味のあることしか取り上げないから、今の日本では何でもこじつけてインバウントといっているが、いずれ同じ憂き目にあう可能性がある。

昨年までの右肩上がりのJEJU島訪問観光客数

 ハワイ、沖縄、済州島比較  ~沖縄より豊かな済州島~ 

2017年現在、ハワイも沖縄も定住人口は同じ約140万人である。2016年の島外からの訪問客もそれぞれ880万人、860万人と大きな差はない。それにもかかわらず一人当たりの名目GDPは大きく差がついたままである(2015年ハワイ住民一人当たりGDP5万ドル、沖縄280万円)。沖縄はそのうち200万人が外国人であった。これに対して、人口60万人強と約半分である済州島に2015年は1千3百万人の観光客が訪問しているから、経済成長は順調であった。2015年のJEJUの一人当たりのPPPは31000ドルと沖縄はもとより27000ドルの釜山を上回っている。
https://eturbonews.com/136313/statistics-korea-resort-island-jeju-booming
https://en.wikipedia.org/wiki/List_of_South_Korean_regions_by_GDP

〇 中国政府の政策による中国人観光客の減少の影響

2017年の韓国の観光データは、http://kto.visitkorea.or.kr/eng/tourismStatics/keyFacts/KoreaMonthlyStatistics/eng/inout/inout.kto
に出ており、JNTO等よりも充実している。それによれば、訪韓外客数は8月までの対前年比で22%減(1147万人から886万人へ減少)であり、中国本土客の落ち込み(560万人から290万人)が大きく影響している。日本からは145万人が150万人と増加、欧米からも増加しており、北朝鮮問題は8月時点では影響していない。訪韓外客にしめる中国本土客の割合が昨年レベルで45%と極めて高いことが影響している。なお、中央日報はフィリピン、インドネシア、インド等の減少は北朝鮮問題の影響だとみている。済州島に限定した統計はまだ入手できていないが、おそらく韓国全体の落ち込みを上回るものであると推測される。

済州島の国際観光政策において、まず、大きな効果を 示したのが、道が政府より移譲された出入国管理に関する権限をもとに、2008年から中国を含めた無査証(No Visa)入国許可の対象国・地域を180カ国に拡大する規制緩和を行ったことであるといわれてきた。2009年以降、済州島の入国外国人数が、急速に増加することとなった。また、済州島に来訪する内外の観光客が利用する主要なエアラインとなっている済州航空は、韓国政府の航空会社設立に対する規制緩和後、2005年に済州道と 韓国企業によって共同で設立されたLCCである。済州航空は「特別法」 施行後の航空運輸自由権拡大の権限移譲、規制緩和によって国内外の航空路線を拡大させ、済州国際空港などを拠点として、国内線(ソウル、釜山、清州)や、日本、中国などと国際線定期路線やチャーター便を運航し、現在、韓国では最大、東アジアで最大規模のLCCに成長している。

〇 中国人観光客 ~研究者の陥る罠~

日韓観光比較論に新井直樹著「日本と韓国における国際観光政策の比較考察 」(公立鳥取環境大学紀要 第14号(2016.3) pp.41-50)等があるが、日本と韓国比較において、それぞれ相手国からの訪問客を含めてインバウンドの数字を使用しているところに分析不足がある。アメリカとカナダ、メキシコもそうであるが、相互作用が大きく、分析にも丁寧さが求められるのである。

以前に日本より韓国のインバウンド数が大きいことを問題視する記述が見受けられたが、円高を背景に訪韓日本人数が大きかったから当然のことであり、現在は逆に、韓国人の所得向上を反映して訪日韓国人数が増加しているから日本のインバウンド数が増加しているのである。

しかし、近年では日本にとっての韓国、韓国にとっての日本よりも、中国本土の影響が格段に大きくなってきているのである。中国本土客の動向が、日本、韓国それぞれの観光に与える影響が大きく、その分日本、韓国からの旅行客の存在感が薄くなり、お互いに中国人観光客の誘致においてはライバル関係のウェイトが高くなっている。しかしながら、長期的には、クルーズシップの開発等、巨大な中国マーケットを共同開発する必要が高まるであろう。

〇 韓国人の観光行動 

人口約5000万人の韓国においては、2016年に2240万人が海外旅行をしており、国民の5人に2人が国外旅行をしている計算になり、日本の7人に1人を大きく上回る。香港等のように国内観光地に限界があり出国率が高くなるという状況に韓国はなく、国内旅行の頻度においても日本人をうわまわっており、内外を問わず旅行選好度が高い。
一方、韓国を訪問する外国人数も右肩上がりで推移している。2016年訪韓外客数は1720万人、主役は中国本土居住者観光客で、2016年は800万人が訪韓した。韓国では彼らの観光消費に期待を寄せる一方、中国本土居住者観光客への依存度の高さが課題になっていた。

韓国人の国内旅行について、旅行参加者数(トリップ)はここ数年、宿泊・日帰りとも順調に増えている。一方、移動総量(トリップ日)については、2009年から2011年にかけて減少しているものの、この年を底に2014年にかけて増加している。このような異なる傾向を示す要因として一人当たり国内旅行参加回数が挙げられ、明確な理由は判明しないものの、2009年から2011年にかけてこの数値が減少している。但し、この期間における国内旅行費用総額は比較的安定して伸びているので、経済的な影響ではないように思われる。いずれにしても、2012年以降は人数、総量、費用総額とも大幅な減少はみられないので、国内旅行は順調と捉えることができる。ならば国外旅行はどうかと言うことになるが、こちらも2010年以降は順調に伸びている。2014年は1,608万人、2015年は約1,800万人になると予想されており、初めて日本の国外旅行者数を上回った。韓国を訪れる外客が2015年に減少した。中国本土の来訪者は、減少率は少ないものの、シェアの半分近くを占め絶対数において多く、韓国に大きな影響を与えた。既述のとおり、その分日本に向かったといわれているから、日本の外客の急増につながったのでる。

韓国を訪れるクルーズ客が230万人()2016年)と急増している。中国を含めMERS騒ぎで2015年は来訪者が減少する中でも、中国本土居住者のクルーズ客が急増し160万人(2016年)を超えたのである。日本へのクルーズ客も急増しているが110万人(2015年)であり、主力が中国本土居住者(しかも女性)であるから、韓国のほうが寄港する機会が多くなるのであろう。

韓国は、中国人に対するビザ特例措置(済州島のみを訪問する場合、観光ビザを免除)もあり、済州島では2014年中国人観光客が急増した。その結果済州島の地価が急騰することとなった。スペイン・地中海のマジョルカ島の影響もうけて、入域者数を制限するCAP制度の議論が報道された。

〇 対馬の事例
なお、中国人観光客急増とは逆に韓国人観光客の急増が問題化した事例がある。プサンから高速船で片道1時間の対馬への韓国人訪問客数が急増した。当初の戸惑いの中、地元の冷静な対応なされた結果、今日では日帰り客対策にウェイトが移っている。地元の国際交流協会が実施したアンケート調査によれば、日帰り客の割合が58%となっているところから、10万人程度は日帰りと推測される。
http://koreajoongangdaily.joins.com/news/article/Article.aspx?aid=3017752

注 香港においても中国富裕層による不動産価格の高騰が生じている(倉田徹・Cheng Yuk Man『香港』岩波新書pp83-84)
注 http://www.jejuweekly.com/news/articleView.html?idxno=4984

〇 司馬遼太郎の耽羅紀行

かつての独立国の名称である耽羅をあえて冠した、司馬遼太郎の「耽羅紀行」を読むが、面白かったところをメモする。
「韓国・朝鮮が、固有の気品ある文化を連続させてきたという点で、世界でも数少ない民族の一つだと思ってきたし、この民族への尊敬心を失ったことがない。だから、自国が近代史の中で36年間やったことを、一市民である私が一身に背負っていちいち韓国・朝鮮人に頭を下げてあることなどはかなわない。」
十数年前の機内でのスチュワーデスの不愛想ぶりは「付き合いもない男に笑みを見せるのは不貞」。しかしその懐かしい仏頂面にはもうお目にかかれなくなっていた。

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