*

中国語通訳案内士等の自家用車による観光案内サービス

公開日: : 最終更新日:2017/09/05 通訳案内と翻訳導游員

人流観光研究の一環として、中国語による観光ガイドの実態を調査している。
これだけ中国人が訪日していて、通訳案内士が28年度で140名しか合格していない。登録者数も2000人程度と思われるから、圧倒的に絶対数が不足しているはずであるが、ほとんど問題にならないのは、資格制度が無視されているからであり、それで弊害がないからである。従って通訳案内士制度が名称独占に2018年3月から変更になるのであろう。

中国語の通訳案内に関する記述に
http://30s-chinese.net/454.htmlがある。
面白いのは、その中に出てくるHPである。
http://www.yiqihi.com/
私は105か国の海外旅行をしたなかで、現地のランドサービスをインターネット等でよく利用しているからわかるのであるが、
この種のサービスは国際的には当たり前である。
空港送迎や観光地案内が、車付きで5千円とか1万円、日本語サービスか、英語かといった区分がある。最低催行人員が1名、2名とある。

同様に、成田や関空からの送迎サービスが中国のできる者によって行われており、そのことが中国のHPにしっかりと宣伝されている。
しかも中国人に合わせて低価格である。
中国語のできない日本人タクシードライバーを使えと言ってみたところで、説得力に欠ける話である。

Uberをめぐって業界は大騒ぎをしているが、こちらの方は大騒ぎをすれば返り血を浴びかねないからである。
通訳案内士資格がなければ、通訳案内士法違反になり、しかも道路運送法違反になる可能性がある。特に個人旅行の場合はなおさらである。
パッケージツアーの場合、契約された地の属地主義で一義的には中国の法律が適用され、日本の旅行業法等が適用されない場合もあるかもしれない。
勿論、通訳案内サービスの一環として自家用車を使用する場合、通訳案内士の資格があれば違反にならないし、道路運送法違反にもならないが、上記のように通訳案内士の数が少ない。

日本人の私も片言の中国語はできるし、観光案内人も日本語ができるから、
成田や関空に行くときは、高い日本のタクシーなど使わずに、この中国語案内サービスを使いたいとまで思うのは人情である。
国籍が外国であれば、日本語ができる人でも、このサービスを使えばタクシーより安く利用できる。
おかしな状況であり、規制がもたらす弊害とも思える。

2018年3月から名称独占に変更されるから、
観光案内サービスの一環として行われることには問題がないという従来の解釈を変更しない限り、この行為は合法ということである。
解釈を変更すると、中国語のできない運転手しかいないタクシーで問題がないのかということになり、
国策に反することになるから、政府はおいそれと解釈変更を便宜的にはできないであろう。
Uberに大騒ぎをしている間に、Uberどころではなくなって来ているのである。

なお、日本人旅行客向けに、海外、マニラで同じ発想でサービスを行っている例がある。
HPを載せておく。世の中は国際化しており、着地主義ではなく、発地主義であることを認識しておかなければならない。
http://phdoor.net/

関連記事

沖縄の中国人レンタカー報道

日本政府観光局(JNTO)が2016年6月20日に公表した訪日外国人のレンタカー利用状況に関する資料

記事を読む

運転手付きレンタカーの問題

運転手付きレンタカーの問題も、私は基本的には道路運送法の問題だけでは解決できないと思っている。繰り返

記事を読む

通訳案内士の禁止行為

通訳案内士協会のHP https://www.guidesearch.info/search

記事を読む

通訳案内士と旅行業法等の関係

ブログに既述したとおり、日本観光通訳案内士協会のHPの記述に、問題が存在した。 質問を出したところ

記事を読む

事業創造提案・自家用車を用いた通訳案内サービスビジネスの新展開の可能性(1)

1 通訳案内士法が改正された。 〇簡単に解説すると、これまでは、留学生等中国語を母国語とする者

記事を読む

航空機使用事業、自家用自動車使用事業という分類

航空法第2条は、航空運送事業(旅客又は貨物を運送する事業)と航空機使用事業(他人の需要に応じ、航空機

記事を読む

芦原伸『新日本奥地紀行』 イサベラ・バードの案内人・伊藤鶴吉が日本初の通訳案内組織「開誘社」の設立を主導

イサベラバードの日本奥地紀行をもとに新たに描いた紀行文。新たに描かれた部分にはオリジナリティーが少な

記事を読む

<中国人白タク>横行も検挙困難…スマホ決済で 数千人登録 8/27(日) 9:00配信 毎日新聞

下記記事がようやく一般紙でも出てきたが、既にブログで数回紹介した通りである。取引が中国内で完結してい

記事を読む

越境白タクとアジアインバウンド観光振興会

不覚にも越境白タクという言葉があることを今まで知らなかった。「日本国内で増殖している中国の配車アプリ

記事を読む

規制改革会議 無償運送、謝礼に関心 東京交通新聞2017年3月27日

標記の記事が東京交通新聞に出ていた。 規制改革会議が、3月23日現行の基準を緩和できるかヒアリング

記事を読む

AIに聞く、甘利俊一博士の「脳・心・人工知能」を参考にした、『観光資源反応譜』の提案

人流・観光に関する学生用の教科書として、amazonのkindleで『

シリア、リビア旅行前によむ『アラブが見たアラビアのロレンス』

日本人の一般的な英国のイメージは、映画「アラビアのロレンス」に

『脳・心・人工知能』甘利俊一著講談社BLUEBACKS メモ

AIの基本技術は深層学習とそれに付随して強化学習 そのあと出現した生成

no image
🕌🎒2025シニアバックパッカー国連加盟国192か国達成の旅 190か国目イエメン

  Facebook投稿文 https://www.faceb

no image
🕌🎒 2025シニアバックパッカー国連加盟国192か国達成の旅 189か国目アフガニスタン カブール

facebook投稿文 2025年7月15日 成田を午後5時に

→もっと見る

PAGE TOP ↑