マニラ市街戦 NHKのドキュメンタリーを見て
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戦跡観光
港区図書館で表記DVDを借りて早速見てみた。マニラは二回訪問しているが、最近はUberも登場しているようで、変わったのだろう。
敗色の濃い日本軍がフィリピンのどこで米軍を迎え撃つかという段階になり、陸軍の山下大将は百万人の市民がいるマニラを避ける方針だったようだが 、海軍が面子もありマニラに固執したとのナレーション。船がないので土台無理だったようだ。
今度はマニラの海軍の責任者が退却を具申したところ、陸軍はマニラにこだわった海軍の経緯もあり無視。結局十万人マニラ市民が巻き添えを食い死亡した。
日本軍が最後まで陸軍、海軍に別れて統率されていないことがわかる。
市街戦は日本軍が立てこもり業を煮やした米軍が無差別攻撃に移ったのであるが、いまのシリア情勢と似ている。ゲリラを繰り出し、フィリピン人どうしが争うこともあったようだ。
米軍の退役軍人が、なぜあのとき市街戦で勝ちを急いだか、今となっては指令があったとしか言いようがないと述べていた。マッカーサー将軍のI shall returnへのこだわりを示唆している発言であった。
中で、軍医の証言があり、兵士のなかに贋患者がみられたという。盲腸の手術を受ければ生き延びれるという期待でくるということであった。父の両亡にも野戦病院に多くの贋患者がいたことが記されていたから、よくあったことなのだろう。
南京大虐殺や従軍慰安婦で日本人のなかに自虐史観を嫌う風潮が強まっている。
しかし、フィリピンでも潜在的は日本軍のことは覚えており、小野田小尉が許されたのは感謝しなければならないのだろう。モンテンルパの話も同じである。天皇陛下の昨年のフィリピンご訪問はその事の上になりたったのであろう。
中国人や韓国人に対しては妙にエキサイトする日本人がいるのだが、イスラムでスンニ派とシーア派が争っているようなもので、遠くからみると近親憎悪に写るかもしれない。子供の頃ドイツもフランスもイギリスも同じに見えた。何故独仏がなかが悪かったのか理解できなかったことを思い出す。煽り立てる人がいるからなのかもしれない。今アメリカにもそんな人がでて来ている。
賢い日本人は矢面にたたないよう首をスッ込めている方がいいのだろう。最悪なのは、アメリカと中国が一致して、日本におかしな右翼集団がいるというプロパガンダをしかけられた時である。戦前と同じ状況になってしまいかねない。
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