*

『日本車敗北』村沢義久著  アマゾンの手厳しい書評

公開日: : 出版・講義資料, 自動運転

車の将来の議論の前提に、地球温暖化への見解 ガソリン車

電気自動車 エンジンではなくバッテリー

アマゾン書評

刺激的な題名に日本の自動車業界で生きる自分は手に取った。
自分のレビューは著者に敬意を込めて書く方ではあるが
刺激的な題名の割には、ただただEV、特にテスラを称賛して
地球温暖化を盾に日本の自動車メーカーのEV化の遅れを指摘し
公開されているデータや情報を頼りに
それを煽っているとしか言えない内容であった。

自動車を取り巻く状況を知っている人は
筆者の提言が書かれている第7章だけ読めば良い。
ネタバレになると良くないので詳細の記載はしないが
もはや地球温暖化問題を前にEV是非の議論は
とっくに通り過ぎていてEV是しかない前提での提言である。

読み進めていると、どうも筆者は
ものづくりそのものをご経験されていないように思えるし、
安全性と商品性を優先する自動車開発をご存じないように思える。
どれだけマトモな自動車を開発するのが大変か。
どれだけの工数や技術の積み重ねがあるか。
もう少し自動車をどうやって開発しているのか
しっかり取材されてご覧になられるほうがいいと思う。

長年経営コンサルタントをされた方のようであるが
ご自分の所有される旧車のコンバートEVを引き合いにだし
水素の燃料電池も一見、理論的にコケにするのはいいが
公開されている情報やデータだけを頼りに話を進めるのは頂けない。

現実を直視せよと表題にも書かれているが、
確かにこういうEVプロパガンダもあるという現実。
読後には、刺激的な題名の割には
残念ながらそういう感覚にしかならなかった。
著者に敬意を込めて2つ星とさせていただきます。

関連記事

任文桓『日本帝国と大韓民国に仕えた官僚の回想』を読んで

まず、親日派排斥の韓国のイメージが日本で蔓延しているが、本書を読む限り、建前としての親日派排除はなく

記事を読む

no image

『動物の解放』ピーターシンガー著、戸田清訳

工場式畜産 と殺工場 https://www.nicovideo.jp/watch

記事を読む

『徳川家康の黒幕』武田鏡村著を読んで

私が知らなかったことなのかもしれないが、豊臣家が消滅させられたのは、徳川内の派閥攻勢の結果であったと

記事を読む

no image

橋本健二 『格差と階級の戦後史』

この社会はどのようにして、現在のようなかたちになったのか?敗戦、ヤミ市、復興、高度成長、「一億総

記事を読む

no image

横山宏章の『反日と反中』(集英社新書2005年)及び『中華民国』(中央公論1997年)を読んで「歴史認識と観光」を考える

 歴史認識を巡り日本と中国の大衆が反目しがちになってきたが、私は歴史認識の違いを比較すればするほど、

記事を読む

no image

保護中:  『市場と権力』佐々木実を読んで

日銀が量的緩和策で銀行に大量にカネを流し込んだものの、銀行から企業への融資はそれほど増えなかった。

記事を読む

no image

聴覚 十二音技法

https://youtu.be/HeXEzMWi2EI 時代は無調の音楽に対する準備

記事を読む

no image

錯聴(auditory illusion) 柏野牧夫

マスキング可能性の法則 連続聴効果 視覚と同様に、錯聴(auditory illu

記事を読む

no image

日本人の北朝鮮観光

他事考慮での観光交流の中断 日本人観光客の北朝鮮訪問数の増加は、両国観光関係者にとっては利害が一致

記事を読む

no image

ソ連の北方四島占領作戦は、米国の援助のもとで実施されたという「発見」 『さらば!検索サイト』太田昌国著 現代書館 

また私の頭の中で「歴史は新しく作られる」という例が増加した。表記のpp.77~79に記述されている

記事を読む

PAGE TOP ↑