*

🌍🎒シニアバックパッカーの旅 モンゴル(国連加盟国68か国目)国フブスグル地区紀行~トナカイとシャマンとドロ━ン(1)~

公開日: : 最終更新日:2023/06/13 シニアバックパッカーの旅

モンゴル国最北部に、モンゴル人が「モンゴルのスイス」と呼んでいるフブスグル地域(同国最大のフブスグル湖、Darhadyn湿地帯、タイガ地域)があり、トナカイを放牧し、シャーマンが機能しているツァータン族も居住している地域である。観光地としての将来性と環境保全に興味が持たれているが、持続可能な生態系保全は地元遊牧民との共生なしには考えられない。社会主義時代のネグデル(協同組合)解体が遊牧民生活に大きな影響を与え生態系破壊に繋がっているといわれ、現在は羊の値段を見るとモンゴル国の中で最安値グループに属する地域である。首都ウランバートルまでの物流コストが、資本主義化により生産者負担になったからである。

そのようなおり、独立行政法人環境再生保全機構の実施する地球環境基金助成事業の適用を受けているNPO法人モンゴル環境情報センター(西田英郎代表) が実施している「モンゴル国フブスグル地域における環境教育を伴うエコツーリズムの確立」に関する調査に参加する機会を得た(2015年8月17日~31日)。

なお、フブスグル県は新潟県と友好交流協定を2015年6月に締結し、フブスグル県知事、ムルン市長が新潟県知事を訪問しているところである。

事業の概要は次のとおりである。
①エコツーリズム協議会の開催
ツアールートの決定 ツーリストキャンプの設営条件 ツァーガイドの養成・ガイド費の策定 観光産業の育成についての協議
フブスグル地域(ムルン、ウランウール、ツァガンノール、リンチンフンベ)のツァー運転手協会会長のソソムバラム・ツォグトゲル氏(ムルン在住)が中心になりツァーガイドの養成をする。ツァーガイドブックを教本に研修会を開催する。これらに地球環境基金が助成する。
②環境保全啓発活動
最新のリモートセンシングによってツァー地点を選定する。写真集を作成する。地元児童生徒、運転手、大学、観光関係機関等に配布する。
エコクラブの生徒、教員にガイドブックを配布し、モンゴル教育大学観光学科の学生が指導を行う。研修費用を地球環境基金が助成する
③文化的遺産発掘
文化的遺産発掘のためにツァガンノール地区に居住するツァータン族とロシア・トゥバ地区のツァータン族の比較研究を行う。ロシア・ブリヤード大学ドルチェウ教授と共同研究になる。ツァータン族のルーツの解明やシャーマニズムの文化的遺産が新たに発掘されることが期待される。

なお、これまでの研究成果として、初期のころに発表された報告書が存在する。
IMG_3901

また、ガイドブックも編集されている。
IMG_3902

今回の旅は、観光研究に興味を持つ私にとって、文学研究者が言う所のtravelerとtouristの違い(ブログ 羽生敦子立教大学兼任講師の博士論文概要「19世紀フランスロマン主義作家の旅行記に見られる旅の主体の変遷」を読んで2015年4月  日参照)を肌で感じた旅であった。地球環境基金をスポンサーとする調査研究目的(traveler)だからいわゆる「楽しみのための旅」(tourist)ではない。touristの旅は、身銭をきって「楽しむ」ものであるから要求が厳しく千差万別である。旅行者とスポンサーが同じである貴族が中心の旅の時代は数百年前のことである。私にとって今回の参加目的は、観光調査であるから両者を兼ね備えていることになり、これまでの海外旅行と異なり複雑なものであった。
なお、人流観光研究所ホームページは父親が平成元年に旅したモンゴルの旅行記が講義録等の欄に電子書籍としてアップしてある(http://www.jinryu.jp/category/study)(http://www.jinryu.jp/201507142449.html)。興味のある方は併せて読んでもらいたい。

モンゴル・ツァータン族に関する観光を総括すると、私にはエコツーリズム成立以前の段階であると思われた。ツァータン族の暮し向きが良くなれば、これまでの環境は住民により変化するし、すでに変化している(先進国の者には破壊と映るであろう)。しかし観光で影響を受けると言う段階からは程遠い段階である。今回の旅で受けた印象は、むしろツァータン族を訪れるtravelerやtouristは礼儀正しく遠慮がちであった。この地まで訪れる者は先進国の環境意識の高い者であるからである。しかしながら確実にツァータン族に文化的影響をもたらしていることには間違いがない。今回われわれが調査に使用したドローンもその例であろう。残念ながらエスニックツーリズムを叫ぶ欺瞞性もそこにある。

関連記事

🌍🎒シニアバックパッカーへの道 2013年7月15日 モンサンミッシェル(世界遺産)

ネットによるツアーを購入。パリの宿から日帰りバスツアー。娘は孫と別行動、家内はドイツに行ってしまって

記事を読む

🌍🎒シニアバックパッカーへの道 2009年7月29日 ポーランド(国連加盟国44か国目) ワルシャワ ビルケナウ収容所

Googlephotoアルバム2009年7月28日~8月7日 東欧の旅 https://photo

記事を読む

🌍👜シニアバックパッカーの旅 2018.8.8 ロンドンからボルドーへ

https://photos.google.com/share/AF1QipOZv6X0GNAdB5

記事を読む

🌍👜シニアバックパッカーの旅 2018年9月16日午後バクーからカザフスタン(国連加盟国115か国目)アルマトイ

アルバム https://photos.google.com/album/AF1Qip

記事を読む

🌍🎒2024シニアバックパッカー南極太平洋諸国の旅 2024.12.1 南極   

    旅慣れた人は、南極ツアーにあこがれ、私もその一人である。日本で

記事を読む

no image

🌍🎒2024シニアバックパッカー地球一周 旅計画と旅支度

シニアバックパッカーの旅支度 1 バックパッカーの利点は男子一人旅           二人以上

記事を読む

🌍🎒2024.3.5 シニアバックパッカー地球一周の旅 セントキッツネービス(国連加盟国185か国目) SKB 

https://photos.google.com/album/AF1QipOzZf8nni7s

記事を読む

no image

🌍🎒シニアバックパッカーの旅 2020年2月6~7日 (マグアナ→マイアミ→)サンサルバドル

13:10 AA1479 14:51 MIA   SAL

記事を読む

🌍🎒シニアバックパッカーの旅 2014年8月9日~12日 北朝鮮(国連加盟国63か国目)平壌、開城、板門店(1)

◎はじめに 観光学を研究するものとして、朝鮮民主主義人民共和国(以下「北朝鮮」)にも一度行って

記事を読む

🌍🎒シニアバックパッカーの旅 2019年2月13~14日 アジスアベバ ホテルヴァウチャ― 

 エチオピア航空手配でトランジット用のホテルに宿泊。当初は空港での野宿のつもりで

記事を読む

no image
🕌🎒2025シニアバックパッカー国連加盟国192か国達成の旅 計画作成

国連加盟国192か国を訪問するという計画も残り4か国となっている。その

no image
🌍🎒2024シニアバックパッカー南極太平洋諸国の旅 福建省(24番目)厦門

中国渡航にビザが必要な段階で計画したので、金門島から廈門に渡る

🌍🎒シニアバックパッカー南極太平洋諸国の旅 台湾省🏳‍🌈 金門島

  昨夜桃園空港から台北駅に鉄道で移

no image
🌍🎒シニアバックパッカー南極太平洋諸国の旅 台湾省🏳‍🌈 台北

国連加盟国第一か国目は中国。1970年に香港、台湾と旅行した。当時は、

🌍🎒2024シニアバックパッカー南極太平洋諸国の旅 パラオ共和国(国連加盟国188か国目)

    2024年12月4日早朝マニラから

→もっと見る

PAGE TOP ↑