*

7月21日 第二回観光ウェアラブル委員会を開催して

公開日: : 最終更新日:2016/11/25 人口、地域、

満倉靖恵慶応大学理工学部准教授と㈱ナビタイムジャパン野津直樹氏に講演を頂いた。

満倉先生は「脳波を用いた感性取得」を長年にわたり研究され、簡易感性取得に成功され、電通とベンチャー企業まで立ち上げられた。
脳の研究は、大きく、医学的、理学的、工学的に進められている(そのほか哲学的研究等も存在する)が、満倉氏は工学的研究をされている。なお、脳波研究の先駆者の一人に加賀市出身者の故本川弘一博士(東北大学学長)がおられ、『ゾウの時間、ネズミの時間』の著者本川達雄の御尊父でもある。
脳の解析は、2013から米国でブレインイニシアティヴが進められ、ヒトゲノムに匹敵する国家プロジェクトが実施されている。予算は約2000億円。欧州連合でも2022年までとして合計1500億円の予算が準備されている。
脳波(Electroencephalogram:EEG)が発信されるところは決まっており、満倉氏はその脳波を簡易に取得し、ノイズを除去して、その意味を解析することに成功されたのである。簡易でなければアンケート調査と同じであるから、画期的である。脳の内部構造については今のところ研究対象外とされている。
脳波の通常の検査や実験は、電極を国際10-20法に従って配置するのが最も一般的である。国際10-20法では頭皮を10%もしくは20%の等間隔で区切り、計21個の電極配置位置を決定する。感情などの「好き嫌い」「快不快」、視覚情報を測定する場所は決まっているようである。
満倉氏の発明されたNEUROCAMは、サイゼリア(飲食店)における着席実験をもとに、空間における快適度の定義と有効性の検証に成功され、電通とともに電通サイエンスジャムを設立された。
脳波測定には個人差があり、キャリブレーションに75秒かかるが、実験であれば問題のない時間であろう。この危機をお借りし、観光調査を実施しようと思っている。
脳波測定により、被験者の快不快等の客観的データは取得可能になってきた。その意味では観光地の観光資源の評価がより客観的に得られるようになってきたのであるが、快不快の反応は、同じ観光資源でも個人によって異なるし、その人の歴史的バックグランドや周りの状態でも異なるから、絶対に成功する観光資源を開発するには、やはり頭の中の構造が解明され、ある刺激が加えられればある反応がある確率で発生するということまでわからないと無理なのであろう。その意味では職人的経験がまだまだ必要とされるのかもしれないが、特定個人の反応予測は無理にしてもビッグデータとして取り扱う範囲での成功確率は飛躍的に進歩するであろう。

㈱ナビタイムジャパンの野津直樹氏の講演も興味ふかいものであった。スマホにより観光地までの経路検索が一般化してきている今日、大きなイベント開催が実施される場合、多くの参加者がその前に経路検索を実行する。その検索結果を基に事前に輸送力調整や混雑回避の誘導等に活用しようとかんがえているものである。
「経路検索サービスの実績データに基づく近未来の突発的移動需要の検出」
http://consulting.navitime.biz/pdf/monograph_20130601_01.pdf
「乗換検索サービスの経路選択データを用いた公共交通の経路選択行動分析」
http://www.csis.u-tokyo.ac.jp/csisdays2014/csisdays2014-ra-pdf/D12.pdf
が土木計画学研究発表会で2013年6月1日、2014年6月7日にそれぞれ報告されているから、参考になる。最近の事例では、北陸新幹線の開通による需要変化を「駅」乗換検索から分析している。また、自動車目的地ランキング(北陸3県)では東尋坊、恐竜博物館、兼六園、黒部ダム、芝政ワールドの順であったが、単なる目的地分析に留まらず、回遊パターンまで分析している。福井のハブは東尋坊であるものの、恐竜博物館と永平寺は別客層であり、石川のハブが兼六園であるものの、21世紀美術館とは連動性が薄いこともアソシエーション分析されている。

関連記事

『からのゆりかご』マーガレット・ハンフリーズ 第2次世界大戦後英国の福祉施設から豪州に集団移住させられた子供たちの存在を記述。英国、豪州のもっと恥ずべき秘密

第2次世界大戦後英国の福祉施設から豪州に集団移住させられた子供たちの存在を記述。英国、豪州のもっ

記事を読む

no image

梁山泊とダボス会議

ダボス会議 ダボス会議を知らない人はいないくらい知名度が高くなった。従って安倍総理も出席するし

記事を読む

no image

Quora GOTO政策よりNYの方がよい。 ニューヨークにずっと住んでいる海外在住者の方でコロナによって失業もしくは、収入が激減した方はいますか?その場合はどのようにして収入を確保していますか?

Chinatsu Miyazaki·木 これは現在の私のことなのでお答えしなければいけません

記事を読む

no image

コロナとハワイ

https://wedge.ismedia.jp/articles/-/19973?page=2

記事を読む

no image

『「食べること」の進化史』石川伸一著 フードツーリズム研究者には必読の耳の痛い書

食べ物はメディアである 予測は難しい 無人オフィスもサイバー観光もリアルを凌駕できていない 

記事を読む

no image

観光学を考える 『脳科学の教科書 神経編・こころ編』岩波書店 理化学研究所脳科学総合研究センター編 をよんで

図書館でこの二冊を借りてきて一気に読む。岩波ジュニア選書だから、子供が読む本だけれど私にはちょうどい

記事を読む

no image

「第3章 流入する他所者と飯盛女」武林弘恵著『旅と交流に見る近世社会』清文堂

旅と交流にみる近世社会 高橋陽一 編著    

記事を読む

no image

中国の観光アウトバウンド政策 公研No.675 pp45-46

倉田徹立教大学法学部教授 1997年にアジア通貨危機、2003年にSARS流行発生時、香港経

記事を読む

no image

『不平等生成メカニズムの解明』「移民はどのようにして成功するのか」竹中歩・石田賢示・中室牧子

「移民はどのようにして成功するのか」竹中歩・石田賢示・中室牧子『不平等生成メカニズムの解明』ミネルバ

記事を読む

no image

QUARA コロナ対処にあたってWHO非難の理由にWHOの渡航制限反対が挙げられていますが、これをどう思いますか?

渡航制限反対は主に「中国寄りだから」という文脈で語られています。しかし調べてみれば、今回のコロナウ

記事を読む

横田増生 アメリカ「対日感情」紀行―全米50州インタビュードライブ600日

2000年の取材ですから、今のアメリカは相当変わっているかもしれません

no image
ハワイは、観光地と観光地ではないところが大きく違うというのは本当ですか

それは**「本当すぎるほど本当」**です。ハワイ(特にオアフ島)を訪れ

no image
ハワイ文化 ハワイアンダンス、アロハシャツ

. ルーツは「ポリネシアの移動」にある ハワイアンの先祖は、もともと

no image
4月20日ロス国際空港からサンタモニカへバスで行く GEMINI回答

TAPカード アメリカ・ロサンゼルス(LA)近郊の地下鉄(メトロ

no image
AIに聞く シアトル

【1】27日 22:10 シアトル到着後の動き(最重要) 🎯 結論:

→もっと見る

PAGE TOP ↑