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ホテルアセッセトマネジメントとAirbnb  人の移動の自由・労働者の囲い込みと専門職大学の在り方

これも機能分化である。運送機能の分化を考えてきたが、宿泊機能も分化している。オーナーとオペレーターへの分化は当然であるが、両者の間に立ち、紛争の未然解決の役割をHAMが果たしている。その教育を、コーネル大学やミシガン州立大学が行っている。HAMは不動産面とオペレーション面の両面を理解しなければならないので、人材育成は難しくなっている。
同窓会組織が機能して、インターンシップの受け入れ先との連携が強い。The Statler Hotelの年間30百万ドルの支出のうち、5百万ドル程度を大学のトレーニング関連支出へと充てられる。
OTAの影響がつよくなっていること、Airbnbが新たな脅威として現れていることが新しい話題である。

私はさらに、食事、介護等のビジネスも家庭がもつ機能が分化して出現していると考える。その機能分化したパーツを再びまとめ上げる機能を、新しい旅行業、というより人流ビジネスが担うことを考えてはと思っている。

先日読んだ『日本経済の歴史3』の
「ヨーロッパにおいては、19世紀末から20世紀初めにかけて、職業学校と、同一事業所における徒弟制を接続する改革が進み、特にドイツにおいては現在においても重要な訓練機関となっている。」「アメリカの徒弟制度も、19世紀終わりまでは、雇用主の費用負担によって、拘束契約労働と組み合わせて運用されていた。その後、産業別労働組合が運営する徒弟制が製造業や建設業において営まれており、修了者が同一産業にの組合に入れば、訓練費用は組合費として回収される。」と読み合わせてみると、HAMは大学の同窓会組織がその役割の一部を持っているのかもしれない。
今私が関与している観光系の『専門職大学』もこれまでの日本の人の移動を考える新しい材料を提供する可能性を秘めているかもしれない。

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