QUORAにみる歴史認識 伊藤博文を殺したのは安重根ではないという説を見ました。もし安重根以外が殺したとしたら誰が何の為に殺したのですか?回
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最終更新日:2020/12/01
歴史認識
伊藤博文を殺したのは安重根ではないという説を見ました。もし安重根以外が殺したとしたら誰が何の為に殺したのですか?回答に要注意の画像が含まれている可能性があります。ぼかしを解除するには画像をクリックしてください。
安重根はハルビン駅で伊藤博文の後方、10歩ほどの距離(約5m)から7発発射しています。
使用したのはブローニングM1900(7連発)。この拳銃は世界最初のスライド式自動拳銃ですが、結構反動が大きく、使いこなすのに訓練が要ります。
安重根記念館のこの人形のような打ち方では5m離れたら1発も当たらないでしょう。安、本人の供述では前後に並んだ2人の人物のどちらが伊藤公か不明だったので前に4発、後ろに3発撃ったとしています。伊藤の後ろにいたのは貴族院議員の室田義文で、ほぼ無傷でした。ところが、伊藤博文には4発中3発が命中し、命まで奪っています。伊藤の方が室田より1mは遠かったはずですから、非常に不可解な命中率の違いとなっています。
室田義文の逝去ほどなく公刊された『室田義文翁譚』 には、伊藤に当たった弾丸は、安のピストルが発砲したものではなく、階上から撃たれたフランス製の狙撃銃弾で、駅の二階の食堂から発砲されたと書かれていて、彼は狙撃手は少なくとも2名であったと主張しています。室田は「犯人は安重根ではない」との主張を当時から持っていましたが、真犯人探しが外交問題に発展するということで山本権兵衛首相が反対したので、死ぬまで表ざたにしなかったと言うことです。
この室田説が正しければ、誰が何のために伊藤を殺したのかということになりますが、時期から考えて韓国併合がらみしか考えられないでしょう。
韓国併合により朝鮮国内にも四民平等が適用され、李王朝時代の身分の頂点にあった両班などが廃止され、小作地が解放されるなど土地制度も大きく変更しました。これによって鉱山開発や工業化案件など様々な大型投資が日本の銀行などの投資家に有利に運ぶようになりました。
状況証拠にしかなりませんが、こうした事業をやりたくてウズウズしていた銀行家などにとっては、韓国自立派の伊藤博文は目の上のたん瘤であったことでしょう。
山本権兵衛はすべて承知でもみ消した可能性もあります。
ちょっとジョン・F・ケネディ暗殺事件に似ています。
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