月額制の航空運賃+滞在費
公開日:
:
最終更新日:2023/05/21
路銀、為替、金融、財政、税制
サンケイに、「 全日本空輸が来年1月から、月額制で全国の航空路線と滞在施設を利用できるサービスを始めることが28日、分かった。空き家などを改装して、月額制の滞在し放題サービスを提供するベンチャーのアドレス(東京)と連携して始める。料金や地域は調整中だが、たとえば月額6万~7万円で北海道や宮崎県など両社の航空路線と滞在施設のある地域が対象となる見込み。両社は過疎化が進む地方への移動を活性化させる考えだ。」という記事が出ていた。
ついに、長年主張しているマルチパッケージツアーがJTBだけではなく、ANAでも始めたかと感慨深い。
よくはわからないが「アドレス」というのは不動産会社のようだから、宿泊ビジネスではなく、不動産ビジネスだということも、宿と住の相対化を長年主張してきた私には、二重の感慨である。
現行の旅行業法でも、利用旅客運送業等工夫をすれば、様々な商品が提供できるのであるが、法人営業に頭がいっぱいの既存旅行会社ではそこまでの工夫ができないでいるうちに、海外から、UberやAirbnbに進出されている。
かろうじて、月極乗り放題のアイデアで、JTB職員が、高齢者を対象とした乗り放題タクシーを考えたが、これまたタクシー業界からの反発もあり、苦戦している。
この乗り放題商品を導入するにあたって、旅行業法の標準約款制度が障害となった。創意工夫が身上の旅行商品が、標準約款という金太郎飴のような清一色の発想で縛られて、その魅力を発揮できないのは、観光庁が標準約款以外を事実上認めないからだ。それに風穴を開けたのが、前述のJTBのJERONタクシーであるが、社内的にも評価が低い。社長は多少理解をしているようではあるが。
そうしているうちに、ANAが類似の商品を始めたというのが、この記事である。
私は、物の輸送が、輸送だけではなく、保管等の在庫機能を総合的に、物流としていることにヒントを得て、いずれ人の移動も、輸送だけではなく宿泊、居住を総合的にとらまえる人流が発送されるであろうと観点で、博士論文を書いたが、それから15年もたってしまった。
私のHPにも、いくつか論文をかき、また、学会の論文でも発表したが、日本観光学会などは、理解できないのか、編集責任者が、論文ではなく、研究ノートとして取り扱った。失望のあまり、日本観光学会は大会させてもらった。
https://www.jinryu.jp/category/study/treatise/page/4
関連記事
-
-
『国債の歴史』(富田俊基著2006年東洋経済新報社)を読んで
標記図書を読み、あとがきが要領よくまとめられていた。財政に素人の私には、非常に参考になる。 要約す
-
-
須田寛「国鉄改革を顧る」(くらしのリサーチセンター)メモと国の交通施策への感想
敬愛する須田寛氏の対談メモ。内容は既に知られていることではあるが、当事者が語ったものとしては数少ない
-
-
太平洋戦争で日本が使用した総費用がQuoraにでていた
太平洋戦争で、日本が使った総費用はいくらでしょうか?Matsuoka Daichi, 九州大学で経
-
-
Quoraへの回答 コロナの感染リスクが高まることを承知でGoToキャンペーンを行っていた政府の意図は何ですか?Teramae Shuichi, 人流観光研究所長(観光学博士)
コロナの感染リスクが高まることを承知でGoToキャンペーンを行っていた政府の意図は何ですか?Ter
-
-
21世紀を考える会「仮想通貨の現状」岩下直之京都大教授の話を聞く 2018年4月20日
Bitcoinの発掘の仕組み 256ビットの最初の30個は零が続かなければらないという約束。ハッシュ
-
-
明治維新の評価 『経済改革としての明治維新』武田知弘著
明治時代の日本は世界史的に見て非常に稀有な存在である。19世紀後半、日本だけが欧米列強に対抗し
-
-
『平成経済衰退の本質』金子勝 情報、金、モノ、ヒト、自然 について、グローバリゼーションのスピードが違うことを指摘 情報と人流のずれが、過剰観光
いつも感じることであるが、自分も含め観光学研究の同業者は、研究原理を持ち合わせていないということ
-
-
安易なフードツーリズム、食育、和食神話への批判 コメに無期ヒ素が含まれているのはものすごく都合が悪い。大手メーカーが「ただの水です」といって水素水を売っている
公研2016年6月号に「食の安全とリスクを考える」畝山智香子(国立医療品食品研究所安全情報部第三室長
-
-
動画で考える人流観光学 「日韓露」つなぐ唯一の航路廃止
「日韓露」つなぐ唯一の航路廃止、累積赤字41億円…一度も黒字化できず 2020/0