地方都市コンベンション関連団体によるシンフォニーでの発表会参加 2016年3月3日
公開日:
:
最終更新日:2016/11/25
路銀、為替、金融、財政、税制
ネット世界で知り合った元読売新聞の社員の方のお誘いを受けて、久しぶりにシンフォニー2時間の旅に参加する機会を得た。
運輸省記者クラブにも在籍されていた旅行読売の幹部の方もさそわれており、久しぶりにお会いした。
さらに、先月の中東東アフリカ旅行で現地の人を紹介してくれたパリ在住の元国土交通省の同僚が、旅行読売に写真等を掲載しており、相互にばらばらで知りあったものの、後で関係がわかるという典型的に「世間は狭い」人間関係であった。
新潟市、松本市、滋賀県、長崎県、高松市のコンベンション協会による、旅行会社やプレス向けのプレゼンが船上で行われた。日本観光協会時代にいずれもお世話になった地域であるものの、やはり時間がたつと、しらない新しい施設が増えている。日本の地方都市の設備は本当に充実していると改めて強く実感したが、立派ではあるが印象が薄いのである。施設は大したことのない東アフリカや中東の観光資源と比べると、何か物足りないのは残念である。
一方、ピカピカの施設で勝負するなら、ドバイやドーハの石油の金にあかせて整備したものを見れば、度肝を抜かれ、参ったと思ってしまう。日本が、ましてや、地方都市が、本気になって観光都市を目指すのは大変であると感じた。
しかし外国人ではなく、東京の人を呼ぶには難しくはない。今回のコンベンション協会の趣旨は、日本の、東京の団体客を誘致してくれれば、数十万、数百万からの助成金を出すというものであった。勿論財源は自治体からであるが、自治体はコンベンション協会に委託しているのである。この点も時代は変わったとつくづく感じたところである。自治体のお金といっても、結局は国のお金なのであるが、その金を使って、東京の団体客を、その自治体に連れてきてくださいという仕組みである。直接地元の旅館や観光業者に現金を渡すのではなく(そういう仕組みを採用しているところもあるが)、お客さんのほうに渡すのである。
金沢のように、北陸新幹線ブームで、ホテル等がアッピングをしているところでは、コンベンション誘致に助成することの住民の理解はえられないであろう。その北陸も、新幹線開業前は、自治体が相当のお金をつぎ込んで誘致事業を行っていた。私は、放っておいても、新幹線が開業すれば観光客は増加するから、無駄な金は使わなくて、開業後しばらくたってからの反動減に備えたほうがいいと言っていた。しかし、行政は、観光客増加という具体的効果が確実だから、税金を使うという心理が働くのである。それだけ、議会及び住民があまいのであろう。
新潟市は朱鷺メッセの宣伝をしていた。観光協会時代に朱鷺メッセでのコンベンションに参加する機会があったので懐かしい。北陸新幹線が金沢まで延長され、新潟方面が支線的役割になったことへの危機感があるようである。私は、新潟空港がハルピンと結ばれているとしった。安重根が伊藤博文を暗殺したハルピン駅を、日中韓共通の観光資源にすればいいと主張している関係から、観光ルート化が考えらるのではと思った。日本とロシアを代理ホストとして扱っている中国が、韓国では英雄、日本ではテロリスト扱いされている人物の記念館を設置しているのである。戦前から、ハルピンはロシア人ダンサーの裸踊りで日本人男性を魅惑していたところでもある。
滋賀県はミシガン号を宣伝していた。今や本物のニューオーリンズにデキシ―ジャズをききに行く時代である。若いころ、京阪電鉄の重松専務(のちに副社長)に誘われて、琵琶湖ホテルに宿泊し、ミシガンに載せていただいたことを思い出し、そのことをブースにいた滋賀県の担当者に話をしたら、彼は京阪電鉄から商工会議所経由の出向者で、重松氏のことはご存じであった。枚方のお住まいということで、私を誘ってくれた人が百済寺のプロジェクトを進めているといって紹介させてもらった。
長崎は、父親のビルマ派遣の時の連隊の出身地で、生前はしょっちゅう長崎に出かけていた。私も石油公団時代、橘湾と上五島に出かけてゆく機会が多く、いつもの定宿は港パーク長崎であった。お昼は紅山楼のちゃんぽんを食べていたことを話をすると、ホテルはもうなくなったそうである。
高松は、国鉄民営化と本四架橋完成の時に四国運輸局に勤務したから懐かしいのであるが、港付近の風景はすっかり変わってしまっている。バブル期でもあったからであろう。丹下健三さんの設計した県庁はどうなったか尋ねたら、旧館としてまだ使っているようである。
松本は、システムオリジンの清野さんの出身地。空港がどうなったか地図を見ていたら、北海道と福岡に飛んでいた。安房トンネルが開通したときに、わざわざ松本経由で名古屋から東京に帰宅したことを思い出した。どうしても長野市に行く機会が多くなってしまったのである。バスで3千円で行けるとしり、三千円であれば、「ただ」にして誘客する手もあるのではと思ってしまった。高速道路料金が無料になれば現実味が増すのである。
シンフォニーがとんだセンチメンタルジャーニーになってしまった。
関連記事
-
-
電力、情報、金融の融合
「ブロックチェーンとエネルギーの将来」阿部力也 公研2019No673 電気の値段は下がって
-
-
「キャピタリズム マネーは踊る」マイケル・ムーア
https://youtu.be/aguUZ7PGd2A https://youtu.be/a
-
-
歴史は繰り返す遊興飲食・宿泊税とDMO論議
デスティネーションを含んだDMOなる言葉が独り歩きしている。私がカタカナ用語のデスティネーションを
-
-
脳波であらすじが変わる映画、英映画祭で公開へ
映画ではここまで来ているのに、観光研究者は失格である。 http://jbpress.isme
-
-
『高度経済成長期の日本経済』武田晴人編 有斐閣 訪日外客数の急増の分析に参考
キーワード 繰延需要の発現(家計ストック水準の回復) 家電モデル(世帯数の増加)自動車(見せびら
-
-
太平洋戦争で日本が使用した総費用がQuoraにでていた
太平洋戦争で、日本が使った総費用はいくらでしょうか?Matsuoka Daichi, 九州大学で経
-
-
『平成経済衰退の本質』金子勝 情報、金、モノ、ヒト、自然 について、グローバリゼーションのスピードが違うことを指摘 情報と人流のずれが、過剰観光
いつも感じることであるが、自分も含め観光学研究の同業者は、研究原理を持ち合わせていないということ
-
-
『雇用破壊』森永卓郎著 角川新書 2016年 その他
森永卓郎氏は直接面識はないは、海外留学後日本専売公社から当時のいわゆる天上りで霞が関に出向し、その
-
-
フェリックス・マーティン著「21世紀の貨幣論」をよんで
観光を理解する上では「脳」「満足」「価値」「マネー」が不可欠であるが、なかなか理解するには骨が折れる
-
-
『戦後経済史』野口悠紀雄著 説得力あり
ドッジをあやつった大蔵省 シャープ勧告も大蔵省があやつっている。選挙がある民主主義では難しいこと