「温度生物学」富永真琴 学士会会報2019年Ⅱ pp52-62
(観光学研究に感性アナライザー等を用いたデータを蓄積した研究が必要と主張しているが、生物学では温度生物学まで提唱されるように研究が進んでいる。人を移動させる刺激には、避暑避寒もあり温度も大きな要素である。温度による観光需要の変化等を実証的に研究したものは、まだ知らないから、若手研究が手掛けるといいと思う。)
以下表記論文のメモ
環境温度の感知は生存にとって重要機能
温度受容に係る研究は責任因子である温度センサーが不明なまま長らく続いてきた
温度感受性分子としてカプサイシン受容体TRPV1チャンネルがクローニングされ、一気に研究が進んだ
感覚神経で環境温度を感じるためには環境温度刺激が電気信号に変換されなければならない
温度感受性TRPチャンネル
1997年にラット感覚神経から哺乳類で初めて温度で活性化されるセンサー分子としてTRPV1が発見された
TRPチャンネルは、ヒトや鳥類、線虫などにおいて視覚、味覚、臭覚、聴覚、触覚、温覚、その他様々な物理・化学刺激の受容に極めて重要であることが分かっている
温度感受性TRPチャンネルの構造が原子レベルで明らかにされてきたが、未だに温度がどのようにしてチャンネル開口をもたらすかは明らかでなく、細胞膜脂質の関与が示唆されている。
TRPV1は43度という私たちの身体に痛みをもたらす熱という物理刺激のみならずカプサイシンを含む辛み物質(化学刺激物質)で活性化され、それらの刺激に相乗作用がある。暑くて辛い物をより辛く感じる。体温変化は起こらず感覚神経をだますようにして、温度感覚をもたらす。
温かいと甘みが増す現象や体温が高いと免疫機能が維持される現象等に関わっている。
現在の脊椎動物の温度感受性TRPチャンネルの基本的なレパートリーは脊椎動物の初期の時点ですでに備わっていた
温度を化学シグナルとは異なる「温度シグナル」として捉える考え方が提唱され「温度生物学」は生物学研究の一つの大きな方向である
関連記事
-
-
『富嶽旅百景』青柳周一 観光地域史の試み
港区図書館で借りだして読んだ。本書は、1998年東北大学提出学位論文がベースとなっている。外部か
-
-
英国通貨がユーロでない理由 志賀櫻著「日銀発金融危機」
ポンド危機と英国通貨がユーロでない理由 サッチャー政権
-
-
ゲルニカ爆撃事件の評価(死者数の大幅減少)
歴史には真実がある。ただし人間にできることは、知りえた事実関係の解釈に過ぎない。もっともこれも人間
-
-
横山宏章の『反日と反中』(集英社新書2005年)及び『中華民国』(中央公論1997年)を読んで「歴史認識と観光」を考える
歴史認識を巡り日本と中国の大衆が反目しがちになってきたが、私は歴史認識の違いを比較すればするほど、
-
-
QUORA 日本の歴代総理大臣ワースト1は誰ですか?
日本の歴代総理大臣ワースト1は誰ですか? 近衛文麿でしょう。彼は首相在任中に国運を左右する二
-
-
歴史認識と書評『1945 予定された敗戦: ソ連進攻と冷戦の到来』小代有希子
「ユーラシア太平洋戦争」の末期、日本では敗戦を見込んで、帝国崩壊後の世界情勢をめぐる様々な分析が行
-
-
歴史認識と書評『暗闘 スターリン、トルーマンと日本降伏 』長谷川毅
日本降服までの3ヶ月間を焦点に、米ソ間の日本及び極東地域での主導権争いを克明に検証した本。
-
-
『芸術を創る脳』酒井邦嘉著
メモ P29 言葉よりも指揮棒を振ることがより直接的 P36 レナードバースタイン 母校ハー
-
-
『財務省の近現代史』倉山満著 馬場鍈一が作成した恒久的増税案は、所得税の大衆課税化を軸とする昭和15年の税制改正で正式に恒久化されます・・・・・通行税、遊興飲食税、入場税等が制定されたのもこの時であり、戦費調達が理由となっていた 「日本人が汗水流して生み出した富は、中国大陸に消えてゆきました」と表現
p.98 「中国大陸での戦争に最も強く反対したのは、陸軍参謀本部 p.104 馬場
-
-
2016年7月29日「ファイナンスの哲学」多摩大学特任教授堀内勉氏の講演を聞いて
資本主義の教養学公開講座が国際文化会館で開催、場所が近くなので参加してみた。 1 資本主義研究
- PREV
- Nikita Stepanov からの質問
- NEXT
- human geography
