*

中国人白タク問題  運転手派遣業とレンタカーの組み合わせによる新規ビジネス

運送機能の分化:金沢学院大学の大学院の講義を契機に、二十年来運送機能の分化について考えてきている。マーチャント・キャリアが現在では船舶貸渡業と船員派遣業と、集荷業に分かれている。航空運送がそのあとを追ってきた。流し中心のタクシーが最も運送機能の分化が遅れていると思っていたが、Uberの登場で集客業は分化しだした。

運転手派遣業の登場 日本も、会社の重役等の送迎に始まり、運転手派遣業が活用されている。飲酒運転回避のため、運転代行業が法制化された。中国人観光客の増加により中国語のできるドラーバー需要が高まっているが、中国語のできる二種運転免許などおよそ確保できるはずがなく、中国人の白タク行為が時折顕在化するが、ニーズがあるということである。従って既存のタクシービジネスの枠組みでは解決できないのであろう。

HISのアイデア HISが自社系列のレンタカー会社に運転手派遣業を活用することを思いついた。経産省にお伺いを立て、国土交通省自動車局旅客課の見解を引き出してしまった。事実上ダメということである。旅客課は業界の意見を気にせざるを得ず、与野党の国会議員も控えているから、好意的な見解が出せるわけがない。そもそもこの経産省の仕組み自体がおかしいのである。内閣法制局の正式見解を、国会議員の質問主意書等により引き出せば済むことであり、その場合は、タクシー事業及び組合の関係議員の意見は少数意見になる可能性が高いのである。また、HISも自社系列に限定したから隙があったのである。

空港での現実 空港の税関を通り過ぎると、ミーティングサービスの職員が、中国語の看板をもって旅行者を探している。レンタカー会社のカウンターも並んである。ないのは、運転手派遣サービスのカウンターだけである。しかし、リアルの世界はなくても、ヴァーチャルな世界では提供できる。スマホがあるからミーティング・サービスも不要なくらいであり、すべてスマホが中国語で音声案内してくれるかもしれない。専門的なことであるが、多くの場合、ヴァーチャル空間の法の適用は、中国法の世界になると思われるから、違法かどうかも中国政府の判断になる。

HISは自社系列のレンタカー会社だけを考えたから、運送類似行為として厳しい性格を課せられてしまったが、どこのレンタカーでもいいとなると、リアルの世界では空港で展開されているのであるから、厚生労働省が認めている運転手派遣業を違反とすることは、内閣全体では議論が出るに違いがないのである。

しかも、飲酒運転防止のための運転代行業は都道府県の公安委員会が制度化している。途中で二種運転免許が必要とされ、自家用車にも二種運転免許が必要な前例を作ってしまった。

外国人観光客対応が国策として求められている。個人旅行客が急増している。中国の若者は自分でネットで情報をあつめ、自己手配で日本を旅行している。当然、バスも走らない田舎の観光資源も求めてくるだろう。不幸にして、運転免許の相互認証が中国に限り行われていないから、レンタカーを借りても動けない。タクシーを使えばと言われても、中国語のできる運転手など、田舎では皆無である。

もし空港で、中国人がアルバイトで運転してくれるのであれば、私が中国人なら利用する。ネットで手配を頼んでおけばいいのである。交通安全上も、言葉のわからない日本人に運転されるより安心である。だれかが、これをビジネスにすればいいのではと思っている。合法性の議論であれば、いつでもお手伝いしたいと思っている。

関連記事

no image

理解するAIは数学の新理論の発見なしにはあり得ないということ

NIRAから定期刊行物を送っていただいている。政府資金が入っているので、過激な記事は少ないが、201

記事を読む

no image

『天皇と日本人』ケネス・ルオフ

P114 マイノリティグループへの関心 p.115 皇室と自衛隊 他の国の象徴君主制と大きく

記事を読む

no image

はじめに 人流・観光論の基本的視座

 観光学研究、特に観光政策学研究において、何のために「観光」を論じるのかを考えると、「観光」と「観光

記事を読む

no image

保護中: JN原稿 視覚情報を解釈する脳

生物に目という臓器ができて、進化の過程で人間にも目ができあがって、宇宙空間を飛んでいる光子

記事を読む

no image

保護中: 意識と量子力学とAI

量子力学には興味はあるものの、私の頭では理解できないことはわかっている。でも、わかりやすい解説がある

記事を読む

no image

観光資源創作とウェールズの山

観光政策が注目されている。そのことはありがたいのであるが、マスコミ、コンサルが寄ってたかって財政資金

記事を読む

no image

観光学研究者にみられる研究原理の欠如 『平成経済衰退の本質』金子勝著 岩波新書等 を読んで

いつも感じることであるが、自分も含め観光学研究の同業者は、研究原理を持ち合わせていないということで

記事を読む

no image

「アクト オブ キリング」

https://www.youtube.com/watch?v=OeoJdAlp5y8

記事を読む

no image

food porn

フードポルノという言葉があることを知った。 http://www.bbc.com/news/av/

記事を読む

no image

ゆきゆきて、神軍

https://youtu.be/OfWHuP0N0Z0

記事を読む

ヘンリーSストークス『英国人記者からみた連合国先勝史観の虚妄』2013年祥伝社

2016年10月19,20日に、父親の遺骨を浄土真宗高田派の総本山専修

旅籠とコンテナは元来同義 自動運転時代を予感 『旅館業の変遷史論考』木村吾郎

世界各国、どこでも自動車が走行している。その自動車の物理的規格も公的空

no image
旅館業法論議 無宿人保護(旅館業法)と店子保護(不動産賃貸)の歴史 

◎東洋経済の記事 https://t

no image
旅館業法の「宿泊拒否」箇所を削除、衆院委で改正案を可決 2023年5月27日読売新聞記事

「衆議院厚生労働委員会は26日、感染症流行時の宿泊施設の対応を定める旅

『本土の人間は知らないことが、沖縄の人はみんな知っていること』書籍情報社 矢部宏治

p.236 細川護熙首相がアメリカ政府高官から北朝鮮の情勢が緊迫し

→もっと見る

PAGE TOP ↑