*

ライドシェア「白タク」と健康食品の関係

有償運送サービスは、許可を受けたバス、タクシーでなければ営業できず、それ以外は違法というのが日本の制度である。
医薬品は、薬局でなければ販売してはならないというのが、日本の制度でもある。医薬品でなければ薬剤師のいないコンビニでも販売してかまわないわけで、健康食品は販売されている。
(厳密には医薬品の種類により規制が異なり、ネット販売も解禁されているが)。

いま日本では、ライドシェアが社会問題化しつつあるが、健康食品と医薬品の関係に似た議論である。
英米では、車庫待ちの輸送サービスは公共輸送ではなく、いわば健康食品であるから、薬局だけではなく薬剤師のいないコンビニでも販売できるがごとく、ミニキャブやブラックカーとして販売されている。
日本では、車庫待ちの輸送サービスも流しの輸送サービスも同じ範疇で扱われており、薬局だけでしか販売でき、薬剤師のいないコンビニでの販売は禁止されているようなものとなっていいるから、タクシー会社でしか販売できない。

これ現行制度に対して車庫待ち輸送サービスは健康食品扱いにして、専門家の薬剤師の必要性はなくしてしまい、そのうえで、薬局では健康食品も販売できるようにしてはという提案が関係業界の中から提案されている。つまり、Ⅱ種の運転免許を不要にして、タクシー会社からの販売は自家用車の運転免許と同じにしてはというのである。

私は、タクシー会社だけの利益を考えるのであれば、その方が得策であり、業界の多数の賛同が得られる提案だと思う。
しかし、世の中は、タクシー会社だけで成立しているわけではない。
健康食品を販売するのに、何故薬局だけでしか行うことができないのか、コンビニでも売らせろと反論されるに違いない。
同じ議論が、車庫待ち営業サービスでも出てくる。タクシー会社だけでなく、ほかの者にもやらせろと言われたときに、合理的な反論ができない。

それどころか、車庫待ち営業だけの輸送会社を設立して許可を受けて、仕事を始める者も出てくるであろう。
薬剤師も不要でロボットが調剤を始めるようになると、その方がミスを犯しやすい人間より安全だという時代が来るかもしれないように、
車の運転も、二種免許保有者の運転よりも、自動運転車の方が事故が少ないとなれば、二種免許制度が瓦解する。それどころか、安全性において、自家用車と変わらなるのであるから、道路運送法制度が不要となる。

それを見越しているから、今は、車庫待ち営業の二種免許不要論には簡単に組せなく、業界全体にとっても不利益だと判断しているのであろう。
私はその判断の方が業界全体に取っては、正しいのではないかと思う。
ぬけみちをつくれば、簡単に瓦解すると思う。

勿論、私の自論は、車庫待ち営業は公共輸送ではないから、流しと同じように規制することは廃止すべきと思っており、しかるべき規制をかけたうえで、既成業者だけに限らず誰でも等しく営業できるようにすべきであると思っている。勿論中国人も同様に取り扱うのである。

関連記事

配車アプリー今年を総括するー総合生活移動サービスの将来

配車アプリが登場した当初はネット社会では大歓迎で、Uber等の企業評価額も天井知らずでした。欧州でタ

記事を読む

no image

『中国ライドシェア競争はすでに終結、米国Uber「外資本土化不成功」の魔手に阻まれる』

記録代わりに次の記事を掲載しておく。日本の状況がどういう状態かも理解できるであろう。国内市場を守るこ

記事を読む

シニアバックパッカーの旅 動画で見る世界人流観光施策風土記 マニラの観光事情 シェアリング体験とダークツーリズム

1マニラのライドシェリング事情 マニラのライドシェア動画 https://www.faceb

記事を読む

no image

生産性向上特別措置法(規制のサンドボックス)を必要としない旅行業法の活用

参加者や期限を限定すること等により、例えば道路運送法の規制を外して、自家用自動車の有償運送の実証実験

記事を読む

no image

実運送と旅行業の関係(交通労連ハイタク・2018年交通運輸政策全国討論集会に関するタクシージャパンの記事)

実運送と旅行業の関係は、関係者の関心が高いが、正確な理解に欠けている分野であり、私の博士論文の主要テ

記事を読む

November 1, 2016   Survey report No.1 on taxi dispatch application and tourism advertisement in New York by Japanese taxi business CEOs

We gathered at Narita Airport. It is departure at

記事を読む

パリでUber反対デモ BBC報道

  パリでは、来年から内務大臣が、Uberによる自家用車を利用した有償運送を

記事を読む

no image

googleタクシーの記事

日経新聞にGoogleの無料送迎タクシーの記事が出ていた。概念そのものはすでに周知のことで、私も講義

記事を読む

London Car Dispatch App Report ①

8th March 2015 we arrived in London Heathrow Airpo

記事を読む

Google日本とBRIDJセミナー

1月28日Google日本の陣内裕樹氏に面談させてもらい、六本木ヒルズのオフィスを見せていただきまし

記事を読む

ヘンリーSストークス『英国人記者からみた連合国先勝史観の虚妄』2013年祥伝社

2016年10月19,20日に、父親の遺骨を浄土真宗高田派の総本山専修

旅籠とコンテナは元来同義 自動運転時代を予感 『旅館業の変遷史論考』木村吾郎

世界各国、どこでも自動車が走行している。その自動車の物理的規格も公的空

no image
旅館業法論議 無宿人保護(旅館業法)と店子保護(不動産賃貸)の歴史 

◎東洋経済の記事 https://t

no image
旅館業法の「宿泊拒否」箇所を削除、衆院委で改正案を可決 2023年5月27日読売新聞記事

「衆議院厚生労働委員会は26日、感染症流行時の宿泊施設の対応を定める旅

『本土の人間は知らないことが、沖縄の人はみんな知っていること』書籍情報社 矢部宏治

p.236 細川護熙首相がアメリカ政府高官から北朝鮮の情勢が緊迫し

→もっと見る

PAGE TOP ↑