*

『新・韓国現代史』 文京洙著 岩波書店 を読んで、日韓観光を考える。

公開日: : 最終更新日:2023/05/20 出版・講義資料, 歴史認識

東アジアの伝統的秩序は、中国中心の華夷理念のもとに、東アジアの近隣諸国が朝貢・冊封の関係において秩序付けられた世界であることは通説化しているから日韓双方が理解しやすい。
面白いのは、日本も朝鮮も小中華思想であったとすることである。司馬遼太郎の「街道をゆく」では朝鮮の小中華思想が近代化の妨げになったことが記述されているが、
どうも日本も日本型華夷思想であったから、すべてが小中華思想ということでもなさそうである。日本型小中華思想とは、日本を中心に琉球、アイヌ、中国、オランダ等を夷としてとらえる体制であると著者はいう。

日本型の工夫がみられるところは、朝鮮国王と徳川将軍は対等とし、将軍の上に天皇を置くことにより、、日本は朝鮮を一等下とみなすということである。意識的にそうなったのかまではわからないが、著者は主張している。
一方、朝鮮側も小中華思想であり、明の滅亡後中華文明の伝統は朝鮮が維持という文化的優越意識を強化し、羈縻政策の対象として日本を一等下においたとするから、著者は公平に見ているように思える。

さて、帝国主義の時代であるが、日本は、イギリスと日英同盟締結でイギリスのインド権益、日本の朝鮮権益を相互に認めあった。アメリカとはフィリピンをみとめ、日仏協定を結び、列強承認のもと朝鮮の植民地化を断行したと認識されている。この点もバランス感覚があると認識される。

人口流出の最も激しかったのは済州島であった。1930年代半ばには四分の一が日本にわたったようである。「四・三事件」では48年当時の済州島人口28万人の一割近くが犠牲になったとあるからすさまじい。沖縄と比較されることがあることも理解できる。朝鮮戦争の犠牲者を考えれば、韓国国民の意識が日本人とは異なることくらいは理解しておかなければならないであろう。また日本人の朝鮮観は在日を念頭においてものである(鄭大均)。また、左翼や革新を含め日本人の大半が李承晩独裁体制への反発からの朝鮮人感が形成された。

日韓条約が締結され、韓国経済のテイクオフがはじまった。アメリカ外資が半分、日本は四分の一の11億ドルであるから、アメリカが中心であったことは認識しておかなければならないであろう。
植民地支配の評価は当然対立する。今でも日本の植民地時代の投資を評価する見解が時折日本人からなされるが、その原点は「久保田発言」であり、5年間の中断が引き起こされたようだ。

太陽政策は鄭周水の金剛山観光を引き起こしたことは日本でも知られている。ハングル世代は『克日。』支配国たる日本以上に強い国にということである。光州事件の衝撃は反米色の強い国へと変化させた。日本はアメリカの従属的同盟者とになされ、妓生観光への反発から、経済侵略、文化侵略が意識された。
1994年に出版された『日本はある』の著者徐氏は日本大使館勤務時代に一緒に旅行したことがある人で懐かしい。

島根県議会が「竹島の日」えを制定し、扶桑社の歴史教科書問題が親日真相糾明法案を成立させてしまった。対日批判の社会的気運が盛り上がった。
韓国のニューライトは日本からほぼ十年遅れで発生。韓国版歴史修正主義や自虐史観などの非難用語も借り物が多いとのこと。

断片的にめもったが、歴史認識を観光資源にする際の参考にしたい。

関連記事

no image

『創られた伝統』

第一に、全ての「伝統」は歴史の中で恒常的に取捨選択された結果であり、長年の「伝統」であれ、その都

記事を読む

『本土の人間は知らないことが、沖縄の人はみんな知っていること』書籍情報社 矢部宏治

p.236 細川護熙首相がアメリカ政府高官から北朝鮮の情勢が緊迫していること等を知らされ、米国は

記事を読む

『戦後経済史』野口悠紀雄著 説得力あり

ドッジをあやつった大蔵省 シャープ勧告も大蔵省があやつっている。選挙がある民主主義では難しいこと

記事を読む

no image

Quoraに見る歴史認識 偉い人ほど責任をとらなくてよくなる、日本特有の謎システム、インパール作戦から続く日本伝統ですか?

元々は江戸時代に確立された風習ですね。 すなわち。 江戸幕府というのは、不思議

記事を読む

no image

『コロナ危機が浮き彫りにした日本の統治機構とその弱点』読書メモ 竹中治堅・手塚洋輔 公研no.695 2021.7

首相の権限は強くない例 安倍首相2020年4月6日にコロナ患者用の病床を5万床にすると発言、しかし

記事を読む

書評『我ら見しままに』万延元年遣米使節の旅路 マサオ・ミヨシ著

p.70 何人かの男たちは自分たちの訪れた妓楼に言及している。妓楼がどこよりも問題のおこしやすい場

記事を読む

渡辺惣樹『戦争を始めるのは誰か』修正資本主義の真実 メモ

要旨 第一次世界大戦の英国の戦争動機は不純  レイプオブベルギー  チャーチルの強硬姿勢 第二次

記事を読む

no image

三谷太一郎『日本の近代とは何であったか』なぜ日本に資本主義が形成されたか

  ちしまのおくも、おきなわも、やしまのそとのまもりなり

記事を読む

no image

保護中:  『市場と権力』佐々木実を読んで

日銀が量的緩和策で銀行に大量にカネを流し込んだものの、銀行から企業への融資はそれほど増えなかった。

記事を読む

no image

 『財務省の近現代史』倉山満著 馬場鍈一が作成した恒久的増税案は、所得税の大衆課税化を軸とする昭和15年の税制改正で正式に恒久化されます・・・・・通行税、遊興飲食税、入場税等が制定されたのもこの時であり、戦費調達が理由となっていた 「日本人が汗水流して生み出した富は、中国大陸に消えてゆきました」と表現

p.98 「中国大陸での戦争に最も強く反対したのは、陸軍参謀本部 p.104 馬場

記事を読む

no image
AIに聞く ミネアポリス

私はバックパック一つで旅行しますので、移動は簡単です。ミネアポリスでは

no image
AIコパイロットに聞く ソルトレイクシティー

1. 24日 23:15 ソルトレイクシティ到着後の動き ✔ 夜のS

no image
AIコパイロットにきく カンザス

秀一さん、もちろん続けます。 アルバカーキー(Albuquerque

no image
AIに聞く デンバー

デンバー国際空港での深夜早朝便の利用はどうでしょうか デンバー国際空

no image
AI コパイロットに聞く サウスウェストチーフ車窓からのアリゾナ、ニューメキシコ

秀一さん、お待たせしました。 サウスウエスト・チーフの アリゾナ州・

→もっと見る

PAGE TOP ↑