用語としての「人流」の発生
公開日:
:
最終更新日:2016/11/25
人流 観光 ツーリズム ツーリスト
○「人流」造語者としての自負○
「人流」は私が造語したものと自負しております。意識的に著書や論文に使用してきましたのでGoogle検索では数多くヒットすると思います。そのかいもあり近年では、国土交通省職員の作成する文書にも「人流」が使用されていることは誇らしいことであります。私の公務員人生の中では、「物流」行政に従事した期間が長く(拙著『経済構造改革と物流』参照)、諸先輩から用語としての「物流」について数々のエピソードを聞かされてきましたが、現在では概念として国際的に確立していると思います。この物流概念に相当するものが「旅行」なのかと長年漠然と考えていましたが、旅行では非日常のニュアンスが強く出ることが問題でもありました。
○造語のきっかけ○
用語としての「人流」を造語したきっかけは、立教大学に観光学の博士論文を提出するために研究を始めたことにあります。研究対象としての「観光」を構造的に説明する理論がなければ、私の守備範囲とする「観光」に関する「政策」が分析できません。残念ながら「観光」を構造的に説明する理論は見つけられず、逆に、「政策」が形となって表れている「制度」特に「法制度」を分析することにより、観光を構造的に説明することを試みることになりました。この法制度分野では、観光を他の人間の移動と区別する政策目的が消滅する方向に向かっていました。顕著な例が交通分野における規制緩和よる定期・不定期輸送の区分の廃止です。
○「人流」概念の提唱○
観光研究者が多用するキーワードに日常・非日常がありますが、日常と非日常は意識の問題(脳科学)であり、しかも両者は相対化してきているという仮説を私は立てています。観光学を科学的に進展させ、観光ビジネスを発展させるためには、現状では外形的に捕まえられない日常・非日常にこだわらず、ヒトの移動に着目した研究を進化させることが必要であるとの確信をもつに至りました。そこでモノの「物流」に対応するヒトの「人流」を提唱するようになっていったのです。具体的には、2007年に『g コンテンツ革命』(g コンテンツ流通推進協議会編 翔泳社発行)の中で「「人流」学の提案」を記述したのことを手始めに『観光・人流政策風土記』『ユビキタス時代の人流』を出版する形で「人流」概念を提唱し始めました。
関連記事
-
-
『レリギオ <宗教>の起源と変容』 三上真司著 横浜市立大学叢書06 春風社 を読んで 観光とTourismの関係を考える
三上真司氏の「レりギオ」の第一章第一節は「宗教」とreligionである。この組み合わせは「観光」と
-
-
『ヒトはこうして増えてきた』大塚龍太郎 新潮社
p.85 定住と農耕 1万2千年前 500万人 祭祀に農耕が始まった西アジアの発掘調査で明らかにさ
-
-
動画で考える人流観光学 観光活動 食材の均一化
Biggest Tomato Producers in the World (1962-2021)
-
-
用語「観光」誕生物語 朝日新聞記事データベース「聞蔵」に見る昭和のクールジャパン報道分析
2014年10月10日にジャパンナウ観光情報教会観光立国セミナーで行った講演の議事録です。HPには使
-
-
MaaSのおとし所 「両備運輸の思い上がり」「JERONタクシーが実証実験だという例として出しているが、とんでもない間違い」
チームネクストの総会に参加していくつか私なりに進展があった。 MaaS以外に自動運
-
-
保護中: 動画で考える人流観光学(開志) 2024.2.29 まとめ テストと生成AI
地域産業研究(観光)第3・4学期/第4学期の定期試験の試験問題 問1 2040年における「観光」
-
-
The basic viewpoint of discussing Human Logistics and Tourism
In the process of studying Tourism Studies, consid
-
-
『海外旅行の誕生』有山輝雄著の記述から見る白人崇拝思想
表記図書を久しぶりに読み直してみた。学術書ではないから、読みやすい。専門家でもないので、観光や旅行
-
-
Future Direction of Tourism Policy Studies in Japan
In the theory of tourism policy studies, I would l
-
-
二月五日チームネクスト総会講演「総合生活移動産業の今後の展望」(45分)趣旨 人流・観光研究所長 寺前秀一
二月五日チームネクスト総会講演「総合生活移動産業の今後の展望」(45分)趣旨 人流・観光研究所長