モンゴル国フブスグル地区紀行~トナカイとシャマンとドロ━ン(4) シャマンの儀式とトナカイ解体
公開日:
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最終更新日:2016/11/25
海外観光
2015年8月21日
昼食後いよいよシャーマンがいるところに出発。トナカイにもだいぶ慣れ、恐怖感はだいぶ薄らいだ。下りの急な傾斜は安全を考えて徒歩。
四時間程度で到着。シャーマンのЧулууний зоригооさん夫婦からスーティチャを振舞われ、懇談。居住地付近から金鉱が見つかったが、政府が規制をかけたので、今は森林監督員をしているとのこと。社会主義時代奥さんは看護婦をしていたようだ。民主化後トナカイ38頭が分配され、今の生活を続けているという。娘二人とも山を降りて暮らしている。一人は少数民族政策により大学に進学している。シャーマンの奥さんは持病があるらしく、調査団の鍼灸の専門家に何やら相談。このあたりは、霊の限界もご存知のようで現実的である。霊に頼るのは、科学と呪術と宗教が未分離の鎌倉時代のことであろう。
ツアータン族は500人くらいだそうだ。家族は50~60家族。シャーマンになったきっかけは、2歳の時に死にかけていた。その時のシャーマンに見つけてもらった。シャマンの先生が能力を見出してくれた。13歳の時魂が入ろうとして苦しかった。25歳から47歳の今まで継続している。最初は家族を見ていたが32歳から他人も見るようになった。13代目である。ほかにもツアータン族のシャーマンは2、3人いる。儀式の仕方はいっしょである。料金は人による。天の魂が言ってくる。持っていない人は家畜を出す。霊にお礼をしないとシャマンの家族に害がある。
懇談のおわりころ、シャーマンの儀式をお願いする段階で、謝礼額に行き違いがありこのまま帰るかという雰囲気になったが、結局元の条件でお願いすることになった。シャーマン夫婦も心なしかほっとしたようだった。夕食後うさぎがゲルに飛び込んできた。飼い犬に追いかけられたようだ。うさぎ汁にする話も出たが、ガイドの子供が可愛がるのでそのままになった。翌朝解放したそうだ。
夜十時すぎからシャーマンのゲルに行った。いよいよ儀式が始まる。儀式の写真は使用してかまわないが、ネットは遠慮してほしいという要望であった。沢山の人が来るようになっては困るということであったが、その理由は理解できなかった。私のブログはメモ代わりなので、非公開でアップしておく(シリーズの最後の蘭)から、希望者は申し出てくれればお見せしたいと思う。ただし動画は容量が大きすぎてブログ上では見ることができない。太鼓は湿気をおびていたようで音が悪く、火であぶり乾燥することとなった。枯れた松葉の煙で、すべての衣装、道具をきよめていた。ガイドの二人は補助役の経験が豊富なようで、てなれたものだった。
準備段階で、お供えの酒を出すようにいわれたが、聞いていないので、ないものはない。しばらく我慢比べの沈黙が続くが、最後にシャーマンがゲルの外に出た。しばらくして、飲みさしのアルヒーのボトルをもって帰ってきた。次にお供えのタバコの話になるが、やはりお酒と同じこと。ないものはない。
ようやく儀式が始まる。シャーマンは太鼓を叩き、背中につけた鳥の羽をイメージした白い布切れを左右上下に振り回す。だんだんと陶酔状態になり、太鼓で口元を隠しながら、何やら言葉を発し始める。祈祷をお願いした我々一行七人が一人ずつ呼ばれて御告げをきく。聞く前に、ツァータン語で何やらを唱えさせられ、木製の道具を床に転がさせられた。
御告げは奥さんから、通訳のメグさんに伝えられ、日本語で伝えられた。シャーマンから奥さんには直接霊の声ご伝えられるとのことで、奥さんも霊の言葉がわかることになっていた。私の場合は、貴方の考えていることはすべてうまくゆくという有難い御告げであった。頭のいい奥さんだと思った。儀式は準備も含め一時間半くらいか。長いお経や祝詞を読み上げる僧侶や神主さん同様、重労働である。
なお、易占は「前意識」との会話であり、易は神の啓示などではないといわれているが、シャーマンのお告げも同じであろう。
儀式の様子等はネットでの発表は遠慮することとし、パスワードをかけて別欄に掲載しておいたので、希望者はそこを参照してほしい。
儀式後、再びシャーマン夫婦と懇談することとなった。酒やお菓子がふるまわれた。夜も遅いので、西田団長は一旦腰をあげそうになったが、シャーマンの言葉の端に興がのったのであろうか、キャンプ地域の指定や環境調査等の段取りについて話始め、床に着いたのは深夜一時すぎになってしまった。寒対策の重装備で寝ることとなった。
2015年8月22日
元のツァータン族の観光ゲルに戻った。帰りは道を知っていることもありトナカイの操縦は楽であった。べースキャンプに到着後、西田団長の希望もあり、トナカイの肉を食べることになった。雌は乳をとり、子供を出産、成人のトナカイは運搬用なので、食肉用には若い三歳位の雄をあてるとのこと。一人5千円見当で5人でシェアし購入することとなった。
トナカイの解体シーンも問題があるかもしれないが、写真を適当にアップしておく。とどめを刺すところはツァータン族の主人の希望もあり撮影は遠慮した。やはり動物愛護の問題もあるのだろうか。マグロの解体と同様トナカイの解体もツァータンの文化。子供たちも参加して経験をつむようだった。
解体された肉はハエが卵を産まないように馬の糞でいぶしながら乾燥させていた。そこへニューヨークからきたという若いヤンキーがモンゴル人のイケメンの脊の高いがっしりした身なりのいいガイドと訪問。30分くらい離れたゲルにいるというから、われわれが来るときに休憩したゲルだ。馬だと半分くらいの時間なのだ。ちょうど解体しているときだったので、バックかと聞かれ、意味がわからなかったが、背中の一番おいしいところだったので聞いたのだろう。
トナカイは繁殖用の雄は一頭、角を見ると繁殖時は毛が抜けるようだ。残りのオスは去勢されてしまう。日本にはこの家畜の去勢の思想はどういうわけか伝承されなかったから、宦官も存在しなったことは何となくほっとするから不思議である。
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