鳥取市の三時間乗り放題1000円タクシー(外国人観光客用)
公開日:
:
最終更新日:2016/11/25
展開されている人流・観光事業に関する感想等
鳥取市の三時間乗り放題千円タクシーは、通常のメーターでは一万五千円はかかるタクシー料金を、法定限度額の九千円まで下げてもらい、更に鳥取県と鳥取市が四千円ずつ補助するという仕組み
鳥取市のHPでは、「1,000円タクシーは外国人FIT(個人旅行)の多い鳥取市において不便な交通網の形態を飛躍的に高めるアイテムとして年々利用客が増加しています。しかし、着地型観光に繋がっていない傾向があり、タクシーで観光した後にホテルも鳥取市を利用してもらう仕組みづくりを提案するため、「ホテル」「ハイヤー協同組合」「鳥取市」三者が協力して今回のシステムを作成しました」とあります。
○従来のシステム
・ JR鳥取駅国際観光客サポートセンターで受付 → 観光 → JR鳥取駅まで戻る
○新システム
従来のシステムに加え、指定ホテルに宿泊したお客様、もしくは宿泊予定のお客様
① ホテル(泊) → 観光 → 駅等
② サポートセンター → 観光 → ホテル(泊)
観光政策が地域住民の賛意を得られて推進される事は観光研究者としては好ましいことですが、当該財源が問題となります。外国人観光客が増加することにより利益を受けるところから徴収するシステムであればいいのですが、純粋の一般財源能美に頼る場合は限界があるはずです。海外の大都市にならって東京都のように宿泊税を徴収しているのであれば、それを財源に充てることは問題ないと思われますが、片山鳥取県知事(当時)は東京都の宿泊税に反対の意向を示されていました。
案の定、千円タクシーは発足後一年で、宿泊と組み合わせるものを追加しています。本来なら最初から宿泊と組み合わせなければ、赤字団体の鳥取県、鳥取市にとって、費用対効果からも問題があったと思われます。宿泊と組み合わせるこということはパック旅行的になるわけですから、パック料金そのものに補助することも手段として考えられるわけです。タクシー会社とホテルの間で補助金受給の割合は相談すればいいのでしょう。
そもそも、パック料金になれば、タクシー運賃の法定限度という概念も働かなくなりますから、純粋にコマーシャルベースで商品設定を考えればいいのかもしれませんが、インバウンドブームに乗り遅れては、勉強していない議会議員からの追及に耐えられないと判断し、実施したのでしょう。しかし何時まで継続するのでしょうか。どこでも同じことを始めてしまえば全く効果がないことでもあり、危うい政策の一種だと思います。
関連記事
-
-
一見さんお断りの超一流旅館のコンプライアンス
インバウンドブームがまだ本格的に始まる前、大連にある大学の観光学の教授から、中国の富裕層を数人日本
-
-
真鶴の観光政策を考える機会
昨日11月7日急に日ごろお世話になっている向島の尾端さんから電話があり、今日8日真鶴の魚座見学に行く
-
-
ゴッツン免許とUber
ゴッツン免許とは俗称である。 体罰が犯罪とされる今日「ゴッツン」は死語かもしれないが、頭をゲン
-
-
弘前・青森旅行 チームネクスト13回研修会に参加して 2016年8月1日~3日
チームネクストの研修会が弘前で開催。この機会に現地の北星交通社長の下山さんのお世話で弘前のねぷたと青
-
-
地方都市コンベンション関連団体によるシンフォニーでの発表会参加 2016年3月3日
ネット世界で知り合った元読売新聞の社員の方のお誘いを受けて、久しぶりにシンフォニー2時間の旅に参加す
-
-
『プロヴァンスの村の終焉』上・下 ジャン=ピエール・ルゴフ著 伊藤直訳 を読む。2017年10月15日
市長時代にピーターメイルの「プロヴァンスの12か月」読み、観光地づくりの参考にしたいと孫を連れて南仏
-
-
観光学を考える 『脳科学の教科書 神経編・こころ編』岩波書店 理化学研究所脳科学総合研究センター編 をよんで
図書館でこの二冊を借りてきて一気に読む。岩波ジュニア選書だから、子供が読む本だけれど私にはちょうどい
-
-
チームネクストin神戸 に参加 配車アプリと神戸観光
2015年7月10日 久しぶりの神戸でした。私の役割は、稲員会長と一緒に、ロンドン合宿の報告です。報
-
-
脳波であらすじが変わる映画、英映画祭で公開へ
映画ではここまで来ているのに、観光研究者は失格である。 http://jbpress.isme
-
-
人口減少の掛け声に対する違和感と 西田正規著『人類史のなかの定住革命』めも
多くの田舎が人口減少を唱える。本気で心配しているかは別として、政治問題にしている。しかし、人口減少と