*

進化論 宗教と進化論 『進化のからくり』千葉聡 ガラパゴス島が観光資源になる過程の材料として面白い

公開日: : 最終更新日:2023/07/29 観光資源

イスラム教と進化論、初期キリスト教と進化論

 

ダーウィンが進化の着想を得たのがガラパゴスだとは航海記には書いてない。進化論発祥の聖地になったのは1935年 ダーウィンフィンチの伝説

 

『種の起源』の初版では「転成」(transmutation)という用語を使い、「進化」(evolution)という用語を使わなかった。

講義序盤のオリエンテーションは、じつに鮮やかだ。
「進化論」の着想へと導いたマネシツグミ(鳥)の形質変化についてのダーウィン自身の“気づき”に始まって、やがて世に流布していくダーウィン伝説の紆余曲折。さらに、ある時点から『種の起源』着想の原点として認識されるようになったダーウィンフィンチ類(鳥)の進化を解明していく“後継ダーウィン”たちのエピソードまで。『種の起源』がまさに転生していく過程をコンパクトに紹介していく。
とくにグラント夫妻の研究について語るあたりで、「進化論」のエッセンスを明解に示してみせる。

グラント夫妻は、40年という短いスパンの中でリアルタイムに起こる「進化」を観測・分析し、「種分化」を実証した“後継ダーウィン”のひとり。その研究によれば、フィンチ類は大陸から遠く離れたガラパゴス諸島の島ごとに数種ずつ生息する。山側・海側に棲む種、固い大きな種子を割って食べる種、小さな実を啄む種……。同じ島内で進化・種分化したという。

リアルタイムで進化していく様子が興味深い。例えば、嘴(くちばし)の形質はこんな具合に進化する。ある時エルニーニョに伴う気候変動によって島の植生が変わった。フィンチが好んで食べていた固く大きな種子が減った代わりに、小さな種子が増えた。それまでは大きな嘴をもつ個体の方が固く大きな種子を割って食べるのに適していたが、小さな種子を啄(ついば)むには都合が悪い。すると徐々に小さな嘴をもつ個体の生存率が高まり、やがて種集団を作り、種分化した。40年間で他にもそうした環境変化に伴う「進化」が何度も起こったという。

「進化」というと、何十万、何百万年という年月を想像するが、意外にも人の半生程度のタイムスケールで現れたと知って驚く。と同時に、「進化」自体が多義性を含むことに興奮を覚える。
すると、著者の講義は生物学を超えて、思いもよらぬ分野へ広がりはじめた。

関連記事

no image

マザーテレサ 歴史は後から作られる例

マザーテレサについて、ウィキペディアは、正反対の記事を二つ載せている。 スコピオを旅行したと

記事を読む

本当に日本は職人を尊ぶ国であったのか?

司馬遼太郎氏は、韓国、中国との比較においてなのか、『この国のかたち』のなかで、「職人。実に響きがよ

記事を読む

no image

『訓読と漢語の歴史』福島直恭著 観光とツーリズム

「歴史として記述」と「歴史を記述」するの違い なぜ昔の日本人は、中国語の文章や詩を翻訳する

記事を読む

no image

新華網日本語版で見つけた記事

湖南省で保存状態の良い明・清代の建築群が発見 http://jp.xinhuanet.com/20

記事を読む

『枕草子つづれ織り 清少納言奮闘す』土方洋一   紙が貴重な時代は、日記ではなく公文書

団塊の世代が義務教育時代に学修したことの一部が、その後の研究により覆されている。シジュウカラが言

記事を読む

no image

歴史は後から作られるの例 「テロと陰謀の昭和史」を読んで

井上日召の「文芸春秋臨時増刊 昭和29.7 p.160「血盟団」の名称は、木内検事がそう呼んだので

記事を読む

no image

観光資源評価の論理に使える面白い回答 「なぜ中国料理は油濃いのか」に対して、「日本人は油濃いのが好きなのですね」という答え

中華料理や台湾料理には、油を大量に使用した料理が非常に多いですが、そうなった理由はあるのでしょうか

記事を読む

no image

ジャパンナウ2019年9月号原稿「森光子記念館」

著名人の顕彰施設は著名である限りは存続する。問題は経年変化により著名人でなくなった場合である。文化

記事を読む

動画で考える人流観光学 観光資源論 フィリピンセブ島刑務所の囚人ダンス

フィリピンセブ島観光・旅行【決定版】絶対にするべき39スポット&アクティビティ http://ce

記事を読む

no image

吉田松陰と北一輝

歴史は後から作られるの例 『対談 昭和史発掘』 松本清張 2009年 文春新書 p.60 北

記事を読む

PAGE TOP ↑