メディアやセミナーに踊らされるMaaS
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最終更新日:2023/06/04
ライドシェア, 人流 観光 ツーリズム ツーリスト
Mobility as a Service(MaaS)とは、運営主体を問わず、情報通信技術を活用することにより自家用車以外の全ての交通手段による移動を1つのサービスとして捉え、シームレスにつなぐ新たな『移動』の概念、 と日本語のネットには出ている。大騒ぎしている割には、海外ネットでのヒット件数は少なく、あまり注目されていないという感じがした。UberやAirbnbと比較にならない。研究者も流行を追う傾向がある。仕事の少ない文系だけではなく、理系でもその傾向があると物理学の泰斗が言っていたから、仕方がないが、注目されなくなると、研究する者も減るから無視していいのであろう。
さて、本論。MaaS概念の自家用車という概念は曖昧。英米法ではハイヤーは自家用車であり、日本でもレンタカー、運転代行車は自家用車である。韓国でもフィリピンでも運転手付きのレンタカー(自家用車)サービスは提供されている。MaaSを「すべて交通手段による移動」とするならそれなりに理解できるが、それではセミナーにならないであろう。自家用車課税も、1970年代末、運輸省は国鉄再建に公共交通税として自家用車課税を打ち出したが、順法闘争という名の通勤地獄に拍車をかける国鉄労働者救済に使うのかという厳しい批判を浴びてしまった。マイカー族が納める納税額は、日本の税収の中の大きな割合を占め、道路建設・維持だけではなく、鉄道高架化や福祉等にも活用されていたのです。
移動の概念という問題に立て方は、物流から見ると時代遅れである。物流でいう在庫、人流では、私は宿泊と居住としているが、もう少し広くもあり、狭くもあるものであろう。動かない部分を無視しては意味がないことだけは間違いがないので、日本語では人流としたが、さらにいい言葉があればいい。
シームレスということであれば、マイカーが最もシームレスである。
物流では、自家用、営業用という範疇化は、貨物の所有権の有無での区分であり、ロジスティックの世界では、あまり社会的意味がない。コンビニ商品などは、ローソン等が全体の流れを管理しているが、運び屋は自分のものではないから青ナンバーである。トヨタの自動車専用船もしかりである。
日本で大騒ぎさせているのはメディアであり、旅客の有償運送事業者がのせられているだけである。
マスコミを動かして運動を展開するには、新たな目標が必要であり、あえて言えば、欧米やアジア諸国のように、道路運送法を改正させて乗合と貸切区分をなくすとか、自治体に権限を委譲するということなら、その意味において運動論は理解できるが、ライドシェア反対の現状維持では仕方がない。ましてや、既存タクシー屋にだけ、自家用の有償運送を認めるような発想では、さらに筋が悪い。調剤薬局に限定して栄養財の販売を認めるようなものである。法の下における平等の発想がない。
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