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英国通貨がユーロでない理由 志賀櫻著「日銀発金融危機」

ポンド危機英国通貨がユーロでない理由

サッチャー政権後期の拡張的金融政策で失業率も改善傾向だったが、ERM参加後に再び悪化し、1992年には10%近くまで失業率が上昇した。景気は大きく後退し、会社の倒産は(1931年以降)記録的なものとなった。そしてウォルターズの予想通りポンドは投機攻撃の対象となった。1990年10月に東西ドイツが統一されて以来、旧西ドイツ政府による旧東ドイツへの投資が増加し、欧州の金利は高目に推移していた。高めの金利は欧州通貨の増価をもたらした。ERMによって欧州通貨と連動したポンドは次第に過大評価されていくことになり、持続可能性を喪失していった。ERMに留まるには英国は金利を上げざるを得なかった。 高金利は英国経済を害した。ルールに反し、ドイツ連邦銀行はポンド防衛にまわらなかった。ここで英国人達の欧州懐疑論が深く心理に残るものになった。これに目をつけたのがジョージ・ソロスである。ソロスは「相場は必ず間違っている」が持論であり、このときもポンド相場が実勢に合わないほど高止まりしていると考えた。そして、ポンドを売り浴びせ、安くなったところで買い戻すという取引を実行することになる。その時の支配的な意見は英国はERMに留まるべきというものだった。当時の首相ジョン・メージャーはERM加入は誤りだったと認めようとせず、ERM離脱は英国の未来の裏切りだと述べた。 イギリスポンドは正式にERMを脱退し、変動相場制へ移行した。 ERMはポンド危機による再編後、1999年には統一通貨ユーロへと結実している。だがリーマンショック後のユーロ圏はPIIGS諸国をはじめ多くの労働者を失業という苦境に追い遣っている。 なお、イギリスはこのユーロに2019年現在も参加していないが、大陸欧州との通貨統合の試みにより不名誉をこうむったポンド危機の記憶と無関係ではない。ソロスの動機はもちろん収益を上げることであり英国を救うというものではなかったが結果的に英国をユーロ圏の外に位置させることになった。

日債銀事件

差し戻しとなった二審では前述の通り、会計の旧基準での査定でも回収できなかったかどうかが問われた。2011年8月30日、東京高裁は無罪判決を下した。飯田喜信裁判長は検察が違法とした査定について経営判断として許されると認定した。検察はこの判決に対して再上告を断念。無罪判決が確定。

ハイ マ ン・ミンスキー

  • 彼の研究は、経済危機の特徴の理解と説明を行うものであった。金融市場における通常のライフサイクルには泡沫的投機バブルによる脆さが内在するとする、金融不安定説の理論を提唱したことで知られる。彼の研究は07年の金融危機に際してウォールストリートで再評価されている。
  • 経済の不安定性は複雑な市場経済が生来的に備えている欠陥であると述べ、金融不安定性の段階を次のように述べている。
    • ①調子のいい時、投資家はリスクを取る。
    • ②どんどんリスクを取る。
    • ③リスクに見合ったリターンが取れなくなる水準まで、リスクを取る。
    • ④何かのショックでリスクが拡大する。
    • ⑤慌てた投資家が資産を売却する。
    • ⑥資産価格が暴落する。
    • ⑦投資家が債務超過に陥り、破産する。
    • ⑧投資家に融資していた銀行が破綻する。
    • ⑨中央銀行が銀行を救済する(‘Minsky Moment’)
    • ⑩1に戻る。
  • 金融には、(1)ヘッジ金融、(2)投機的金融、(3)ポンツィ金融の3つがある。ポンツィとは、1920年代にボストンでねずみ講を組織した詐欺師の名前である。投機的金融やポンツィ金融の比重が高まると、経済は不安定な状態になる、と述べている。

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