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観光概論にみる字句「観光」の説明


有栖川図書館で観光の書籍を読む。大橋昭一氏の関係する書籍が開架式の棚に何冊かあり読む。
大橋著『観光の思想と理論』の冒頭で、観光丸の命名を引用して、観光に国威発揚の意味があっだとしている。溝尾良隆氏や上田卓爾氏からの著作からの引用でもある。そしてこの説に対しては 溝口周道が一方的な厳しい批判を加えている。私には古文書の解説には興味はないが、一応掲載しておくと「最近の出版物『観光学の基礎』にある溝尾良隆の「観光の語源と意味」(2)では、従前の問題に止まらず誤説が増えた分問題を深化させている。この文献は、まず、易(本文)と象伝を混同するなど基本的な理解に欠けている。そのためか意図が明確でない易経の説明が多い。次に、観光丸にこだわった記述が多いが、なぜ観光丸に注目するのか、語源の説明における観光丸の位置づけは何なのかが示されていないし、そもそも観光丸の命名に関する史料が示されていない。また、沢木泰昭(3)と上田卓爾(1)の文献からの引用が多いが、内容を吟味せず取り上げていることには問題がある。観光丸に関する記述については、両者とも命名に関する史料を欠いているので、正確な論証を加えずに紹介することには問題がある。沢木には根拠の定かでない記述が多く読み物の域を出ない。上田の「『春秋左氏伝』の注釈から「観光」という言葉が生まれて広まったのではないか」という説を紹介しているが、『春秋左氏伝』自体には注釈はなく、「観光」が出ているのは秦鼎の校本である。上田も紹介している「観光」の語が出ている頼山陽の詩はその板行以前に作られており、福沢諭吉がその校本を読んだ可能性も示されていない。論理的に成立していない説であるので、それを紹介することには問題がある。溝尾の文献は、日本観光研究学会の出版物であることからその影響の大きが懸念される。読む人に誤解や混乱を与えるとともに、このテーマに関する研究の進展の妨げとなるので、早急に正してゆく必要がある問題である。」という手厳しい批判である。国威発揚は鉄道省が1930年に考えたことであると私も考えているから、その批判には耳を傾けているが、 溝口氏は私の「観光」概念が越境(国)概念から始まっているという説にも容赦ない批判を加えている。勿論「概念」と「字句」の関係であるから、時代により徐々に変化してゆくものであり、幕末期の文献の2割も解読されているない状況で結論など出せるのもはなく、今後のGoogle等の自動読み取りソフトの開発を待たなければならないのであろう。上田氏はまったく溝口氏を相手にしておられない。溝尾先生は紳士であり、溝口氏にはだから学会でどんどん論文を発表してほしいというお考えを持っておられたが、期待に反して溝口氏は学会を退会されてしまった。惜しいことをしたわけであり、その結果、大橋氏のような著作が出てしまうこととなった。いずれにしろ、溝口氏も字句「観光」の出所についての論議であり、概念「観光」の誕生については決め手となる資料は、古文書の解読が進まない現状では極めて不足しているのである。
http://kankou-kou.cocolog-nifty.com/tourism/2010/10/post-9c95.html

大橋氏に続き『 現代の観光とブランド』のpp11~15 において、和歌山大学の東悦子氏が再び上田、溝尾氏を引用している。大橋氏も第1章では、相変わらずtourism論議の展開で、tourist論議はなく、区別しておられない。この点は、このブログのどこかで、字句「観光」と概念「観光」の遭遇ということで私も解説したことである。字句touristは早くに日本に紹介されたが、Tourismは1930年の国際観光局設立時前後なのである。しかも国際観光局の英訳はtouristなのだが、それにも気が付いておられない。はやり孫引きとその延長には気を遣わないといけないのである。観光学概論や観光学辞典の観光の定義に目を通すと、大橋氏に限らず、溝口氏の厳しい指摘が避けられないものがおおい。
https://jinryu.jp/blog/?p=4923

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