Mashuup Ideathon 感情系API特集 のイベントに参加して 2016年8月9日
公開日:
:
最終更新日:2023/05/28
脳科学と観光
表記アイデアソンというイベントの勧誘があり、今まではあまり興味がなかったが、感情系APIがテーマということで、参加してみた。
まず言葉はバードウォッチャーなら知っている「バードソン」のパクリであり、アイデアが感じられないのが残念である。
会はリクルートが主催しており、会費1000円は手ごろである。ビールとピザが出てあとは手弁当だから、収支トントンであろう。始まりが19時からと遅く年配者の私には無駄な時間をつぶさざるをえなかった。
「感性」の話を突っ込んで聞けるのかと思いきや、主催者のリクルートの若者の知識が少ないのか、私の提起した質問が半分程度でさえぎられてしまった。時間もなかったのであろう。
狙いが問題提起よりはアプリを使ったアイデアコンテストにあったようだ。感性アナライザーを使用した実験等の問題意識のかけらもないので、よくこのコンテストが考え付いたなと逆に感心してしまった。
参加者も若い人が多く、受け狙いのアイデア合戦の雰囲気であった。その割にはアイデアも歳のせいか今一つの感じであった。
受け狙いの言葉が先行するアイデアの提出に終始してあまり実用性の感じられるものではなかった。
感情系APIそのものが技術的にまだまだ問題を抱えるはずだから、そのAPIを使った遊びなど早すぎるので、アイデア倒れになってしまうのである。
音声から感情を測定するアプリと、文章から感情を測定するアプリが、それぞれ開発企業(メタデータ㈱及びスマートメディカル社)から説明があり、このアプリを使って面白いアイデアがないかということであった。
思えば位置情報研究会で15年前に桑原先生や飯野賢治さんと実施したことをリクルートが今やっているのだから、日本の若者はもっと先をやってほしいというところが実感である。
当時は日経新聞も理解ができず報道もされなかったが、今は大したことでなくても日経の周辺メディアに掲載れるようであり、
そのことをもって満足しているような情けない状態であった。これではアメリカや中国には追い付けないであろう。
スマートメディカル社の音声から感情を測定するアプリも、年間10万円と結構な値段であった。
その割には複数の人がいると個人が識別できないレベルでアンケートよりはましかというところであった。
係りの人に脳波との関係を質問したが、脳波も曖昧であるようなことを言っていたので、ましてや脳波の結果である音声など信頼性はさらに下回るのではないかと思ってしまった。
しかもその感情の識別も、このAPIは喜怒哀楽に通常の5種類ということで、観光学の調査研究に使用するのは、既に感性アナライザーが存在する以上、価値はないという思いであった。
GoogleGLASSやその他のウェアラブルもいずれ海外から攻め込まれて日本の市場も席巻されるかと思うと、これも均質社会の運命なのかもしれない。
関連記事
-
書評『ロボットと生きる社会』
新井紀子 AIが下す判断と人間が下す判断は違う AIは基本は検索。人間は実験ができないので科学的に
-
保護中: 意識と量子力学とAI
量子力学には興味はあるものの、私の頭では理解できないことはわかっている。でも、わかりやすい解説がある
-
『意識はいつ生まれるのか』(ルチェッロ・マッスィミーニ ジュリオ・トノーニ著花本知子訳)を読んで再び観光を考える際のメモ書き
観光・人流とは人を移動させる力であると考える仮説を立てている立場から、『識はいつ生まれるのか』(ルチ
-
観光学が収斂してゆくと思われる脳科学の動向(メモ)
◎ 観光学が対象としなければならない「感情」、「意識」とは何か ①評価をする「意識」とは何か
-
『眼の誕生』アンドリュー・パーカー 感覚器官の進化はおそらく脳よりも前だった。脳は処理すべき情報をもたらす感覚器より前には存在する必要がなかった
眼の発達に関して新しい役割を獲得する前には、異なった機能を持っていたはず しエダア
-
理解するAIは数学の新理論の発見なしにはあり得ないということ
NIRAから定期刊行物を送っていただいている。政府資金が入っているので、過激な記事は少ないが、201
-
意識あるロボットの出現とホスピタリティー論の終焉
かねがね、観光学研究で字句「ホスピタリティー」が使用されていることに大きな疑問を感じていた。意識
-
動画で考える人流観光学 観光情報論 錯覚
https://youtu.be/WnsXhHJ_HJE
-
『芸術を創る脳』酒井邦嘉著
メモ P29 言葉よりも指揮棒を振ることがより直接的 P36 レナードバースタイン 母校ハー
-
脳科学 ファントムペイン
四肢の切断した部分に痛みを感じる、いわゆる幻肢痛(ファントムペイン)は、脳から送った信号に失った