サムスン、ヒトの「脳をコピペ」できる半導体チップの研究を発表
公開日:
:
最終更新日:2023/05/20
脳科学と観光, 観光情報 コミュニケーション
https://japanese.engadget.com/samsung-plans-to-copy-and-paste-the-brain-235019569.html
サムスンとハーバード大学の研究者らは、ヒトの脳の仕組みを半導体チップ上で模倣するための新しい方法に関する研究を発表しました。
Nature Electronicsに掲載された論文では、研究では人間の脳が持つ情報処理特性、たとえば消費エネルギーの低さ、学習効率の高さ、環境への適応力、自律的な認知プロセスなどといった仕組みを模倣するためのメモリーデバイスを作る方法が解説されています。
と言っても、われわれ一般人の脳みそではなかなか理解できない話であることは間違いないので、超絶簡略化して説明すると、そのデバイスは、ナノ電極アレイを用いて脳の神経細胞の接続状態をマッピング、複製し、高度に集積した3次元ソリッドステートメモリー網上に再現、各メモリーセルは、マッピングされたニューロンごとの接続強度を反映したコンダクタンス(電気の流れやすさ)を保持します。つまり脳の神経ネットワークをコピペする、というわけです。
脳の中で大量の神経細胞がどのように配線されているかはほとんどわかりません。そのため研究ではチップ上に脳を正確に模倣するのでなく”インスピレーション”によって設計しているとのこと。とはいえ、ナノ電極アレイ技術は神経細胞の電気信号を高感度で効率的に記録可能で、コピー作業、つまり神経の接続状態の抽出もかなり正確にできると研究者は説明しています。
このしくみがうまく機能するなら、自ら新しい概念や情報を吸収し、上京に適応していける本物の脳のようにふるまう人工知能システムの実現がぐっと近づく可能性もあると研究者らは述べています。ただ、人の脳は約1000億のニューロンと、その1000倍のシナプスがあるため、理想的なニューロモルフィックコンピューティングチップを作るには約100兆個ものメモリーセルを用意しなければなりません。もっといえば。それら全てにアクセスして動作させるために必要なコードも必要です。とはいえサムスンの研究は、実際に学習して自律的に思考するAIの実現へ歩を進めるものになるかもしれません。
Source:Nature Electronics
via:Samsung
関連記事
-
-
書評 AIの進化が新たな局面を迎えた:GTP-3の衝撃
米国コロナ最前線と合衆国の本質(10)~AIの劇的な進展と政治利用の恐怖~ https://
-
-
『脳の誕生』大隅典子 Amazon書評
http:// www.pnas.org/content/supp1/2004/05/13/040
-
-
動画で考える人流観光学 情報論
メタバース https://youtu.be/9wD6
-
-
動画で考える人流観光学 観光情報論 数字
https://youtu.be/pe32PV5SxDg
-
-
動画で考える人流観光学 観光情報論 幻肢痛
https://youtu.be/sZfkYK8CcTc https://
-
-
動画で考える人流観光学 カンブリア爆発
https://youtu.be/dm276hMu6bU
-
-
『美味しさの脳科学』ゴードン・M・シェファード
盲視があるように盲臭もある。 言語を使って風味を評価しようとするのは、最高難度の部類
-
-
書評『情動はこうしてつくられる』リサ・フェルドマン・バレット 紀伊国屋書店
参考になるアマゾンの書評の紹介 ➀ 本書のサブタイトルにある「構成主義(const
-
-
『はじめての認知科学』新曜社 人工知能研究(人の知性を人工的に作ろうという研究)と認知科学研究(人の心の成り立ちを探る研究)は双子
人工知能研究(人の知性を人工的に作ろうという研究)と認知科学研究(人の心の成り立ちを探る研究)は
-
-
杉原幸吉先生の「錯覚観光」 ジャパンナウ観光情報協会セミナー
杉原幸吉先生の錯覚の研究についてはこれまでも紹介してきたので省略して、今回のセミナーで気付いたことを
