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公開日: : 最終更新日:2022/04/17 va旅行中東イスラム, 海外観光

◎『タリバン復権の真実』中田考 ベスト書房 2021年

丸山ゴンザレスのYoutubeで本書を知り、さっそく麻布図書館で借りて読む。欧米メディアを見ていると、女性の人権無視に注視するタリバン報道が目立つが、本書を読むと、米国産軍共同体がアフガン支援の名のもとに如何に米国の血税を食い物にしてきたかということ、逆にタリバンがいかに民衆に支持されてきたかということがよく理解できる。欧米メディアは全く報道してしていな。欧米メディアのおこぼれを報道し、訳知り顔に解説する産経論説等の痛烈な批判には説得力があり、現在進行形のウクライナ問題の欧米、日本の報道を冷静に見ることも可能となるような気がする。アルカイダの引き渡しを米国に要求されたタリバンが裁判を要求したことはもっと大きく報道されれば、日本人の見る目も変わったのであろう。他国パキスタンで米国政府がビンラディンを暗殺したのは法治国家ではない。

◎『タリバン台頭』青木健太 岩波新書

本書は、元在アフガニスタン日本国書記官によるタリバン概説。米国のアフガン戦争後に日本大使館職員として7年間在勤した視点も交えて、政権が消え、タリバンが復活したのかを描いている。しかしながら、本書のなかで前にFacebookで感想を記述した中田考氏の著作は参考文献で紹介されているくらいで、先行研究としても内容的に触れられていないのは、政府側の立場にいたことが原因しているのであろうか。米国批判がかなり抑えて記述されているように思われるが、それでも、占領政策を持たない米国によるアフガン進攻で、カルザイ大統領首班のアフガン政権が成立したこと、タリバンも参加するつもりであったが、米国政府は拒否しリーダーをグアンタナモ強制収容所送りにしてしまったことなどを紹介しているのは、公知の事実だからであろうか。どうもアメリカ諸国が軍事介入した政権は、私が生きてきた時代では、ベトナム、中南米諸国、アフガン、いずれも腐敗が横行して失敗しているが、例外は日本と韓国であり、ウクライナがそのあと続くことができるのかは、これからの事である。

なお、本書では、米国連邦議会両院は、9.11事件の責任者及びそれをかくまった社に対する必要かつ適切な武力行使を承認権限を大統領が有するという合同決議を採択したと紹介する。アフガン空爆もアルカイダ指導者暗殺の違法性もこの決議により違法性が阻却されるという理解をしているのであろう。しかし、連邦裁判所の解釈ではなく、米国議会がそのような決議ができるということも、法治国家としては私には理解が難しい。ましてや、ビンラディンの家族を殺害したことは、到底理解できない。

カルザイは国内に権力基盤がなく、地方は軍閥に押さえられたままだった。軍閥にポストに紐づいた利権や外国からの援助金を配って支持を集めたため、役人の末端まで汚職が横行し、民衆の支持を失ったとある。だれがなっても同じであったろう。21年8月の陥落直前、カブール政権とタリバンで協力する案も探られたが、ガニ大統領が逃亡しタリバンの完全制圧になってしまった。欧米社会の都合で選ばれたカルザイ、ガニという、指導者の器とはいえない人物がトップにいたのである。

○「法の支配、基本的人権、および民主主義といった自由主義的な価値を外部から押し付ける形で進められた民主的な国家建設は、伝統的部族社会であるアフガニスタンにおいて砂上の楼閣を築こうとするようなもの」「女性の解放をはじめとする急進的な社会改革は、常に社会の保守層からの激しい反発を招いてきた」という内容が繰り返される。カルザイ元大統領は部族統治の手法で軍閥各派に利権を配分し、それが深刻な汚職社会を招いたもので、ターリバーンも同じ穴のむじなになる可能性はなくはない。また、第一次政権の時は、国際的孤立と財政的逼迫の中で、すり寄ってきたアル=カイーダに密着してしまい共倒れの道をたどったが、今回も国際的孤立と財政的逼迫は同様で、外国との提携が政権存続のカギとなると思われる。そうなると、欧米は「女性の解放」問題に目をつむることは難しく。
ターリバーンがカーブル制圧までドミノ倒しのように勝ち続けたことができたのは「アフガニスタンでは「勝ち馬に乗る」政治文化が根強い」からであるとするが、それはどの社会でも同じではないか

◎タリバン 中村哲解説

 簡単にまとめると、タリバンは田舎の宗教青年団のような組織で、純朴でアフガニスタンの民衆を苦しめてきた軍閥と一線を画す、信頼に足る組織であるということです。詳しくは、是非、引用した資料を読んでください。この通りだとすると、戦争ばかりして民衆を苦しめた戦国大名に反旗を翻し自治組織を形成し、大名に代わって国を治めた「一向一揆」によく似ている気がします。こう言うはっきりした組織には、何とか取り入ろうとする「忖度組」が必ず出てきます。日本の明治維新の時の廃仏毀釈運動なども、政府の指示以上の過激な運動に発展しましたが、女性に対するブルカの強要とか、娯楽の禁止なども末端の役人が手柄を焦って、先走っている可能性も大いにあるのではないでしょうか。何が真実なのかは、今の段階では分かりませんが、民衆の支持が無ければ、今回のような形であっさりと政権を握ると言うようなことはあり得ない気がします。米国は自分で振りまいた誇張した宣伝情報を自分自身でも信じてしまい、その結果としてタリバンの勢力拡大のスピードを読み間違えたと言う事なのではないかとも思います。タリバンの根本は宗教家の武装組織と言う事ですから、狂信的であるかもしれませんが、一方で、それなりに誠実な人々なのかもしれません。何であるにしろ、長く続いた戦乱が収まって、アフガニスタンの人々が平穏な日々を迎えることを祈らずにはいられません。

QUORA 

アフガニスタンの人々にとってタリバンはどのような存在なのでしょうか?

海外での安全管理を生業にしているものです。こんなサイトを運営しています。海外安全管理・治安情勢専門メディア | 海外安全.jp|自立的な海外安全管理のための専門サイト世界各国の治安情報をチェック。日・米・英・豪政府の最新のトラベルアドバイス・海外安全管理情報類をまとめています。 当ページに記載のは、各国政府の発表内容及び「海外安全.jp」が信頼に足ると判断した各種メディア情報を踏まえて掲載しています。https://kaigaianzen.jp/

前職の関係でアフガニスタンの担当をしたことがあり、実際にカブールで一時期仕事をしていたこともあります。

ご質問の件、「アフガニスタンの人々」、というくくりでは回答が難しいですね。

「日本の人々にとって自民党はどのような存在でしょうか?」

と今、街中でアンケートを取ってみたというのをイメージしてみてください。おそらくかなり答えがばらばらになるはずですよね。(タリバンと自民党を一緒にするのもなんだか、という感じですが、あくまで皆さんに身近でイメージできそうな例として)

一口にアフガニスタンと言っても、民族のレベルで違うグループ、民族的には同じでも部族が違うグループ、宗教的に異なる信仰を持つ方、そして収入源や保有資産額など色々です。

一般的に首都カブールや、これまでアメリカに支えられてきた’旧’アフガニスタン政府が支配していた主要都市部では欧米的な価値観に親しみのある方、欧米含む諸外国に親族がいる方も多いのでタリバンは抑圧的、非人道的な支配をするグループという意見が多いでしょう。

他方で、そうした都市部を離れ、農作業中心で暮らしている方からすれば、伝統的な生活を保証してくれる限り、そのための負担(税や兵役に相当すると考えても差し支えないです)を提供する相手がタリバンであれ’旧’アフガニスタン政府であれ知ったこっちゃない、というレベル感の方もいらっしゃいます。実際には自分たちの伝統的な暮らしと安定を守ってくれるのは、下手な汚職役人よりもタリバンだ、ということで農民の一部がタリバン構成員になっていたりするわけですよ。(要するにタリバンの一部は「兼業戦闘員」です)

また、ややこしいことに、伝統的な暮らしを一族で続けていくために、あえて兄弟の一人は’旧’アフガニスタン政府軍に、別の一人はタリバンに所属する、という一族としての「戦略」を取っているケースもあります。

さらに非常に不思議なことにそうした農村部の中でも極めて都市部から隔絶された地域では、そもそもタリバンと外国軍が争っているということを知らない人たちも暮らしています。Quiet Calm of Afghanistan’s Wakhan ValleyBenjamin Rasmussen has spent time photographing Afghanistan’s Wakhan Corridor, which is located in the north east corner of Afghanistan. Here, A Wakhi shepherd collects firewood in the Big Pamir Mountains.https://abcnews.go.com/International/photos/photos-afghanistans-wakhan-corridor-22316890/image-22319146

日本の皆さんに、一言でアフガニスタンの状況をお伝えするのはなかなか難しいのですが・・・。国のようで国ではない、様々な人がそれぞれの暮らしを大切にしているということだけは感じていただければ幸いです。

アメリカ軍が撤退した、というだけでは正直ここまで急速な政権崩壊は説明がつきません。各地にタリバンを支持している人/タリバンに参加してもいいと思っている人が一定数いるからこそこれだけ事態が急変したも言えますね。

いわゆる欧米的な人権や自由の大切さを決して否定するものではありません。むしろ日本人であり、その価値観に基づいて安全で衛生的な生活を享受している身としては、そのありがたみを痛感しています。他方で、長年(数千年の単位ですよ)大切にしてきた価値観や生活様式を「あんたたちはおかしい。我々のやり方が普遍的な価値観だ」と踏みにじられると死に物狂いで戦わざるを得ないという発想も理解できるように思うのですが、いかがでしょうか・・。

タリバンのやり方が正しいというつもりは全くありません。’旧’アフガニスタン政府の女性を含む公務員や学生を支援してきた身として、知己の方々が今まさに命の危機にあるにも関わらず自分一人で何もできないことに忸怩たる思いがあります。

ただ、もっと早く、タリバンの思考回路を理解し、そしてアフガニスタンの未来を切り開くためにアフガニスタン領内に住む人々がある程度納得できる統治方法、時間をかけた価値観の転換など働きかけはできなかったものか、と考える日々です。

QUORA 危険な国ってどんな感じなのでしょうか?

海外での安全管理を生業にしているものです。

危険な国ってどんな感じなんでしょうね。確かに日本政府外務省が国全体を真っ赤に塗っている国はもうさぞかし危なくて人間がとても暮らせないようなイメージがありますが・・。

現在日本政府外務省が国全体を「危険度レベル4:退避してください。渡航は止めてください(退避勧告)」に指定している国はアフガニスタン、シリア、イエメン、ソマリア、中央アフリカの5ヶ国です。こうした国では現実になにが起こっているのでしょうか?

先日1000人ほどが集まっている結婚式場でISISによるテロが発生し、70名以上が亡くなったアフガニスタンを例に説明します。

参考リンク:カブール結婚式場での自爆テロ | 海外安全.jp

アフガニスタンではかれこれ20年近く欧米諸国の支援を受けるアフガニスタン政府/軍とタリバンが内戦を継続しています。先週発生した結婚式場でのテロ(タリバンの名誉のために言うとこのテロはISISが犯行声明を発しており、タリバンは関係ないでしょう)のみならず、国内各地でテロが頻発しているので、日本政府のリスク評価が高止まりするのもやむを得ません。

実際問題、アフガニスタン政府がコントロールできているのは国土全体の約30~40%程度、タリバンがコントロールしているのが約20%弱、それ以外の地域は両者が支配権を争っている地域ということになっています(Long War Journalより

こんなところでまともな暮らしができるのだろうか、とお考えになるかもしれません。

が、実際にカブールで何日か過ごしてみた感覚としては

「あ、ここはごく普通の南アジアの田舎町だな」

というものです。

日本では東京特別区と横浜市以外に300万人を超える人口を有する都市がないので、人口300万人のカブールに対して田舎町というのもヘンですが、2000万人規模のデリー、ムンバイ、1500万人規模のカラチ、1000万人規模のバンガロールやラホールを経験した身としては「田舎町」だなと率直に思ったわけです。

サラッと、紹介しましたがアフガニスタン首都のカブールには少なく見積もっても300万人、「カブール都市圏」と呼ばれる周縁地域まで入れると概ね500万人近い人が住んでいます。もう一度言います、500万人が日本政府のいう「レベル4」地域の首都に住んでいるのです。

彼らの生活は悲観に満ちたものでは全くありません。ごく普通にマーケットには肉や野菜が並び、あちらこちらで住宅やら公共施設の建設が進んでいます。道路には自動車が多く走っていますし、その一部はTOYOTAやHONDAの車です。

私は徒歩でフラフラ出歩くことは禁止されていましたが、現地の方はごく普通に出歩いていますし、音楽ホールや映画館もあれば、動物園だってあります。それに日本でいうところの「新興住宅街」なんか増えすぎて水や電気の供給が追い付かず困っているくらいです。

ナショナルジオグラフィックの日本語版(2018年1月30日発行)がこういうアフガニスタンの日常生活を取り上げてくれた記事のトップページが上の写真です。著作権の関係でもめたくないので記事の詳細は紹介しませんが、この記事ではこうした新興住宅街のエアコンのついた部屋でスマホをいじっている若者、家族揃って部屋で食事を食べるシーンなどの写真が掲載されており、新興住宅街には2つの学校が設置されていることなども紹介されています。

日本人から見て「危険な国」であっても現地の方にとってはかけがえのない地元での生活があるのです。残念ながらテロが日常生活に頻繁に顔を出し、突然家族・親戚・友人・職場の同僚などが死んでしまうということもよくあります(私も経験者ですが・・・)。それでも、現地の方にとってはそれも含めて日常生活の一部なのではないでしょうか。

日本人の感覚からすれば「危険な国」の一言ですが、そこには同じ人類がごくごく当たり前に暮らしていることを忘れてはいけないように思うのは私が求めすぎでしょうか。また、できれば彼らがほんの少しでも今より安心して暮らせる世界を作っていく手助けをしたいと願うのは私のお節介でしょうか。

煽り運転問題だとか、芸能界の闇だとか、それもよいのですが、多少なりとも日本人がこうした「危険な国」の実情に目を向け、そして安心して暮らせる人を増やせるように能力を発揮してもらえるといいなぁと思うのでした。

スミマセン、アフガニスタンについて語りすぎました。もう一か国、外務省が真っ赤に塗りつぶしているソマリアについては、ジャーナリストの下村氏が詳しくヤフー個人のページに書いてくれていますので、こちらをご参照下さいませ。

こちらも「危険な国」でビーチをエンジョイする現地の方の暮らしがよくわかる良い記事です。

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