*

書評 AIの言語理解について考える」川添愛 学士会報940号P.42

公開日: : 最終更新日:2023/05/28 出版・講義資料, 脳科学と観光

分類がわかりやすい

1 今のAIは人間の言葉を理解している。

 理解しているようにみえることを重視する点でチューリングテストと同じ。この理屈を認めない場合には、自分以外のすべての人間の知性も認められないという独我論に陥る

2 今のAIは人間の言葉を理解していない

2-1 AIはいずれ人間の言葉を理解できるようになる

2-1-1「今の技術(機械学習)」の延長線上でAIはいずれ人間の言葉を理解できるようになる可能性がある

A AIの仕組みと人間の言語理解のメカニズムとの近さを考慮する必要はない 基本的には1と同じで、現状のAIのパフォーマンスを十分と考えるか否かの違い

B 近さを考慮する必要がある 人間の言語能力も機械学習に似たメカニズムで実現されていると考える。後天的に与えられた有限のデータから帰納的に学修されるという、いわゆる経験主義の立場

2-1-2 今の後述の延長線上では無理だが、何らかの技術革新があればAIはいずれ、人間の言葉を理解できるようになる

A 機械学習のアプローチでは、いずれAIの制度が頭打ちになると予測し、新しい技術が必要だろうと考える人たち

B 機械学習だけでは人間の言語能力には近づくことはできないと考える。チョムスキーの普遍文法が例。人間の脳に言語能力を獲得するための「先天的な作りこみ」があるとする合理主義

2-2 AIは決して人間の言葉を理解することはできない

A 言葉の理解に霊魂のようなものがかかわっていると思う人は、機械であるaiは永遠に言語は理解できなと考える(ただし機械にも霊魂が宿ると考える場合は別)

B 人間の言語能力が人体の物理的・機械的な側面によって生じると考える人が、2-2のように主張することも不可能ではない。機械の知性も内側からは観察できないから認めないとする1と同じ立場が考えられる。独我論に陥らないためには、他人に知性があるとする判断の前提を、他人が自分と同じ身体を持つことに置くという方法である。同じ体を持たない機械には知性の存在を認めないとすることは可能である。ただし、機械が人間と同じ身体を持つことを不可能と考えるか、またどのような条件が成り立てば機械が人間と同じ身体を持つといえると考えるかによってさらに立場が変わる可能性がある

 

関連記事

no image

書評『ペストの記憶』デフォー著

 ロビンソン・クルーソーの作者ダニエル・デフォーは、17世紀のペストの流行に関し、ロンドン市長及び

記事を読む

no image

『知られざるキューバ』渡邉優著 2018年

4年前のキューバ旅行のときにこの本が出版されていれば、また違った認識ができたとの思う。 カリ

記事を読む

『富嶽旅百景』青柳周一 観光地域史の試み

 港区図書館で借りだして読んだ。本書は、1998年東北大学提出学位論文がベースとなっている。外部か

記事を読む

no image

富裕層の海外脱出

さて、この文書からわかることは、100万米ドル以上の億万長者の海外脱出で最もメジャーな国は

記事を読む

no image

日本銀行「失敗の本質」原真人

黒田日銀はなぜ「誤算」の連続なのか?「異次元緩和」は真珠湾攻撃、「マイナス金利」はインパール作戦

記事を読む

no image

聴覚 十二音技法

https://youtu.be/HeXEzMWi2EI 時代は無調の音楽に対する準備

記事を読む

世界人流観光施策風土記 ネットで見つけたチベット論議

立場によってチベットの評価が大きく違うのは仕方がないので、いろいろ読み漁ってみた。 〇 200

記事を読む

『尖閣諸島の核心』矢吹晋 鳩山由紀夫、野中務氏、田中角栄も尖閣問題棚上げ論を発言

屋島が源平の合戦の舞台にならなければ観光客は誰も関心を持たない。尖閣諸島も血を流してまで得るもの

記事を読む

中国文明受入以前は、藤貞幹は日本に韓風文化があったとする。賀茂真淵は自然状態、本居宣長は日本文化があったとする。

中国文明受入以前は自然状態であったとする賀茂真淵、日本文化があったとする本居宣長に対して、藤貞幹

記事を読む

no image

南米「棄民」政策の実像 遠藤十亜希著 岩波現代全書 最も南米移民を排出したのが最貧困地帯たる東北ではなく北部九州~山陽ラインだったのは何故か?

19世紀末から20世紀半ばまで、約31万人の日本人が、新天地を求めて未知の地ラテンアメリカに移住

記事を読む

no image
🕌🎒2025シニアバックパッカー国連加盟国192か国達成の旅 計画作成

国連加盟国192か国を訪問するという計画も残り4か国となっている。その

no image
🌍🎒2024シニアバックパッカー南極太平洋諸国の旅 福建省(24番目)厦門

中国渡航にビザが必要な段階で計画したので、金門島から廈門に渡る

🌍🎒シニアバックパッカー南極太平洋諸国の旅 台湾省🏳‍🌈 金門島

  昨夜桃園空港から台北駅に鉄道で移

no image
🌍🎒シニアバックパッカー南極太平洋諸国の旅 台湾省🏳‍🌈 台北

国連加盟国第一か国目は中国。1970年に香港、台湾と旅行した。当時は、

🌍🎒2024シニアバックパッカー南極太平洋諸国の旅 パラオ共和国(国連加盟国188か国目)

    2024年12月4日早朝マニラから

→もっと見る

PAGE TOP ↑