井伏鱒二著『駅前旅館』
公開日:
:
最終更新日:2023/05/28
出版・講義資料, 旅館、ホテル、宿泊、民泊、不動産賃貸、ルームシェア、引受義務
新潮文庫の『駅前旅館』を読み、映画をDVDで見た。
世相はDVDの方がわかりやすいが、字句「観光」は、やはり文豪の意識が参考になる。
「宿泊料や部屋割りなどのことは、予め旅行社とか観光屋とかが仲に立って決めておりま
す」「一般に観光屋なんていうものは、多くは大阪に本社を持っていて、団体客を引き受けると、添乗員をつけて道中の世話をさせる組織になっております」と昭和32年ころは観光は観光屋に代表されている。
従って、「宿屋の番頭なんというものは、いくら仕事に熱を入れたって職業録にのらないし、社会保障もなく、・・・ただ頼むは主人と私の関係だけだ」「番頭稼業していては外聞が悪い 表彰などしてもらいたくない、まだ番頭をしていたのかといわれる」との記述にみられるように、観光産業の地位がうかがわれる。温泉地育ちの私には、旅館の女中さんのことが幼心に多少記憶があり「昔の旅館の女中は食生活、給料の点におきまして、風呂番、中番などとともに奴隷扱い 休暇は年に2日、盆と正月だけ、これ以外には外出もかなわず、夜の十時以降は絶対に門外不出でした」という表現はしっくりくる。現在の観光研究者も理解しておかないといけない過去である。
関連記事
-
-
QUORAに見る観光資源 日本から出たことがないのでわからないのですが、日本は本当に治安が良いのですか?松本 貴典 (Takanori Matsumoto),
日本から出たことがないのでわからないのですが、日本は本当に治安が良いのですか?松本 貴典 (Tak
-
-
2002年『言語の脳科学』酒井邦嘉著 東大教養学部の講義(認知脳科学概論)をもとにした本 生成文法( generative grammar)
メモ p.135「最近の言語学の入門書は、最後の一章に脳科学との関連性が解説されている」私の観光教
-
-
渋滞学『公研』2019年4月 メモ
渋滞学 西成活裕 渋滞とは? 結局人の動き 法則性はあるのか? 空気や水と違って人間にはそれぞれ
-
-
『一人暮らしの戦後史』 岩波新書 を読んで
港図書館で『一人暮らしの戦後史』を借りて読んでみた。最近の本かと思いきや1975年発行であった。
-
-
ダークツーリズムと『脳科学からみた「祈り」』中野信子著
ダークツ―リズム 怖いもの見たさの時の脳内物質を調査する必要がある。その調査をせずして、ダークツー
-
-
中国「デジタル・イノベーション」の実力 公研2019No.665
モバイル決済は「先松後厳」まずは緩く、後で厳しく 日本の逆 AirbnbやUberが日本で
-
-
2019年11月9日日本学術会議シンポジウム「スポーツと脳科学」聴講
2019年11月9日日本学術会議シンポジウム「スポーツと脳科学」を聴講してきた。観光学も脳科学の
-
-
『海外旅行の誕生』有山輝雄著の記述から見る白人崇拝思想
表記図書を久しぶりに読み直してみた。学術書ではないから、読みやすい。専門家でもないので、観光や旅行
-
-
聴覚 空間の解像度は視覚が強く、時間の分解度は聴覚が強い。人間の脳は、より信用できる方に重きを置いて最終決定する
人間の脳は、より信用できる方に重きを置いて最終決定する 聴覚が直接情動に訴えかけるのは、大脳皮質
-
-
動画で考える人流観光学 リーマン予想 素数
ゲーテルの不確定性原理 https://youtu.be/hEG1cWJD
