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観光と対比される定住と自動運転時代の人流・物流

公開日: : 最終更新日:2023/05/28 自動運転

観光概念と対比される定住概念の再検討が必要となっている。トルコはウルファで発掘されたGobekli Tepe遺跡が、農業が出現する前のものであったからだ。

米国トラック業者マルコム・マクリーンがコンテナリゼ―ションに火をつけ、現在はシベリアの奥地から太平洋の孤島まであらゆる物資を届けることが可能となり、生活の画一化を促進している。スマホはトラビス・カラニックによる個の移動の利便に着目したライドシェアを現実させた。いずれも既存の制度を打ち破ったスタートアップであったから、既存勢力の失業リスクを惹起したが、廃藩置県が人口の一割弱190万人の士族に与えた失業ほどは大きくはなく、むしろ大きく経済社会を拡大させた。昭和期半ば交通学者は盛んに共通運賃制を論議したが、現在ではIT活用で簡単に処理できるものの、いまだにMaaS云々と騒いでいる。

更なる演算速度の超高速化は陸海空の自動操縦の高性能化を可能とすると予測され、Automobileの訳語は自動車より汽車(中国語)が適切であることを印象付けている。識者は事故対応プログラムの倫理・道徳上のいわゆる「トロッコ問題」を投げかけるが、古代から人類は姥捨て山、間引き等により現実対応をしてきたから、今更の事でもある。そもそも西垣通先生が語っておられるように、論理的に人知を超える人工知などあり得ない。その時代の最高の人知を用いた人口知は、間違いを犯しやすい普通の人間の運転技術よりははるかに優れている。自動運転車と人間運転車が混在している道路では、人間運転車の方が危険だから避けて運転することになり、最終的には自動運転車だけが走行することになる。

筆者は、自動運転車は人流、物流の根底にある定住概念に影響を与えると思っている。操縦にかかわる諸制度の大幅緩和はもとより、操縦席空間の大幅縮小により、動く食堂、書斎、寝室等が可能となり、動く住宅まで可能となる。ビジネスホテル群の消滅に留まらず、車を前提とした街そのものが変容する。国鉄駅前には、駅前旅館や丸通の店があり、駅頭倉庫があった。その駅頭倉庫は、高速道路沿いに移動し、貨物用地や駅頭倉庫の跡地は資産として売却されてオフィス、ホテル群に変化したが、今度は消滅縮小し、自動運転車を前提とする国土空間が生まれることとなる。

地方の時代という幻想も自動運転車によって崩壊させられるかもしれない。移動への抵抗感がなくなれば地方概念の意義が虚弱化する。いつでも自由に好きな場所で自然を満喫することが可能になるから、逆説的であるが、ますます人が集まる都会の価値が高まる。

コンテナハウスやトレーラーハウスが商品化され、日本では一部のマニアで使用されているが、中間層の薄い米国では貧困問題の象徴の一つになっている。自動運転車が量産可能となれば更に普及が予想されるが、自動運転機能付きのトレーラーハウスはどんな社会を構築することになるのであろう。

【即完成な狭小住宅】たった25㎡に2LDKを詰め込んだプレハブ住宅

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