メンタル統合
人類の文化的躍進のきっかけは、7万年前に起きた「脳の突然変異」だった:研究結果
人類が洞窟壁画の制作や住居の建設といった「文化的躍進」は、7万年前より前には発見されていない。この時点でいったい人類に何が起きたのか──。この進化の引き金を引いたのが「脳の突然変異」であった可能性が、米大学の研究によって明らかになった。
記憶のなかの複数の単語を意味のあるメンタルイメージとして合成するプロセスは、「前頭前野統合(Prefrontal Synthesis)」または「メンタル統合(Mental Synthesis)」と呼ばれている。
文章のなかでも「入れ子構造(または再帰構造)」になっているものの理解には、メンタル統合能力が必須である。「単語の柔軟な組み合わせと入れ子構造は、すべてのヒト言語に特徴的な機能です。このため言語学者は現代的な言語を『再帰言語』と呼んでいる
「7万年前にメンタル統合と再帰言語を取得したことで、本質的に行動が異なる新たな種が誕生しました。真に現代的行動をとる最初のホモサピエンス
ブラジルのアマゾン川のほとりには、ピダハン族と呼ばれる「再帰言語を話さない」狩猟採集民族が暮らしている。この部族の言語と文化を研究してきたダニエル・エヴェレットによると、ピダハン語には数や左右、色彩、それに性差の概念がない。
そしてピダハン族は実際に見聞きしたことしか話さず、架空の話はしない。文法には過去や未来の概念もなく、“いま”を生きている。そのためか宗教をもたず、未来への不安もなく過去からの後悔もないという。まさにヴィシェドスキーの考える、再帰言語がなかった時代を彷彿とさせる人々と、その暮らしぶりなのだ。
関連記事
-
-
観光資源、観光行動の進化論
「クラシック音楽に隠された「進化の法則」、東大京大の研究者が発見」tいうひょだいの興味深い記事を発
-
-
「起業という幻想」白水社 スコット・A・シェーン 職を転々として起業に身をやつす米国人の姿は、産学官が一体になって起業を喧伝する日本社会に一石投じることは間違いない。
マイクロソフトのビル・ゲイツ、アップルを立ち上げたス
-
-
書評『我ら見しままに』万延元年遣米使節の旅路 マサオ・ミヨシ著
p.70 何人かの男たちは自分たちの訪れた妓楼に言及している。妓楼がどこよりも問題のおこしやすい場
-
-
幸田露伴『一国の首都』明治32年 都議会議員和田宗春氏の現代語訳と岩波文庫の原書で読む。港区図書館にある。
幸田露伴は私の世代の受験生ならだれでも知っている文学者。でも理系の人でもあり、首都論を展開してい
-
-
ウクライナ戦争の戦況集収から考える「情報」の本質 2022年7月 公研 嫌露、嫌米、アンチ公権力等の先入観が情報収集機会を減少
2022年7月の「公研」で、クライナ戦争の戦況集収から考える「情報」
-
-
書評『ペストの記憶』デフォー著
ロビンソン・クルーソーの作者ダニエル・デフォーは、17世紀のペストの流行に関し、ロンドン市長及び
-
-
『兵士のアイドル』押田信子著 盧溝橋事件勃発で、新聞の報道合戦開始 慰問団ブーム
陸軍恤兵(ジュッペイ)部 日清戦争時に少なくともそのたぐいの組織はできていた?
-
-
QUORAに見る観光資源 日本から出たことがないのでわからないのですが、日本は本当に治安が良いのですか?松本 貴典 (Takanori Matsumoto),
日本から出たことがないのでわからないのですが、日本は本当に治安が良いのですか?松本 貴典 (Tak
-
-
『鎌倉時代の交通』新城常三著 吉川弘文館
交通史の泰斗新城常三博士の著作物をはじめて読む。『社寺参詣の社会経済史的研究』が代表作であるが、既
