動画で考える人流観光学講義 2024.12.4 観光情報
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最終更新日:2023/12/05
動画で考える人流観光学
教科書図
1 観光情報概念
「情報」とは人間集団にとって意味のあるものという社会的な概念である(『AI言論 西垣通』)。社会科学用語は行政用語の影響を受けることが多いものの、日本の法令は字句「観光情報」は使用していない。
観光情報は、先ずinformation for touristとして認識され、観光資源に関する情報提供システム等が検討された。その後スマホ等の技術進歩により、観光情報は人を移動させる動機を論じることにウェイトが移り、観光情報論もinformation for tourismとして認識されるように変化しつつある。
tourist自身の脳内反応に関する論議はまだ始まったばかりであるが、Covid-19の流行を契機に、touristがよそ者であることからくるsocial distancingへの活用や顔認証システムの活用等の人流情報が論議され始めている。
2 観光情報提供制度の進化
2-1観光情報システムという発想
公的な観光情報システムの発想は、運輸省が1973年「観光情報システムの基本的な考え方」を取りま
とめたことに始まる。観光情報収集提供システム及び公的宿泊施設予約システムの二つを柱とする観光情報システム開発のための基礎調査として、観光資源施設分布状況調査及び情報収集ルート実態調査を実施した。これを受けて、(社)日本観光協会は、1976年中央観光情報センターを国鉄新宿駅構内に開設し、1977年に全国観光情報ファイル全十冊を作成した。1985年に情報ファイルの電算化に着手し、全国観光情報データベースが作成された。大型コンピュータによる集中型システムが前提の時代であった。インターネットの普及とともに、観光情報はポータルサイト等で、天気予報、占いと並べて取り扱われるように変化したが、この段階ではまだ一種の品ぞろえ情報であった。
2-2 人流・観光情報提供の社会システム
旅行客に対する情報提供に関する法制度については、宿泊、通訳案内、海外観光宣伝、旅行業等それ
ぞれ個別の制度により対応されている。旅客運送事業についても、個別運送法の体系の中で情報提供制度が確立している。
GPS等を活用し位置情報を提供するスマホの登場は、人流・観光提供制度の再構築を必要とさせてい
る。旅客運送情報提供制度は、停車場・時刻表方式から、位置情報を中心とした提供制度に再構築することが求められている。観光情報提供制度は、社会一般の情報提供制度の中で論じられるように変化してきており、各種のas a Systemが流行語になり、mobilityもMaaSとして喧伝されている。しかし規制制度を乗り越えた制度論への発展までは見られない。
2-3 通訳案内制度の規制緩和
1949年制定された我が国の通訳案内士試験制度は、外貨獲得を目的に制定され、米国人旅行者を主な対象として念頭に置いていた。また、制定当初はほとんど日本在住の外国人は存在せず、日本人による外国語習得を前提としていた。そのため、地理、歴史、産業、経済、政治及び文化に関する一般常識の試験は日本語で実施されてきたが、外客への説明の必要性からすると、各外国語での実施がより適切であった。
添乗員養成の専門スクールのHPに見られた説明には、添乗行為は旅行者の質問に外国語(中国語やベトナム語等)で聞かれた場合に外国語(中国語やベトナム語等)で対応するものであり、通訳案内行為は「右に見えるのは〇〇である」と外国語で説明するものであるとなっていた。添乗行為が通訳案内士法違反にはならないということをわざわざ注意書きしていたのである。
この問題の要因は、添乗行為と通訳案内行為の法的解釈にあったのではなく、日本在住の中国人等の外国人が母国からの旅行者に対して有償で観光案内を行う場合に、通訳案内士制度が対応できなくなっていたことにある。通訳案内士制度は、1981年の第二次臨時行政改革調査会以来長年にわたってその廃止等の提言がなされていたが、中国人旅行者の急増に対して、実態と制度の乖離があまりにも大きくなったから、2017年の国会で法律改正が行われ、業務独占が廃止され名称独占となった。
3 言語研究の進展と人流・観光情報提供制度論議
人工翻訳機能が向上し、少なくとも観光用には実用化の段階に踏み出している。言語情報、動画情報
はスマホから簡便に提供され、音声(聴覚情報)による入出力機能も翻訳機能を兼ね備えて、一般の用に供されている。
3-1 言語理論の形成
言語とは直接関係の必要がない別の機能が適応選択により進化したものである。目、耳、口、手等が偶然出会って統合されることにより、新たな機能である言語が相転移のように創発されたと考えられている。
1950年代になって「なぜ、人間は言語を使いこなして、様々な精神活動を実現することが出来るのか」という観点から人間言語の本質的な仕組みを理解しようとするチョムスキーの「生成文法理論」が打ち出された。語彙目録と計算システムから成り立っていて、それぞれが脳内に基盤を持っていると考えた。言語に規則があるのは、人間が言語を規則的に作ったためではなく、言語が自然法則に従っているからであると考え、自然言語には必然的な文法規則があり、これが普遍的かつ生得的な原理であることを提唱した(言語生得説)。一方、意味や概念の学習は後天的であり、単語と意味のつながりは連想に基づくもの、その連想関係は偶然的であると考えた。言語学の流れと脳神経科学の接点が、次第に明らかになってきている。語彙目録には、左側頭葉中下回から内側面かけての広い範囲が関係し、語彙目録から語彙を選択して計算システムに入れる操作には、左上側頭回後部から頭頂葉下部の領域が関わっていると推定されている。計算システムにおける文法構造などの操作には、ブローカ野の役割が大きいと推定される。この脳神経組織の総体こそ、生成文法理論が提案する言語獲得装置の神経学的基盤であると考えられる(『脳科学の教科書こころ編 理化学研究所脳科学総合研究センター』)。
3-2 言語の獲得
【興味深い仮説】人類は他の動物よりも脳の発達は遅れていたから、夜間行動すぜ日中の活動により食糧を得ていた。底結果体毛を減少させることにより、持久力が増加した。
人類は二足歩行により手を獲得したが、骨盤も発達し難産になった。手が使えるから、石器が使用出
来るようになり、出産にも協力出来るようになった。そしてなによりも石器使用により言葉を獲得した。
人類は石器を使用してから、顎が退化し、丸い舌を獲得し、喉道が変化した。変化に富む音声を発することが出来るようになり、生き残れる確率が高くなった。口、喉は呼吸・栄養摂取器官であり、言語器官として誕生していない。つまり、言葉は自然淘汰で出来たわけではなく、副産物として発生した。ものをのみこむ時に誤飲しないように発達した筋肉の一部を使っているのである。
👉土器、煮炊き、
人類は集団生活により外敵の危険性が少なくなり、乳児は親をコントロールするため、複雑で大きな
泣声を出すようになった。呼吸をコントロールする機能が発達し、言葉の習得が可能となった。
3-3 言語と遺伝子
人類は言語に関わる遺伝子を獲得した。この遺伝子はネズミにもチンパンジーにもあり、チンパン
ジー、ゴリラも手話が分かる。人類の遺伝子だけはある特定の領域のアミノ酸の配列が変わっていて、人はこの遺伝子に欠陥があると言語障害になる。このアミノ酸を人類がいつ置換し、言語を獲得したか遡ると、十万年くらい前である。
この約十万年前に、岡ノ谷一夫は、言語はコミュニケーションではなく、考えるツールとして始まったとする。一方、ロビン・ダンバーは、言語は、群れの中で暮らす我々におしゃべりをさせてストレスを解消させるために進化したとし、その群れの規模は約百五十人とする(『言葉の起源』)。
上記の動画の仮説を、シジュウカラの観察を継続した動物学者が否定した。
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